【完結】破滅したくない悪役令嬢がヒロインと共闘した結果、なぜか溺愛されました〜転生者が自分だけとは限らない〜

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悪役令嬢視点〜兄は隠れ攻略キャラ〜

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 王子による推しへのストーカーぶりが発覚して、怒髪天を突く状態のローズ・シャルダンです。

 とにかく、この状況を打破するためにも、あの人・・・の協力は必要不可欠。

 こうして、執事に呼ばれてサロンに来た兄はいつものようにキラキラしていた。

 私の金髪より淡い白金の髪。私より濃い緑色をしたエメラルドの瞳。筋が通った鼻に薄い唇。
 学園の攻略者たちより年上で落ち着いた雰囲気の青年。そして『キラキラ☆学園パラダイス』の隠れ攻略キャラ。

 ノーマルエンドルートを進んでいる途中でのみ偶然出会える。そう、偶然。なので、この隠れキャラルートの攻略は運だと言われていた。
 そして、このルートの場合だけ悪役令嬢であるローズは最愛の兄をヒロインにとられて、嫉妬して終わる。つまり、私への被害が一番少ない。婚約破棄はされないから、そこは微妙だけど国外追放に比べればマシ。

 隠れキャラならではの美しさを背負った兄が私に訊ねる。

「ローズ、どうしました?」
「ぜひお兄様に相談したいことがありまして。こちらは友人のリリィ・バーロットよ」

 リリィが慌てて立ち上がり膝を折る。

「はじめまして。サジェッタ・バーロットが娘、リリィ・バーロットと申します。お見知りおきを」
「あぁ、バーロット男爵のご令嬢でしたか。お美しいと噂には聞いておりましたが、噂以上ですね。私はロータス・シャルダン。気軽にロータスと呼んでください」
「は、はい。ロータス様」

 顔をあげたリリィが兄、ロータスを見つめる。ロータスも和やかな眼差しをリリィに向けており、よい雰囲気。

 ちょっと寂しいけど、隠れキャラルートに進めたみたいで良かった。
 あれ? どうして、寂しいと思ったのかしら。リリィが幸せになるようにゲームをプレイしていた時は嬉しかったのに。

 首をかしげかけた私はロータスに声をかけられた。

「で、相談とはなんだい? このあと、城へ行かないといけないから、あまり時間がないんだ」
「お兄様はお忙しいものね。簡単に説明いたしますわ」

 私はリリィからの話を端的に説明し、どう対応をしたらいいのか、と相談をした。すると……

「たしかに王子の行動は目に余るものがあるし、王位継承者としても問題だ。策を考えるから、少し時間をくれないか?」
「ありがとうございます、ロータス様」

 ホッとした様子で頭を下げるリリィにロータスが優しく微笑む。

「いや、礼には及ばないよ。これは王太子が本当に王に相応しいのか見極める機会でもある」
「そんな、大事おおごとには……」

 私は困惑するリリィの手をとった。

「ことを大きくしたくない気持ちは分かるわ。でも、これは国の行く末に関わるかもしれない大事なことなの」

 その前に私の行く末に関わるけど。

「だから、協力し合いましょう。国ともに良き未来のため」

 私が少しでも助かる未来のため。

「……それに、キラキラ金髪王子のことです。そのうち婚約を、と言い出すかもしれません。リリィはキラキラ金髪王子と婚約したいのですか?」

 私の問いにリリィは頭がとれるのでは、と思うほど首を横に振った。

「無理です! ぜっっっったいに! 無理! です!」

 その強い言葉に私はホッとした。

「では、一緒に頑張りましょう」

 私は両手でしっかりとリリィの手を包み込む。あら、意外と手も大きい。

 そんなことを考えていると、リリィが少し頬を染めてうつむいた。恥ずかしがる顔も可愛らしい。こんな近くで、しかも生で見られるなんて。

 私はマジマジとリリィの姿を目に焼き付ける。そこに、ロータスが苦笑いを浮かべながら言った。

「リリィ嬢が困っている。少し離れなさい」
「あら、失礼」

 私はロータスを睨みながら渋々離れる。せっかくの至福の時間を。夕食にはロータスが苦手なトマト料理にするように、シェフに頼んでおきましょう。

「時間も遅いし、リリィ嬢は私の馬車で家まで送ろう」
「そんな!? 悪いです! 歩いて帰れますから」

 慌てるリリィにロータスが有無を言わさない笑みを向ける。

「公爵家が客人を歩いて帰らせるなんて、そんなことはできないよ。それに、これから城へ行くついでだから。気にすることはない」
「は、はい……」

 ロータスの顔の良さを全面に活かした微笑みは誰も断れない。ほぼ毎日顔を合わせている私だって無理だもの。
 でも、馬車で送るのは賛成。ここからリリィの屋敷まで歩いていたら、途中で日が暮れて危ない。あと、馬車という狭い空間に二人きり。
 それならば二人の仲が進展するイベントが発生するはず。

「では、急いで馬車を表にまわしましょう」

 私は下がっていた執事を呼んで指示を出した。




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