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「グッ……」
「団長!」
マクティーラの呻き声でフィアが縋りつくように呼びかける。
相変わらず呼吸は浅く、顔は青白い。目をきつく閉じて、眉間にシワを寄せている。
その様子にフィアが地面に両手をついて頭をさげた。
「すみません……ボクが命令を無視して飛び出したから……」
ザリッと土を握りしめる。
そこにかすれ声がした。
「気に、するな……」
「団長!」
「きゅあ!」
(話したらダメ!)
フィアを気遣って話そうとしているのだろうけど、今は少しでも毒がまわらないように安静にしていないといけない。
(傷口より上を縛ったけど、症状を診る限りでは毒は神経にまで影響を出している。どうにかして毒を分解するか、体内から出さないと、後遺症どころか命も危ない)
私はマクティーラとフィアの間に体を割り込ませて会話を止めようとした。
でも、私の言葉は伝わらなくて。
「捜索は、続けろ……愛おし子を、見つけ……」
ヒューヒューと空気が漏れるような音とともに出るか細い声。
その姿にフィアが大きく頭を振る。
「団長、しゃべらないでください! ボクが治療魔法を使えたら……」
悔しさが滲んだ声。
その悔しさはとてもよく分かる。力があれば、知識があれば救えるのに。それができない歯がゆさ、もどかしさ。
何度も経験して、涙をのんだ。
「きゅ、きゅぅぅ……」
(私も、助けたい……)
悔しさを抑えてマクティーラの手首に触れる。
トットットッと脈が速い。それだけ体が苦しく、毒と戦っている証拠。
「きゅぅ、きゅぁ……」
(助けて、誰か……)
脈の流れが触れている部分から私の中に沁み込んでいく。まるで一つになるかのような、感覚を共有するような、初めて感じる……
ここでフッと脳内に人体の立体映像が浮かんだ。
(……これは、マクティーラの体?)
血液の流れから臓器の動きまで手に取るように見える。いや、実際に触れられるような感覚。
(もしかして、応急処置ぐらいならできる?)
突然の状況の連続に混乱していた頭が急速に冷えていく。
(イラールは救援を呼んでくると言っていた。そして、フィアは治療魔法が使えたら、と言った。つまり、この世界には治療魔法という治療方法があって、これから治療魔法を使える人が来る、ということ。それなら、その人が来るまでの時間稼ぎができれば!?)
私は顔をあげてマクティーラの全身を視た。
(打撲はあるけど、骨折や臓器からの出血はない。それなら問題は毒だけ。代謝を落として、全身に毒がまわるのを遅くすれば……)
そう考えた瞬間、私の体の中にある何かがマクティーラの体の中へと流れ始めた。
ゆったりと私の一部がマクティーラの全身に広がっていく。
「団長!? 体が冷たく!?」
「きゅあ!」
(触らないで!)
慌てるフィアに私は小さな手をあげた。
体温をさげて仮死状態にすれば毒がまわるのも遅くなるし、毒による臓器の損傷も抑えられる。ただ、問題は体温をさげる方法と速度。
闇雲に体温をさげれば、体は凍死しないように熱をつくろうとして震えをおこす。そうなったら、かなりの体力を消耗するし血流が激しくなり逆効果だ。
(少しずつ血液から臓器までゆっくりと冷やして……)
私の真剣さが伝わったのかフィアが黙って様子を見ている。
ふわりと淡い光が私とマクティーラを包む。目線が少しだけ高くなり、体の感覚が変わる。でも、今はそんなことを気にしている場合ではない。
マクティーラの早かった脈が徐々に遅くなり、体温もさがっていく。心臓の動きもゆっくりとなり、臓器の動きも緩慢になり体が冬眠状態になる。
(よし、うまく仮死状態までできた! あとは、治療ができる人を待って……)
ここでクラッと世界がまわった。
倒れそうになった体をフィアが支える。
「お、おい、大丈夫か!?」
「だい、じょうぶで、しゅ……」
聞いたことのない幼い声が耳に触れる。
けど、それよりも治療が終わって仮死状態から元に戻す時がもっとも重要で、ここで気絶なんかできない。
それは分かっている。
でも、強烈な眠気と疲労に抗えなくて。
「マク……なおっちゃら、からだ、ゆっくり、あたため……」
「おい、しっかりしろ! その姿は……」
ここで私の意識は途切れた。
「団長!」
マクティーラの呻き声でフィアが縋りつくように呼びかける。
相変わらず呼吸は浅く、顔は青白い。目をきつく閉じて、眉間にシワを寄せている。
その様子にフィアが地面に両手をついて頭をさげた。
「すみません……ボクが命令を無視して飛び出したから……」
ザリッと土を握りしめる。
そこにかすれ声がした。
「気に、するな……」
「団長!」
「きゅあ!」
(話したらダメ!)
フィアを気遣って話そうとしているのだろうけど、今は少しでも毒がまわらないように安静にしていないといけない。
(傷口より上を縛ったけど、症状を診る限りでは毒は神経にまで影響を出している。どうにかして毒を分解するか、体内から出さないと、後遺症どころか命も危ない)
私はマクティーラとフィアの間に体を割り込ませて会話を止めようとした。
でも、私の言葉は伝わらなくて。
「捜索は、続けろ……愛おし子を、見つけ……」
ヒューヒューと空気が漏れるような音とともに出るか細い声。
その姿にフィアが大きく頭を振る。
「団長、しゃべらないでください! ボクが治療魔法を使えたら……」
悔しさが滲んだ声。
その悔しさはとてもよく分かる。力があれば、知識があれば救えるのに。それができない歯がゆさ、もどかしさ。
何度も経験して、涙をのんだ。
「きゅ、きゅぅぅ……」
(私も、助けたい……)
悔しさを抑えてマクティーラの手首に触れる。
トットットッと脈が速い。それだけ体が苦しく、毒と戦っている証拠。
「きゅぅ、きゅぁ……」
(助けて、誰か……)
脈の流れが触れている部分から私の中に沁み込んでいく。まるで一つになるかのような、感覚を共有するような、初めて感じる……
ここでフッと脳内に人体の立体映像が浮かんだ。
(……これは、マクティーラの体?)
血液の流れから臓器の動きまで手に取るように見える。いや、実際に触れられるような感覚。
(もしかして、応急処置ぐらいならできる?)
突然の状況の連続に混乱していた頭が急速に冷えていく。
(イラールは救援を呼んでくると言っていた。そして、フィアは治療魔法が使えたら、と言った。つまり、この世界には治療魔法という治療方法があって、これから治療魔法を使える人が来る、ということ。それなら、その人が来るまでの時間稼ぎができれば!?)
私は顔をあげてマクティーラの全身を視た。
(打撲はあるけど、骨折や臓器からの出血はない。それなら問題は毒だけ。代謝を落として、全身に毒がまわるのを遅くすれば……)
そう考えた瞬間、私の体の中にある何かがマクティーラの体の中へと流れ始めた。
ゆったりと私の一部がマクティーラの全身に広がっていく。
「団長!? 体が冷たく!?」
「きゅあ!」
(触らないで!)
慌てるフィアに私は小さな手をあげた。
体温をさげて仮死状態にすれば毒がまわるのも遅くなるし、毒による臓器の損傷も抑えられる。ただ、問題は体温をさげる方法と速度。
闇雲に体温をさげれば、体は凍死しないように熱をつくろうとして震えをおこす。そうなったら、かなりの体力を消耗するし血流が激しくなり逆効果だ。
(少しずつ血液から臓器までゆっくりと冷やして……)
私の真剣さが伝わったのかフィアが黙って様子を見ている。
ふわりと淡い光が私とマクティーラを包む。目線が少しだけ高くなり、体の感覚が変わる。でも、今はそんなことを気にしている場合ではない。
マクティーラの早かった脈が徐々に遅くなり、体温もさがっていく。心臓の動きもゆっくりとなり、臓器の動きも緩慢になり体が冬眠状態になる。
(よし、うまく仮死状態までできた! あとは、治療ができる人を待って……)
ここでクラッと世界がまわった。
倒れそうになった体をフィアが支える。
「お、おい、大丈夫か!?」
「だい、じょうぶで、しゅ……」
聞いたことのない幼い声が耳に触れる。
けど、それよりも治療が終わって仮死状態から元に戻す時がもっとも重要で、ここで気絶なんかできない。
それは分かっている。
でも、強烈な眠気と疲労に抗えなくて。
「マク……なおっちゃら、からだ、ゆっくり、あたため……」
「おい、しっかりしろ! その姿は……」
ここで私の意識は途切れた。
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