4 / 5
誓い
しおりを挟む
「なんで、ここにいる!?」
別室に運ばれたところでラミアは地声で叫んでいた。
部屋には二人きり。他の目を気にする必要はない。
「さて、何のことでしょう?」
それなのに、青黒の髪を揺らしながらワザとらしく金の目を細くするクレイディ。
「誤魔化しても無駄だぞ! おまえ、犬だろ!」
「犬とは失礼な。黒狼です」
人の姿になれる人狼。その中でも希少種である黒い狼。
だが、ラミアから見れば人になれる獣、という種族で一括りになる。
「大差ない! それより、下ろせ!」
「はい」
素直な返事にラミアは少しだけ拍子抜けした。もっとゴネると予想していたのに。
だが、グレイディはソファーに近づくと……
「なぜ、こうなる!?」
そのまま下ろされると思いきや、ソファーに座ったクレイディの膝の上に座らされた。
この状況にラミアの声が荒くなる。
「一緒に座る必要はないだろ!」
「ですが、こうしないと逃げられそうなので」
「だからって……」
窓から差し込む月光が青黒の髪を淡く照らす。金の瞳が覗き込み、筋の通った鼻が頬に触れそうなほど近い。そして、犬の時と同じ夜露の香りが全身を包む。
なんとなく恥ずかしくなったラミアが逃げるように顔を背けた。
(あ、相手は犬だ。何も気にすることなんて……)
すると、無骨な太い指が白い顎をクイッと上へ向かせた。まっすぐな金の瞳に胸が跳ねる。
「吸血鬼は霧になって隙間から逃げられますからね」
正体を見破られていたことにラミアの熱が一気に下がった。
「……気づいていたのか」
「太陽の下を歩ける吸血鬼は初めて見ましたが」
その言葉にラミアがフッと笑う。
「僕は、特別なんだ」
「知ってます」
当然のように断言するクレイディ。
その男前な表情に。自信に溢れた金の瞳に。挫折、屈辱、無念さなど知らない力強さに。
ラミアの中で怒りが、不満が、噴きあがっていく。
『気持ち悪い』
『恥さらし』
『出来損ない』
散々言われてきた言葉が脳内を駆け巡る。
忘れようとして、忘れられず。逃れようとして、逃れられず。
ずっと、ずっと、捕らわれてきた。
(何も知らないくせに……)
震えそうになる手をキツく握りしめる。
(大丈夫。僕は、特別なんだ)
ずっと自分に言い聞かせてきた言葉。自分は特別なのだ。他の吸血鬼とは違うのだ。だから、陽の下を歩けるし、血や薔薇以外からも生気を摂取できる。
こう考えることで、どうにか保ってきた自尊心。
でも、どれだけ言い聞かせても不安は消えない。影のように追いかけてきて。鍋の底にある焦げのようにこびりついていて。常に自信を奪おうとする。
そんなラミアにクレイディが言葉を続けた。
「あなたは特別ですから」
「いい加減なことを言うな!」
ラミアが怒鳴りながらクレイディの膝から飛び降りた。そのまま怒りに任せて喚き散らす。
「僕のことを何も知らないくせに、知った風に言うな! おまえも、あの男と同じだ! 勝手に僕の表面だけを見て、勝手に理想の僕を作り上げているだけだ!」
歯を食いしばり銀髪で顔を隠しながら俯く。
「本当の、僕は……僕は…………」
言葉が終わる前に、無骨な手が白い頬に伸びた。
「あなたは特別です。どんな吸血鬼より優秀な血を求める。その姿は高潔で、どの吸血鬼より、気高い」
思わぬ言葉にラミアの反応が遅れる。
「……気高い?」
初めて言われた言葉。
「はい」
顔をあげれば、目の前には柔らかな微笑み。
その見守るような眼差しに、噴き出していた鬱憤が鎮まる。ずっと腹の底で渦巻いていた感情が溶けていく。縛り付けていた鎖が解け、心が軽くなる。
「……僕は、醜くないのか?」
こぼれた言葉にクレイディが手の甲で頬を撫で、髪をさらう。
「こんなに美しいのに?」
不思議そうに首を傾げながら銀の髪を指に絡める。
「血や薔薇以外の生気を吸い取るぞ」
「他の吸血鬼には出来ないことができる。凄いことです」
「陽を浴びても砂にならないぞ」
「昼を楽しめる素晴らしい体です。そうだ、今度デートをしましょう。遠乗りがいいですか? それとも、街で流行りの菓子の食べ歩きをします?」
思わぬ提案にラミアが笑う。
「おまえには情緒がないのか? デートに誘うなら、もっと雰囲気を作ってから誘え」
「犬ですから」
開き直ったような声音にラミアがますます笑う。
「狼なんだろ?」
「ですが、あなたのためなら犬にもなります」
そう言うと、端正な顔が甘えるように銀髪に埋まった。そんなクレイディを拒否しないまま、ラミアが話を続ける。
「残念だが、僕は犬を求めてない。求めているのは、優秀な雌だ」
「私は優秀ですよ?」
紫の瞳が訝しむように睨む。
「だが、おまえは雄だ。雄が相手では血は残せない」
すると、銀髪の隙間から金の瞳だけが鋭く覗いた。
「……知ってますよ」
低く真剣な声とともにラミアの体がさらわれる。ふたたびソファーの上の住人となり、背後から太い腕が抱き込む。
「何を知っているんだ?」
首を傾けて後ろを見れば、クレイディの口角が獰猛にあがり、白い歯が覗いていた。獲物を前にした肉食獣のような気配に、最強の種族の一つである吸血鬼のラミアの背中がゾクリと震える。
「優秀な雄が現れたら、あなたはその身に新たな生命を宿すことができる」
言葉とともに大きな手が下っ腹を撫でた。その手の動きが肌を舐めるように這うが、不思議と嫌悪感はない。むしろキュンと熱が集まる。
雌の吸血鬼であれば、こぞって奪い合うであろう。それだけ強く、美しく、優秀な血の匂いを漂わす雄。
しかも、吸血鬼を屈服させるだけの生命力。
(たしかに、こいつが相手なら僕の血を残すことも……いや、いや! 僕は男だ! 雄に屈服などしない!)
認めたくないラミアは視線を室内へ巡らせた。王城ということもあり、王家の紋章が描かれた家具や装飾品が飾られている。
そこで、王女が近衛騎士と恋に落ちたという話題を思い出す。
(そうだ。これだけの外見だし、王女が惚れるのも納得だし、男の僕より王女の方が良いに決まってる)
沈んでいく感情を隠すように、ラミアは紫の瞳を鋭くして睨んだ。
「王女と恋仲なんだろ? 僕ではなく王女のところへ行け」
犬の姿の時にあれだけ懐いていたのに、それが他人に取られると思うと腹立たしくなってきた。
(あれだけ、何度も屋敷に来て、全身を舐めてきたくせに)
拗ねたようにプイッと顔を背けたラミアに対して、クレイディが意地悪そうに訊ねる。
「もしかして、ヤキモチを?」
「なっ!? んなわけないだろ! この高貴な僕がヤキモチなど!」
慌てて否定すると、澄ました顔が返ってきた。
「まぁ、王女と恋仲なのは副隊長のほうですし」
「……そうなのか?」
「はい。ですが、あなたが心配するのであれば」
言葉を切ったクレイディがソファーから下りて片膝を床につく。
そのまま、ラミアの手をとって顔をあげた。真っ白な細い手を包み込む大きな手。慎重に、壊れないように触れているのが分かる。
見つめていると青黒の髪が揺れ、薄い唇が手の甲に落ちた。
「あなただけの犬となりましょう」
まるで騎士が忠誠を誓うような言葉と態度。
その言葉に、その態度に、絆されかけ……て、ラミアがハッとする。
「おまえは近衛騎士隊長だろ! 職務を放棄するヤツは嫌いだ!」
これが精いっぱいの照れ隠しであることをクレイディは理解していた。
別室に運ばれたところでラミアは地声で叫んでいた。
部屋には二人きり。他の目を気にする必要はない。
「さて、何のことでしょう?」
それなのに、青黒の髪を揺らしながらワザとらしく金の目を細くするクレイディ。
「誤魔化しても無駄だぞ! おまえ、犬だろ!」
「犬とは失礼な。黒狼です」
人の姿になれる人狼。その中でも希少種である黒い狼。
だが、ラミアから見れば人になれる獣、という種族で一括りになる。
「大差ない! それより、下ろせ!」
「はい」
素直な返事にラミアは少しだけ拍子抜けした。もっとゴネると予想していたのに。
だが、グレイディはソファーに近づくと……
「なぜ、こうなる!?」
そのまま下ろされると思いきや、ソファーに座ったクレイディの膝の上に座らされた。
この状況にラミアの声が荒くなる。
「一緒に座る必要はないだろ!」
「ですが、こうしないと逃げられそうなので」
「だからって……」
窓から差し込む月光が青黒の髪を淡く照らす。金の瞳が覗き込み、筋の通った鼻が頬に触れそうなほど近い。そして、犬の時と同じ夜露の香りが全身を包む。
なんとなく恥ずかしくなったラミアが逃げるように顔を背けた。
(あ、相手は犬だ。何も気にすることなんて……)
すると、無骨な太い指が白い顎をクイッと上へ向かせた。まっすぐな金の瞳に胸が跳ねる。
「吸血鬼は霧になって隙間から逃げられますからね」
正体を見破られていたことにラミアの熱が一気に下がった。
「……気づいていたのか」
「太陽の下を歩ける吸血鬼は初めて見ましたが」
その言葉にラミアがフッと笑う。
「僕は、特別なんだ」
「知ってます」
当然のように断言するクレイディ。
その男前な表情に。自信に溢れた金の瞳に。挫折、屈辱、無念さなど知らない力強さに。
ラミアの中で怒りが、不満が、噴きあがっていく。
『気持ち悪い』
『恥さらし』
『出来損ない』
散々言われてきた言葉が脳内を駆け巡る。
忘れようとして、忘れられず。逃れようとして、逃れられず。
ずっと、ずっと、捕らわれてきた。
(何も知らないくせに……)
震えそうになる手をキツく握りしめる。
(大丈夫。僕は、特別なんだ)
ずっと自分に言い聞かせてきた言葉。自分は特別なのだ。他の吸血鬼とは違うのだ。だから、陽の下を歩けるし、血や薔薇以外からも生気を摂取できる。
こう考えることで、どうにか保ってきた自尊心。
でも、どれだけ言い聞かせても不安は消えない。影のように追いかけてきて。鍋の底にある焦げのようにこびりついていて。常に自信を奪おうとする。
そんなラミアにクレイディが言葉を続けた。
「あなたは特別ですから」
「いい加減なことを言うな!」
ラミアが怒鳴りながらクレイディの膝から飛び降りた。そのまま怒りに任せて喚き散らす。
「僕のことを何も知らないくせに、知った風に言うな! おまえも、あの男と同じだ! 勝手に僕の表面だけを見て、勝手に理想の僕を作り上げているだけだ!」
歯を食いしばり銀髪で顔を隠しながら俯く。
「本当の、僕は……僕は…………」
言葉が終わる前に、無骨な手が白い頬に伸びた。
「あなたは特別です。どんな吸血鬼より優秀な血を求める。その姿は高潔で、どの吸血鬼より、気高い」
思わぬ言葉にラミアの反応が遅れる。
「……気高い?」
初めて言われた言葉。
「はい」
顔をあげれば、目の前には柔らかな微笑み。
その見守るような眼差しに、噴き出していた鬱憤が鎮まる。ずっと腹の底で渦巻いていた感情が溶けていく。縛り付けていた鎖が解け、心が軽くなる。
「……僕は、醜くないのか?」
こぼれた言葉にクレイディが手の甲で頬を撫で、髪をさらう。
「こんなに美しいのに?」
不思議そうに首を傾げながら銀の髪を指に絡める。
「血や薔薇以外の生気を吸い取るぞ」
「他の吸血鬼には出来ないことができる。凄いことです」
「陽を浴びても砂にならないぞ」
「昼を楽しめる素晴らしい体です。そうだ、今度デートをしましょう。遠乗りがいいですか? それとも、街で流行りの菓子の食べ歩きをします?」
思わぬ提案にラミアが笑う。
「おまえには情緒がないのか? デートに誘うなら、もっと雰囲気を作ってから誘え」
「犬ですから」
開き直ったような声音にラミアがますます笑う。
「狼なんだろ?」
「ですが、あなたのためなら犬にもなります」
そう言うと、端正な顔が甘えるように銀髪に埋まった。そんなクレイディを拒否しないまま、ラミアが話を続ける。
「残念だが、僕は犬を求めてない。求めているのは、優秀な雌だ」
「私は優秀ですよ?」
紫の瞳が訝しむように睨む。
「だが、おまえは雄だ。雄が相手では血は残せない」
すると、銀髪の隙間から金の瞳だけが鋭く覗いた。
「……知ってますよ」
低く真剣な声とともにラミアの体がさらわれる。ふたたびソファーの上の住人となり、背後から太い腕が抱き込む。
「何を知っているんだ?」
首を傾けて後ろを見れば、クレイディの口角が獰猛にあがり、白い歯が覗いていた。獲物を前にした肉食獣のような気配に、最強の種族の一つである吸血鬼のラミアの背中がゾクリと震える。
「優秀な雄が現れたら、あなたはその身に新たな生命を宿すことができる」
言葉とともに大きな手が下っ腹を撫でた。その手の動きが肌を舐めるように這うが、不思議と嫌悪感はない。むしろキュンと熱が集まる。
雌の吸血鬼であれば、こぞって奪い合うであろう。それだけ強く、美しく、優秀な血の匂いを漂わす雄。
しかも、吸血鬼を屈服させるだけの生命力。
(たしかに、こいつが相手なら僕の血を残すことも……いや、いや! 僕は男だ! 雄に屈服などしない!)
認めたくないラミアは視線を室内へ巡らせた。王城ということもあり、王家の紋章が描かれた家具や装飾品が飾られている。
そこで、王女が近衛騎士と恋に落ちたという話題を思い出す。
(そうだ。これだけの外見だし、王女が惚れるのも納得だし、男の僕より王女の方が良いに決まってる)
沈んでいく感情を隠すように、ラミアは紫の瞳を鋭くして睨んだ。
「王女と恋仲なんだろ? 僕ではなく王女のところへ行け」
犬の姿の時にあれだけ懐いていたのに、それが他人に取られると思うと腹立たしくなってきた。
(あれだけ、何度も屋敷に来て、全身を舐めてきたくせに)
拗ねたようにプイッと顔を背けたラミアに対して、クレイディが意地悪そうに訊ねる。
「もしかして、ヤキモチを?」
「なっ!? んなわけないだろ! この高貴な僕がヤキモチなど!」
慌てて否定すると、澄ました顔が返ってきた。
「まぁ、王女と恋仲なのは副隊長のほうですし」
「……そうなのか?」
「はい。ですが、あなたが心配するのであれば」
言葉を切ったクレイディがソファーから下りて片膝を床につく。
そのまま、ラミアの手をとって顔をあげた。真っ白な細い手を包み込む大きな手。慎重に、壊れないように触れているのが分かる。
見つめていると青黒の髪が揺れ、薄い唇が手の甲に落ちた。
「あなただけの犬となりましょう」
まるで騎士が忠誠を誓うような言葉と態度。
その言葉に、その態度に、絆されかけ……て、ラミアがハッとする。
「おまえは近衛騎士隊長だろ! 職務を放棄するヤツは嫌いだ!」
これが精いっぱいの照れ隠しであることをクレイディは理解していた。
103
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【連載版あり】「頭をなでてほしい」と、部下に要求された騎士団長の苦悩
ゆらり
BL
「頭をなでてほしい」と、人外レベルに強い無表情な新人騎士に要求されて、断り切れずに頭を撫で回したあげくに、深淵にはまり込んでしまう騎士団長のお話。リハビリ自家発電小説。一話完結です。
※加筆修正が加えられています。投稿初日とは誤差があります。ご了承ください。
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
『君を幸せにする』と毎日プロポーズしてくるチート宮廷魔術師に、飽きられるためにOKしたら、なぜか溺愛が止まらない。
春凪アラシ
BL
「君を一生幸せにする」――その言葉が、これほど厄介だなんて思わなかった。
チート宮廷魔術師×うさぎ獣人の道具屋。
毎朝押しかけてプロポーズしてくる天才宮廷魔術師・シグに、うんざりしながらも返事をしてしまったうさぎ獣人の道具屋である俺・トア。
でもこれは恋人になるためじゃない、“一目惚れの幻想を崩し、幻滅させて諦めさせる作戦”のはずだった。
……なのに、なんでコイツ、飽きることなく俺の元に来るんだよ?
“うさぎ獣人らしくない俺”に、どうしてそんな真っ直ぐな目を向けるんだ――?
見た目も性格も不釣り合いなふたりが織りなす、ちょっと不器用な異種族BL。
同じ世界観の「「世界一美しい僕が、初恋の一目惚れ軍人に振られました」僕の辞書に諦めはないので全力で振り向かせます」を投稿してます!トアも出てくるので良かったらご覧ください✨
植物チートを持つ俺は王子に捨てられたけど、実は食いしん坊な氷の公爵様に拾われ、胃袋を掴んでとことん溺愛されています
水凪しおん
BL
日本の社畜だった俺、ミナトは過労死した末に異世界の貧乏男爵家の三男に転生した。しかも、なぜか傲慢な第二王子エリアスの婚約者にされてしまう。
「地味で男のくせに可愛らしいだけの役立たず」
王子からそう蔑まれ、冷遇される日々にうんざりした俺は、前世の知識とチート能力【植物育成】を使い、実家の領地を豊かにすることだけを生きがいにしていた。
そんなある日、王宮の夜会で王子から公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられる。
絶望する俺の前に現れたのは、この国で最も恐れられる『氷の公爵』アレクシス・フォン・ヴァインベルク。
「王子がご不要というのなら、その方を私が貰い受けよう」
冷たく、しかし力強い声。気づけば俺は、彼の腕の中にいた。
連れてこられた公爵邸での生活は、噂とは大違いの甘すぎる日々の始まりだった。
俺の作る料理を「世界一美味い」と幸せそうに食べ、俺の能力を「素晴らしい」と褒めてくれ、「可愛い、愛らしい」と頭を撫でてくれる公爵様。
彼の不器用だけど真っ直ぐな愛情に、俺の心は次第に絆されていく。
これは、婚約破棄から始まった、不遇な俺が世界一の幸せを手に入れるまでの物語。
炎の精霊王の愛に満ちて
陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。
悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。
ミヤは答えた。「俺を、愛して」
小説家になろうにも掲載中です。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる