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怒濤の仕事ラッシュを終え、三日ぶりに帰れた我が家。
私はボロボロの体に鞭を打ってシャワーを浴び、タオルで頭を拭きながらリビングに入った。
「まったく。私を便利屋みたいに、こき使いまくるんだから。担当以外は診ないって言ってるのに緊急手術にまで駆り出されてさ」
一人暮らしのワンルームで愚痴りながら帰る途中のコンビニで買った缶チューハイを手にとり、プルタブに指をかける。
プシュッ。
小気味よい音とともに炭酸とフルーティーな香りが殺風景な部屋に広がり、私は誘われるように缶に口をつけた。
「くぅぅ!」
シュワッと喉に走る刺激と口内に残るフルーツの甘味とアルコールの微かな苦み。久しぶりのアルコールが体に沁み込んでいく。
「はぁ、生き返るぅ」
行儀悪くゴロリとソファーに転がった私はタブレットのスイッチを入れた。
トントン、と数回タップするだけで映し出される映像。
それはプールでプカプカと浮かぶアザラシたちの姿だった。
「いやーん、今日も推したちが可愛い!」
アザラシがプールの中で垂直に浮かぶ様子や、ホースで遊ぶ姿が映っているだけなのだが……
「あぁ、みんな仲良くくっついて……あ、こっちの子はホースをガジガジしてて可愛い! あれ? もしかして、あの子は新入り!? もう、じゃれあって馴染んでるなんて偉い! あ、こっちむいた! 目を細めた顔も可愛い! あー、もうゴロゴロしてるのも最高! もう、生きているだけで、みんな可愛い! 存在が尊い! 見ているだけで癒されるぅ」
仕事で疲労しきった脳は語彙力を失い、可愛いという言葉しかでない。
「あ、投げ銭しなきゃ。これで美味しいお魚を食べてね」
チャリンと日課の寄付をして、うっとりとアザラシたちを眺めながら缶チューハイを飲む。
「はぁ……老後はアザラシ幼稚園を眺めるだけの生活をしたいわ」
これで心は癒されるけど、体はそういうわけにはいかなくて。
もっと見ていたいのに、疲労と眠気で瞼が重くなっていく。
「明日は久しぶりの休みだから、買い物をして、昼からはアザラシ幼稚園の餌やりを見て……」
ゴトリとタブレットが床に落ちる音が響く。
それが最期に聞いた音だった。
~~
目を閉じていても感じる眩しい光に、うーんと唸りながら目を開ける。
(うぅ……)
ぼやけた頭のまま何度か瞬きをしていると、視界がハッキリとしてきた。
空に向かって伸びる大木といっぱいに広がった枝と緑の葉。すぐ隣には頬をくすぐる草に、風が運んでくる甘い花の香り。
少し先には太陽の光を反射してキラキラと輝く湖。
(……えっ!?)
そこは木が点在する草原だった。
(なんで!? 私は家に帰って……? 家……あれ? 私、どこにいたんだっけ? そもそも、私って誰?)
思い出そうとするけど、頭に霧がかかったようにぼんやりしいて、私がどこの誰なのか、まったく思い出せない。
(とにかく、ここがどこなのか……)
状況を知るために体を起こそうとしたが……
(あれ? 動けない?)
お腹と手に力を入れるが体を起こせない。
それどころか……
「きゅっ? きゅっ?」
(あれ? あれ?)
声を出すたびに聞きなれない音もする。まるで窓を磨くような、靴でピカピカの床を歩くような音。
「きゅう? きゅうぅ?」
(なんで? なんでぇ?)
状況が分からず、どうにか少しでも動こうとバタバタと暴れていると体が傾いた。
それから、視界がグルンとまわり……
「きゅぅぁぁあー!!!!!」
(きゃぁぁぁぁあー!!!!!)
緩やかな下り坂をゴロゴロと転がり落ちていく。
どうにか止めようと手と足に力を入れるけど、上手く力が入らず、踏ん張れない。
そして、私の頑張りも虚しく……
ポチャン。
軽い音とともにキラキラと輝いていた湖に落ちた。
(い、息っ! 息が!?)
水面にあがろうと必死にもがく。
ジタバタと手足を動かし、全身で上にあがろうとするが、体はどんどん沈んでいく。
(このままだと息が、苦しっ……くない? あれ? 苦しくない?)
もがくのをやめて周りを見る。
(……きれい)
よく見れば、湖の中は透明な青の世界。
底にある白い砂と沈んだ木々、その周辺に生えている水草までハッキリと見える。
(すごい)
綺麗すぎる水中に見惚れていると、体が勝手にスィーと進み始めた。
(……もしかして私、泳いでる!?)
湖に落ちる前はあんなに動けなかったのに、今は嘘のように動ける。しかも、水の中なのに苦しくない。
(魚になったみたい!)
状況を忘れて自由に泳ぎ回る。
光がカーテンのように差し込む水中をスイスイと進みながら、途中でクルッと一回転してみたり、ビューンと早く泳いでみたり。
空を飛んでいるかのように自由に動き回る。
ただ、そのうち少しずつ息が苦しくなってきて……
「きゅぁ!」
(ブファ!)
私は飛び出すように勢いよく水面から顔を出した。
「ぷきゅ、きゅぁぁ……」
(さすがに、魚じゃないからずっとは無理……)
水から顔を出して一息ついていると、ぶわりと叩きつけるような風が吹いた。
それからフッと頭上に影がさして……
ガシッ!
「きゅ!?」
(痛っ!?)
頭に鋭い痛みを感じると同時に、そのまま体が引っ張られる。
「きゅぁぁあ!?」
(えぇぇぇえ!?)
私の意思とは関係なく、どんどん空へと舞い上がっていく体。
「きゅ!? きゅ!? きゅぅぅぅ!?」
(なに!? なに!? なにぃぃぃ!?)
顔を動かせないため目だけを上に向けると、そこには巨大な鳥がバサバサと翼を動かして飛んでいた。
「きゅ!? きゅぁ、ぷきゅぅ!?」
(えっ!? なに、どういうこと!?)
驚いている間にも木々が低くなり、遠くの山まで見渡せほどの高さに。
緑の平地に生える木と、その真ん中に道があり、その先には畑と家が点在している。たぶん小さな町か村だろう。
「きゅ、ぷきゅぁ……ぁぁあ!?」
(まさか、人が住んで……ってぇぇえ!?)
眺めていると下から凄いスピードで何かが飛んできた。
それは矢のようでシュッ! と真横をかすめて背後へと消えていった……のだが。
「きゅ!?」
(うわっ!?)
突如、私の体が落下を始めた。
鳥がバランスを崩したのか、矢みたいなものが羽に当たっていたのか、私を掴んだまま急滑降していく。
「きゅきゅぅぅぅ!!!!」
(離してぇぇぇぇぇ!!!!)
悲鳴とともにクルクルと旋回しながら落下していく。
これが水の中ならスイスイッと動けるけど、ここは陸上どころか空。まったく動けない。
容赦なく近づいてくる地面。
このまま落ちたらペッタンコになる自信しかない上に、急旋回しているから目もまわってきた。
「ぷぃぃぃぃ!」
(ダメェェェ!)
ギュッと目を閉じて全身に力を入れる。
『風の精霊よ。翼を持たぬ者に慈悲を』
心地良い低い声が耳を撫でると同時に柔らかな風に包まれた。
それから、頭に刺さっていた痛みが消え、ふわりとあたたかな温もりに包まれる。
「きゅ?」
(え?)
突然の展開に恐る恐る目を開けると、そこには超絶美形の美青年がいた。
私はボロボロの体に鞭を打ってシャワーを浴び、タオルで頭を拭きながらリビングに入った。
「まったく。私を便利屋みたいに、こき使いまくるんだから。担当以外は診ないって言ってるのに緊急手術にまで駆り出されてさ」
一人暮らしのワンルームで愚痴りながら帰る途中のコンビニで買った缶チューハイを手にとり、プルタブに指をかける。
プシュッ。
小気味よい音とともに炭酸とフルーティーな香りが殺風景な部屋に広がり、私は誘われるように缶に口をつけた。
「くぅぅ!」
シュワッと喉に走る刺激と口内に残るフルーツの甘味とアルコールの微かな苦み。久しぶりのアルコールが体に沁み込んでいく。
「はぁ、生き返るぅ」
行儀悪くゴロリとソファーに転がった私はタブレットのスイッチを入れた。
トントン、と数回タップするだけで映し出される映像。
それはプールでプカプカと浮かぶアザラシたちの姿だった。
「いやーん、今日も推したちが可愛い!」
アザラシがプールの中で垂直に浮かぶ様子や、ホースで遊ぶ姿が映っているだけなのだが……
「あぁ、みんな仲良くくっついて……あ、こっちの子はホースをガジガジしてて可愛い! あれ? もしかして、あの子は新入り!? もう、じゃれあって馴染んでるなんて偉い! あ、こっちむいた! 目を細めた顔も可愛い! あー、もうゴロゴロしてるのも最高! もう、生きているだけで、みんな可愛い! 存在が尊い! 見ているだけで癒されるぅ」
仕事で疲労しきった脳は語彙力を失い、可愛いという言葉しかでない。
「あ、投げ銭しなきゃ。これで美味しいお魚を食べてね」
チャリンと日課の寄付をして、うっとりとアザラシたちを眺めながら缶チューハイを飲む。
「はぁ……老後はアザラシ幼稚園を眺めるだけの生活をしたいわ」
これで心は癒されるけど、体はそういうわけにはいかなくて。
もっと見ていたいのに、疲労と眠気で瞼が重くなっていく。
「明日は久しぶりの休みだから、買い物をして、昼からはアザラシ幼稚園の餌やりを見て……」
ゴトリとタブレットが床に落ちる音が響く。
それが最期に聞いた音だった。
~~
目を閉じていても感じる眩しい光に、うーんと唸りながら目を開ける。
(うぅ……)
ぼやけた頭のまま何度か瞬きをしていると、視界がハッキリとしてきた。
空に向かって伸びる大木といっぱいに広がった枝と緑の葉。すぐ隣には頬をくすぐる草に、風が運んでくる甘い花の香り。
少し先には太陽の光を反射してキラキラと輝く湖。
(……えっ!?)
そこは木が点在する草原だった。
(なんで!? 私は家に帰って……? 家……あれ? 私、どこにいたんだっけ? そもそも、私って誰?)
思い出そうとするけど、頭に霧がかかったようにぼんやりしいて、私がどこの誰なのか、まったく思い出せない。
(とにかく、ここがどこなのか……)
状況を知るために体を起こそうとしたが……
(あれ? 動けない?)
お腹と手に力を入れるが体を起こせない。
それどころか……
「きゅっ? きゅっ?」
(あれ? あれ?)
声を出すたびに聞きなれない音もする。まるで窓を磨くような、靴でピカピカの床を歩くような音。
「きゅう? きゅうぅ?」
(なんで? なんでぇ?)
状況が分からず、どうにか少しでも動こうとバタバタと暴れていると体が傾いた。
それから、視界がグルンとまわり……
「きゅぅぁぁあー!!!!!」
(きゃぁぁぁぁあー!!!!!)
緩やかな下り坂をゴロゴロと転がり落ちていく。
どうにか止めようと手と足に力を入れるけど、上手く力が入らず、踏ん張れない。
そして、私の頑張りも虚しく……
ポチャン。
軽い音とともにキラキラと輝いていた湖に落ちた。
(い、息っ! 息が!?)
水面にあがろうと必死にもがく。
ジタバタと手足を動かし、全身で上にあがろうとするが、体はどんどん沈んでいく。
(このままだと息が、苦しっ……くない? あれ? 苦しくない?)
もがくのをやめて周りを見る。
(……きれい)
よく見れば、湖の中は透明な青の世界。
底にある白い砂と沈んだ木々、その周辺に生えている水草までハッキリと見える。
(すごい)
綺麗すぎる水中に見惚れていると、体が勝手にスィーと進み始めた。
(……もしかして私、泳いでる!?)
湖に落ちる前はあんなに動けなかったのに、今は嘘のように動ける。しかも、水の中なのに苦しくない。
(魚になったみたい!)
状況を忘れて自由に泳ぎ回る。
光がカーテンのように差し込む水中をスイスイと進みながら、途中でクルッと一回転してみたり、ビューンと早く泳いでみたり。
空を飛んでいるかのように自由に動き回る。
ただ、そのうち少しずつ息が苦しくなってきて……
「きゅぁ!」
(ブファ!)
私は飛び出すように勢いよく水面から顔を出した。
「ぷきゅ、きゅぁぁ……」
(さすがに、魚じゃないからずっとは無理……)
水から顔を出して一息ついていると、ぶわりと叩きつけるような風が吹いた。
それからフッと頭上に影がさして……
ガシッ!
「きゅ!?」
(痛っ!?)
頭に鋭い痛みを感じると同時に、そのまま体が引っ張られる。
「きゅぁぁあ!?」
(えぇぇぇえ!?)
私の意思とは関係なく、どんどん空へと舞い上がっていく体。
「きゅ!? きゅ!? きゅぅぅぅ!?」
(なに!? なに!? なにぃぃぃ!?)
顔を動かせないため目だけを上に向けると、そこには巨大な鳥がバサバサと翼を動かして飛んでいた。
「きゅ!? きゅぁ、ぷきゅぅ!?」
(えっ!? なに、どういうこと!?)
驚いている間にも木々が低くなり、遠くの山まで見渡せほどの高さに。
緑の平地に生える木と、その真ん中に道があり、その先には畑と家が点在している。たぶん小さな町か村だろう。
「きゅ、ぷきゅぁ……ぁぁあ!?」
(まさか、人が住んで……ってぇぇえ!?)
眺めていると下から凄いスピードで何かが飛んできた。
それは矢のようでシュッ! と真横をかすめて背後へと消えていった……のだが。
「きゅ!?」
(うわっ!?)
突如、私の体が落下を始めた。
鳥がバランスを崩したのか、矢みたいなものが羽に当たっていたのか、私を掴んだまま急滑降していく。
「きゅきゅぅぅぅ!!!!」
(離してぇぇぇぇぇ!!!!)
悲鳴とともにクルクルと旋回しながら落下していく。
これが水の中ならスイスイッと動けるけど、ここは陸上どころか空。まったく動けない。
容赦なく近づいてくる地面。
このまま落ちたらペッタンコになる自信しかない上に、急旋回しているから目もまわってきた。
「ぷぃぃぃぃ!」
(ダメェェェ!)
ギュッと目を閉じて全身に力を入れる。
『風の精霊よ。翼を持たぬ者に慈悲を』
心地良い低い声が耳を撫でると同時に柔らかな風に包まれた。
それから、頭に刺さっていた痛みが消え、ふわりとあたたかな温もりに包まれる。
「きゅ?」
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