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いつも通りのはずだった
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オンラインゲームとは本来、友達と遊ぶものだ。少なくとも公式サイトにはそう書いてあった。
オレは山岡尊、24歳。今日も今日とて、ずっと続けている戦国国取ストラテジーゲームをしている。オレが19の時に発売されたゲームだ。かなりやり込んでいる。
このゲームの売りは、戦国時代がベースのゲームなのに、課金アイテムが常軌を逸しているのだ。現代のピストルや、ファンタジー顔負けな衝撃波が出る槍、雷を纏った刀などなど、その他にも色々と武器や防具がある。
そんなゲームが面白いのか!?って思うだろう。あぁ、これが意外に面白いんだ。どの時間帯でもこのゲームの同接が2万人を下回った事のないモンスターゲームだ。海外ファンも多い。ちなみに、もちろんオレも課金している。
それともう一つ。オレはフレンド0人。現実世界では友達は居る……と思っている。彼女?聞かなくても分かるだろう。ゲームをしている男だ。言わせるな。
『こんばんは!尊!今日も一人ですか!』
フレンドが一定数以下のプレイヤーにだけ解放される、ゲーム内AI補佐官。
皮肉と優しさの配合を間違えたような存在だ。
だが、案外このAIが優秀で、自分が作ったゲーム内キャラの能力に依存される為、自分が苦手な能力や相手との相性に特性が付く仕様なのだ。
そして何より、残機無限の相手に嫌がらせプレイを好み、敢えてサブ垢でライバル(オンラインプレイヤー)に向けて神風アタックさせている奴も居る。
オレ?オレはゲーム内でもそういう惨い事はさせたくない。かつてはオープン部屋で大規模なオンライン対戦などもしたが、そんなバグを使ったような事はしない。何よりAIに可哀想と思ってしまう性格のせいか、寧ろ対決の時には拠点で待機させている事が殆どだった。
結局今は、鍵付きのオフライン専用のオレだけの部屋で一人で遊んでいる訳だ。
オレがこのゲームに熱中している理由は、現実を忘れさせてくれるからだ。自分のキャラを作り、あ、もちろん能力値は盛り盛り。特性盛り盛りのチートキャラだ。ついでに、長髪、色白、切れ目の超イケメンだ。
この鍵付きのオレだけの部屋では、現実の自分とは程遠いキャラを操作し、ゲーム内のNPCに頼られる。その頼られるゲーム内のオツカイミッションや、政務などなど……それを達成するのが気持ち良いからだ。勝手に自分に置き換え、現実でもこうなればいいのになぁ……と心の中で思う厨二心満開な痛い男。それがオレだ。
その日もオレは、このゲーム内AI補佐官――名前はオレが勝手に決めた静樹と会話しながら、黙々とプレイしていた。
「静樹?なんか今日はやけにリアルに見えるんだけど、HDRの設定弄った?」
『いいえ?設定に関しては何も触っておりませんよ?』
「おかしいな……」
『……』
「まぁいいや。さて……やっとバイトの給料日だからな!今日も引くぞ!今のイベントは……お!いいじゃん!絶味の茶釜!戦闘には使えないけど内政値が+3上がるんだ!引くぞ!」
『課金する時は計画的にですよ!』
「大丈夫だって!はぁ~!?ハズレかよ!?ロングソードだぁ!?クソが!ゴミ武器じゃん!次!はぁ!?またか!?幕内弁当セットとか意味分からないじゃん!」
『尊様。そろそろ辞めた方が良いかと思いますよ』
「おいおい!ゲーム会社の利益になるように言うのが普通なんじゃないの?おっ!こ、この演出は……きたか!?は?何これ?」
『おめでとうございます!☆@★の薬(ザッザッ)ですよ!』
「ちょっと拠点に戻っててくれない?文字化けとフリーズしそうになってるから、少し設定イジイジする。もしバグって静樹の能力が初期化されるの嫌だから」
『そんな(ザッザッ)バ(ザッザッ)事あり(ザッザッ)ん』
「あぁ!ちょ!待て!何でここまで見た事ない文字化けのようなバグが起こるんだよ!そもそも、あのアイテムが何か気になるじゃん!」
オレが躍起になり、対戦で負けた訳でもないのに顔真っ赤になりながら、先程出たアイテムをアイテムボックスにドラッグして収納しようとした時、アイテムを使用する音が聞こえた。
「はぁ!?なんだよこれ!?」
オレが本気で驚いているその瞬間、画面の中に身体が吸い込まれた。
そして、気がつくとオレは城の前に立っていた。
「は!?」
オレは山岡尊、24歳。今日も今日とて、ずっと続けている戦国国取ストラテジーゲームをしている。オレが19の時に発売されたゲームだ。かなりやり込んでいる。
このゲームの売りは、戦国時代がベースのゲームなのに、課金アイテムが常軌を逸しているのだ。現代のピストルや、ファンタジー顔負けな衝撃波が出る槍、雷を纏った刀などなど、その他にも色々と武器や防具がある。
そんなゲームが面白いのか!?って思うだろう。あぁ、これが意外に面白いんだ。どの時間帯でもこのゲームの同接が2万人を下回った事のないモンスターゲームだ。海外ファンも多い。ちなみに、もちろんオレも課金している。
それともう一つ。オレはフレンド0人。現実世界では友達は居る……と思っている。彼女?聞かなくても分かるだろう。ゲームをしている男だ。言わせるな。
『こんばんは!尊!今日も一人ですか!』
フレンドが一定数以下のプレイヤーにだけ解放される、ゲーム内AI補佐官。
皮肉と優しさの配合を間違えたような存在だ。
だが、案外このAIが優秀で、自分が作ったゲーム内キャラの能力に依存される為、自分が苦手な能力や相手との相性に特性が付く仕様なのだ。
そして何より、残機無限の相手に嫌がらせプレイを好み、敢えてサブ垢でライバル(オンラインプレイヤー)に向けて神風アタックさせている奴も居る。
オレ?オレはゲーム内でもそういう惨い事はさせたくない。かつてはオープン部屋で大規模なオンライン対戦などもしたが、そんなバグを使ったような事はしない。何よりAIに可哀想と思ってしまう性格のせいか、寧ろ対決の時には拠点で待機させている事が殆どだった。
結局今は、鍵付きのオフライン専用のオレだけの部屋で一人で遊んでいる訳だ。
オレがこのゲームに熱中している理由は、現実を忘れさせてくれるからだ。自分のキャラを作り、あ、もちろん能力値は盛り盛り。特性盛り盛りのチートキャラだ。ついでに、長髪、色白、切れ目の超イケメンだ。
この鍵付きのオレだけの部屋では、現実の自分とは程遠いキャラを操作し、ゲーム内のNPCに頼られる。その頼られるゲーム内のオツカイミッションや、政務などなど……それを達成するのが気持ち良いからだ。勝手に自分に置き換え、現実でもこうなればいいのになぁ……と心の中で思う厨二心満開な痛い男。それがオレだ。
その日もオレは、このゲーム内AI補佐官――名前はオレが勝手に決めた静樹と会話しながら、黙々とプレイしていた。
「静樹?なんか今日はやけにリアルに見えるんだけど、HDRの設定弄った?」
『いいえ?設定に関しては何も触っておりませんよ?』
「おかしいな……」
『……』
「まぁいいや。さて……やっとバイトの給料日だからな!今日も引くぞ!今のイベントは……お!いいじゃん!絶味の茶釜!戦闘には使えないけど内政値が+3上がるんだ!引くぞ!」
『課金する時は計画的にですよ!』
「大丈夫だって!はぁ~!?ハズレかよ!?ロングソードだぁ!?クソが!ゴミ武器じゃん!次!はぁ!?またか!?幕内弁当セットとか意味分からないじゃん!」
『尊様。そろそろ辞めた方が良いかと思いますよ』
「おいおい!ゲーム会社の利益になるように言うのが普通なんじゃないの?おっ!こ、この演出は……きたか!?は?何これ?」
『おめでとうございます!☆@★の薬(ザッザッ)ですよ!』
「ちょっと拠点に戻っててくれない?文字化けとフリーズしそうになってるから、少し設定イジイジする。もしバグって静樹の能力が初期化されるの嫌だから」
『そんな(ザッザッ)バ(ザッザッ)事あり(ザッザッ)ん』
「あぁ!ちょ!待て!何でここまで見た事ない文字化けのようなバグが起こるんだよ!そもそも、あのアイテムが何か気になるじゃん!」
オレが躍起になり、対戦で負けた訳でもないのに顔真っ赤になりながら、先程出たアイテムをアイテムボックスにドラッグして収納しようとした時、アイテムを使用する音が聞こえた。
「はぁ!?なんだよこれ!?」
オレが本気で驚いているその瞬間、画面の中に身体が吸い込まれた。
そして、気がつくとオレは城の前に立っていた。
「は!?」
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