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川之江動き出す
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川之江城に帰る工程は随分と賑やかだった。
相変わらずオレは輿だったが、こんなに織田軍……というか、簗田さんの私兵が居る中で男のオレが輿に乗るのはどうかと思ったが、信長の鶴の一声。
『山岡は飽くまで客だ!一国の大名ではないが客には変わりない!国を持つのが偉いとかそれは違う!万事抜かりなく輿で帰れ!奥方もだ!簗田!ちゃんと見張っておけ!』
と、言われ、堺まで輿で帰った。ルートは来た時と逆、草津、大津、淀、堺だ。
そして一番の米だ。300人の兵が一年活動するのに必要な米がざっくり計算3000~3500俵。この時代は60キロ俵だ。それでこのくらい必要になる。一応、一人1日3合計算だ。これが基準らしい。
で、そんな量の米はどこにある?って話だが、信長は用意してくれるらしい。なんせ、本拠の清洲城や岐阜城に戻れば平時でも1万俵くらいは備蓄してるのだろうな。
もうこの時点で河野家と差が出ているだろう。川之江の備蓄量は知らないが絶対にこんなに無いだろう。で、この人数の扶持を日計算すれば、1日で2~3俵。という事で、今は荷車で余裕をみて30俵運んでいる。
残りは堺船で定期便で送るとのこと。何故ここまでしてくれるのかって?
『らあめん……是非また食したいと思う。敢えてもう一度言うぞ?また食したい。分かるな?』
大事な事なので。ってやつだろうか。二回も言われた訳だ。とりあえず多少は川之江に帰った後の、最初の船で贈るということで決着した。
そして肝心の船だが、
『なんやて!?そがいな人間を一辺に運べるかぃ!』
「え!?ですが、織田様は『今井に言えば分かる』って言ってましたよ!?」
『カァ~!これやから織田はんは……。敵わんわ。とりあえず、今動かせるのは3隻や!1隻に30人乗せられるさかいに・・・10往復はせなあかんやん!日に往復1回として、10日かかるで!?』
「あのう、『もし今井が渋るようなら、山岡の上物の砂糖を半分分けてやる』と言っていました」
『おぉ~!そがいな事ならはよう言わんかぃ!ワイが必ず送ってやるさかいに。天候により多少は変わるけど、そこは堪忍してや?楓!励んで来いよ!尊はんの船には荷がいっぱいやから一人で乗りや~。あ、後、これ渡しとくわ!チョロまかしたりなんかしてへんで!?」
と、言われ、渡された紙。しかもわざわざ、少し上等な分厚い和紙に丁寧に書かれた、
換金
三千貫文 - 百貫文 = 二千九百貫文
鉄砲・火薬
二貫 × 五百丁 = 千貫文
二千九百貫文 - 千貫文 = 千九百貫文
米
一貫 × 五百俵 = 五百貫文
千九百貫文 - 五百貫文 = 千四百貫文
火縄部品
二百五十貫文
千四百貫文 - 二百五十貫文 = 千百五十貫文
上質木綿
二貫 × 二百反 = 四百貫文
千百五十貫文 - 四百貫文 = 七百五十貫文
塩
〇・三貫 × 三百俵 = 九十貫文
七百五十貫文 - 九十貫文 = 六百六十貫文
最終残高
六百六十貫文
もうね。あんな人なのにやはり商売人だと言わざるを得ない。几帳面だ。それに律儀に、オレが最初に抜いた100結を引いた金額から書いてくれている。
それから船で揺れる事5日。寄り道してないのに何で日数が同じなんだ!と思うだろうが、帰りの潮流の方が逆潮になったみたいで、こんなにかかった。特に鳴門辺りは三好の領海だ。水夫が本気を出してくれてもずっとは無理な訳だ。
甚兵衛が船頭の船に乗ったが航路も決まっているらしく、普段の航行よりかなり緊張していた。幸い三好からのちょっかいは無かったが、意外なルールがあるんだなと勉強になった。
「なぁ。助六。お前は何を学んだんだ?10日程だろうが、算術くらい少しは分かったか?」
「いえ、まったく。その代わり米を精米し、蒸し、麹を作り、水を混ぜながら……」
オレはマジで助六を海に落としてやろうかと思った。もう目の前が川之江港だけど明らかにそれは酒の作り方だ。しかも結構割とマジのこの時代の作り方ぽいからだ。なんなら、その通りしたら濁酒が出来上がりそうだ。
「(スパコンッ)お前は何を学んでたんだよ!そもそも何で助六が酒の作り方教わってんだよ!大体は寺とかの秘匿術なんじゃないのか!?」
「い、いえ!今井様が川之江城で酒を作れと申されまして……『酒を作れば堺が買い取ってやる。その陣頭指揮を取るのは助六や!』と申されまして・・・で、ですが話し方は少しまともになっておりませんか!?」
今井も今井だ。よくこんな男に酒の作り方を教えたな。しかも助六は酒好きなのは見た目から分かる。その好きな物を餌にし、しかも自分も少しでも儲けられるように策を張り巡らし、巡り巡って助六の算術を教え、酒も作らせ……マジで商人だわ。やってる事は間違ってないんだからな。
◆
川之江に着いたオレは、すかさず荷揚げ人足の、平八を見つけ手を振る。まぁ、平八だけじゃ足りないのは分かっている。いるが、一応礼儀的にな。
だが船に荷がパンパンに積まれてあるからか、川之江に居る荷揚げの人達が一斉に堺船に集まる。
「甚兵衛!この荷は暫く任せる!」
「いや、って、こんな大荷物、今ある小倉になんて入らないぞ!?」
「そこをどうにかする為に城に行き、備蓄庫を使わせてもらえるように言ってくる!それに急いで突貫で家を作らないといけないからな」
荷物だけじゃない。織田兵300人の寝泊まりする所を建てないといけない。こっちはマジのマジで至急だ。
「静樹!これから忙しくなる!勝手にしてきた事だが妻鳥様に怒られる事はないと思う。直ぐに城下の人足を集めてくれないか?賦役とは言わず、この残った660貫を使い、金生山から木を切り倒してほしい。静樹がバックアップ、目印を付け、土砂災害がでないように!」
オレは矢継ぎ早に指示をだす。
「助六!お前は静樹から戦斧を貰え!それで力一杯木を切り倒せ!驚く結果になる事を保証する!」
助六には元から渡してやると言っていた戦斧。元は課金アイテムだった物だ。材質はミスリル。木なら軽く小突くだけで切れるだろう。
「尊様!?家はどのような形に!?」
「仮設長屋だ!スピード重視!まずは雨風凌げて、火が使える程度でいい。全員分ができれば、直ぐに家に建て直す!屋根は、板葺き、茅葺、最悪は藁+土でもいいから!兎に角早さだ!」
「畏まりました!」
静樹がそういうと、二つの特性が点滅を始める。
同伴特性
《連策百段》
拠点建設・陣地構築において、工程を分解し最適な順で連鎖させる。人手・資材が少ないほど効率補正が上昇する。
同伴特性
《定式造営》
同一構造の建築を繰り返す際、設計と施工が定式化され速度が上昇する。
これでどれだけ、作業が加速するかは分からない。分からないけど、普通よりかは早くなるはずだ。
そしてオレは川之江城に登城する。だが、それ以前にこんな大荷物を乗せた船が川之江に来るのは初めてだそうで、多くはないが城下の領民が海に野次馬になっていた。
「貴様ッ!!どこをほっつき歩いていたんだ!これは貴様のせいか!」
「船の荷の事か?それならオレの個人的な荷だ。悪いが刻が惜しい」
「ぶ、無礼者めが!誰に言って……」
「石川!辞めぃ!山岡久しぶりだ。少々驚いているのだが、まさかあの港から運ばれてくる荷は例のか?」
「はい。詳しくは長くなりますが、尾張国の織田家と個人的に同盟を致しました。鉄砲500丁と弾と火薬も相応……鉄砲隊として300借り受けました」
「なっ・・・何を言っている!?そんな勝手な事して、大殿になんて言われると思うのだ!」
「山岡・・・それは誠か?石川の言う事も分かるが、そんな大きな事をそんな短期間でしてきたというのか!?」
「はい。三好が攻めてくれば堺辺りで織田軍が動きを見せて牽制してくれると。これはその書状になります。もし宜しければ城下の空いてる土地を借地としたく」
「殿!こんな者のいう事は聞いてはなりません!大殿に殿が咎められますぞ!疑心ありと思われてしまいますぞ!」
「石川ッ!何度も言わせるな!ワシは殿を裏切るつもりはない!山岡は私銭でこれ程の事をしてくれた!これがちょっとの銭でできる事ではないのは分かるであろう!宇摩、新居、周桑、燧灘の郡代全員に今一度召集をかけよ!」
「・・・はっ!」
「山岡。石川がすまん。あれでもワシの事を思ってくれる数少ない腹心なのだ。許せ。それと何か言いたかったのではないのか?」
「石川様の事は構いませんよ。願い事ではございませんが、川之江城の備蓄庫をお借りしたい。それと領民に賦役をお願いしたく。賦役と言っても銭を出します。それもオレの銭から。ですので、一揆を起こされたり不満は出ないように致しますので。後は妻鳥様がどこまで土地を許してくれるかです」
「ワシを試すか。いや、ここでワシが小さな事を言えば事が滞る……」
「よろしければ町屋、港、町道、田んぼ、水路、民家などの検地も並行して行えますが構いませんか?」
「なに!?お主はそんな事までできるのか!?」
「少し腕に覚えがございます。悪いようにはならないかと思います。それと、今後の事も踏まえ、堺 今井屋の倉を川之江浦に大きく建てさせてほしいと言われております」
「なに!?堺の今井屋と言えば、堺で一番の大店ではないのか!?」
「え、えぇ。その認識で合っているかと。少し懇意になりました。此度の遠征物資もそこから購入しております」
「何から何まで・・・むしろお主が城の主の方が・・・」
「そんなことはございません。飽くまでオレは妻鳥様の被官でございます。いつかは・・・望むかもしれませんが、奪うような事はしません」
「お主の疑心は疑っていない。好きにして良い。全てワシが許可致す。大殿に関してもワシに任せておけ。お主には咎めがないように致す。それと・・・外国の兵ではあるが、お主は300人の兵を率いるのだろう?格は侍大将と致す。港周辺一帯の川之江浦の代官と致す。好きにして良い」
「よ、よろしいのですか!?」
「構わん。寧ろそうでもせんと作業が滞るだろう?一々ワシの裁可を待たずとも良い。礼をしてやりたいが・・・すまぬ。ワシには何もできぬ」
「構いません。では時間が惜しいので、さっそく本日から作業開始致します。明日の船で織田軍の鉄砲隊頭 簗田政綱様が参られます。また紹介致します」
「うむ。城の料理番に伝えておく。その時はお主も同席し、ささやかながら饗宴といこうか」
「はい!」
相変わらずオレは輿だったが、こんなに織田軍……というか、簗田さんの私兵が居る中で男のオレが輿に乗るのはどうかと思ったが、信長の鶴の一声。
『山岡は飽くまで客だ!一国の大名ではないが客には変わりない!国を持つのが偉いとかそれは違う!万事抜かりなく輿で帰れ!奥方もだ!簗田!ちゃんと見張っておけ!』
と、言われ、堺まで輿で帰った。ルートは来た時と逆、草津、大津、淀、堺だ。
そして一番の米だ。300人の兵が一年活動するのに必要な米がざっくり計算3000~3500俵。この時代は60キロ俵だ。それでこのくらい必要になる。一応、一人1日3合計算だ。これが基準らしい。
で、そんな量の米はどこにある?って話だが、信長は用意してくれるらしい。なんせ、本拠の清洲城や岐阜城に戻れば平時でも1万俵くらいは備蓄してるのだろうな。
もうこの時点で河野家と差が出ているだろう。川之江の備蓄量は知らないが絶対にこんなに無いだろう。で、この人数の扶持を日計算すれば、1日で2~3俵。という事で、今は荷車で余裕をみて30俵運んでいる。
残りは堺船で定期便で送るとのこと。何故ここまでしてくれるのかって?
『らあめん……是非また食したいと思う。敢えてもう一度言うぞ?また食したい。分かるな?』
大事な事なので。ってやつだろうか。二回も言われた訳だ。とりあえず多少は川之江に帰った後の、最初の船で贈るということで決着した。
そして肝心の船だが、
『なんやて!?そがいな人間を一辺に運べるかぃ!』
「え!?ですが、織田様は『今井に言えば分かる』って言ってましたよ!?」
『カァ~!これやから織田はんは……。敵わんわ。とりあえず、今動かせるのは3隻や!1隻に30人乗せられるさかいに・・・10往復はせなあかんやん!日に往復1回として、10日かかるで!?』
「あのう、『もし今井が渋るようなら、山岡の上物の砂糖を半分分けてやる』と言っていました」
『おぉ~!そがいな事ならはよう言わんかぃ!ワイが必ず送ってやるさかいに。天候により多少は変わるけど、そこは堪忍してや?楓!励んで来いよ!尊はんの船には荷がいっぱいやから一人で乗りや~。あ、後、これ渡しとくわ!チョロまかしたりなんかしてへんで!?」
と、言われ、渡された紙。しかもわざわざ、少し上等な分厚い和紙に丁寧に書かれた、
換金
三千貫文 - 百貫文 = 二千九百貫文
鉄砲・火薬
二貫 × 五百丁 = 千貫文
二千九百貫文 - 千貫文 = 千九百貫文
米
一貫 × 五百俵 = 五百貫文
千九百貫文 - 五百貫文 = 千四百貫文
火縄部品
二百五十貫文
千四百貫文 - 二百五十貫文 = 千百五十貫文
上質木綿
二貫 × 二百反 = 四百貫文
千百五十貫文 - 四百貫文 = 七百五十貫文
塩
〇・三貫 × 三百俵 = 九十貫文
七百五十貫文 - 九十貫文 = 六百六十貫文
最終残高
六百六十貫文
もうね。あんな人なのにやはり商売人だと言わざるを得ない。几帳面だ。それに律儀に、オレが最初に抜いた100結を引いた金額から書いてくれている。
それから船で揺れる事5日。寄り道してないのに何で日数が同じなんだ!と思うだろうが、帰りの潮流の方が逆潮になったみたいで、こんなにかかった。特に鳴門辺りは三好の領海だ。水夫が本気を出してくれてもずっとは無理な訳だ。
甚兵衛が船頭の船に乗ったが航路も決まっているらしく、普段の航行よりかなり緊張していた。幸い三好からのちょっかいは無かったが、意外なルールがあるんだなと勉強になった。
「なぁ。助六。お前は何を学んだんだ?10日程だろうが、算術くらい少しは分かったか?」
「いえ、まったく。その代わり米を精米し、蒸し、麹を作り、水を混ぜながら……」
オレはマジで助六を海に落としてやろうかと思った。もう目の前が川之江港だけど明らかにそれは酒の作り方だ。しかも結構割とマジのこの時代の作り方ぽいからだ。なんなら、その通りしたら濁酒が出来上がりそうだ。
「(スパコンッ)お前は何を学んでたんだよ!そもそも何で助六が酒の作り方教わってんだよ!大体は寺とかの秘匿術なんじゃないのか!?」
「い、いえ!今井様が川之江城で酒を作れと申されまして……『酒を作れば堺が買い取ってやる。その陣頭指揮を取るのは助六や!』と申されまして・・・で、ですが話し方は少しまともになっておりませんか!?」
今井も今井だ。よくこんな男に酒の作り方を教えたな。しかも助六は酒好きなのは見た目から分かる。その好きな物を餌にし、しかも自分も少しでも儲けられるように策を張り巡らし、巡り巡って助六の算術を教え、酒も作らせ……マジで商人だわ。やってる事は間違ってないんだからな。
◆
川之江に着いたオレは、すかさず荷揚げ人足の、平八を見つけ手を振る。まぁ、平八だけじゃ足りないのは分かっている。いるが、一応礼儀的にな。
だが船に荷がパンパンに積まれてあるからか、川之江に居る荷揚げの人達が一斉に堺船に集まる。
「甚兵衛!この荷は暫く任せる!」
「いや、って、こんな大荷物、今ある小倉になんて入らないぞ!?」
「そこをどうにかする為に城に行き、備蓄庫を使わせてもらえるように言ってくる!それに急いで突貫で家を作らないといけないからな」
荷物だけじゃない。織田兵300人の寝泊まりする所を建てないといけない。こっちはマジのマジで至急だ。
「静樹!これから忙しくなる!勝手にしてきた事だが妻鳥様に怒られる事はないと思う。直ぐに城下の人足を集めてくれないか?賦役とは言わず、この残った660貫を使い、金生山から木を切り倒してほしい。静樹がバックアップ、目印を付け、土砂災害がでないように!」
オレは矢継ぎ早に指示をだす。
「助六!お前は静樹から戦斧を貰え!それで力一杯木を切り倒せ!驚く結果になる事を保証する!」
助六には元から渡してやると言っていた戦斧。元は課金アイテムだった物だ。材質はミスリル。木なら軽く小突くだけで切れるだろう。
「尊様!?家はどのような形に!?」
「仮設長屋だ!スピード重視!まずは雨風凌げて、火が使える程度でいい。全員分ができれば、直ぐに家に建て直す!屋根は、板葺き、茅葺、最悪は藁+土でもいいから!兎に角早さだ!」
「畏まりました!」
静樹がそういうと、二つの特性が点滅を始める。
同伴特性
《連策百段》
拠点建設・陣地構築において、工程を分解し最適な順で連鎖させる。人手・資材が少ないほど効率補正が上昇する。
同伴特性
《定式造営》
同一構造の建築を繰り返す際、設計と施工が定式化され速度が上昇する。
これでどれだけ、作業が加速するかは分からない。分からないけど、普通よりかは早くなるはずだ。
そしてオレは川之江城に登城する。だが、それ以前にこんな大荷物を乗せた船が川之江に来るのは初めてだそうで、多くはないが城下の領民が海に野次馬になっていた。
「貴様ッ!!どこをほっつき歩いていたんだ!これは貴様のせいか!」
「船の荷の事か?それならオレの個人的な荷だ。悪いが刻が惜しい」
「ぶ、無礼者めが!誰に言って……」
「石川!辞めぃ!山岡久しぶりだ。少々驚いているのだが、まさかあの港から運ばれてくる荷は例のか?」
「はい。詳しくは長くなりますが、尾張国の織田家と個人的に同盟を致しました。鉄砲500丁と弾と火薬も相応……鉄砲隊として300借り受けました」
「なっ・・・何を言っている!?そんな勝手な事して、大殿になんて言われると思うのだ!」
「山岡・・・それは誠か?石川の言う事も分かるが、そんな大きな事をそんな短期間でしてきたというのか!?」
「はい。三好が攻めてくれば堺辺りで織田軍が動きを見せて牽制してくれると。これはその書状になります。もし宜しければ城下の空いてる土地を借地としたく」
「殿!こんな者のいう事は聞いてはなりません!大殿に殿が咎められますぞ!疑心ありと思われてしまいますぞ!」
「石川ッ!何度も言わせるな!ワシは殿を裏切るつもりはない!山岡は私銭でこれ程の事をしてくれた!これがちょっとの銭でできる事ではないのは分かるであろう!宇摩、新居、周桑、燧灘の郡代全員に今一度召集をかけよ!」
「・・・はっ!」
「山岡。石川がすまん。あれでもワシの事を思ってくれる数少ない腹心なのだ。許せ。それと何か言いたかったのではないのか?」
「石川様の事は構いませんよ。願い事ではございませんが、川之江城の備蓄庫をお借りしたい。それと領民に賦役をお願いしたく。賦役と言っても銭を出します。それもオレの銭から。ですので、一揆を起こされたり不満は出ないように致しますので。後は妻鳥様がどこまで土地を許してくれるかです」
「ワシを試すか。いや、ここでワシが小さな事を言えば事が滞る……」
「よろしければ町屋、港、町道、田んぼ、水路、民家などの検地も並行して行えますが構いませんか?」
「なに!?お主はそんな事までできるのか!?」
「少し腕に覚えがございます。悪いようにはならないかと思います。それと、今後の事も踏まえ、堺 今井屋の倉を川之江浦に大きく建てさせてほしいと言われております」
「なに!?堺の今井屋と言えば、堺で一番の大店ではないのか!?」
「え、えぇ。その認識で合っているかと。少し懇意になりました。此度の遠征物資もそこから購入しております」
「何から何まで・・・むしろお主が城の主の方が・・・」
「そんなことはございません。飽くまでオレは妻鳥様の被官でございます。いつかは・・・望むかもしれませんが、奪うような事はしません」
「お主の疑心は疑っていない。好きにして良い。全てワシが許可致す。大殿に関してもワシに任せておけ。お主には咎めがないように致す。それと・・・外国の兵ではあるが、お主は300人の兵を率いるのだろう?格は侍大将と致す。港周辺一帯の川之江浦の代官と致す。好きにして良い」
「よ、よろしいのですか!?」
「構わん。寧ろそうでもせんと作業が滞るだろう?一々ワシの裁可を待たずとも良い。礼をしてやりたいが・・・すまぬ。ワシには何もできぬ」
「構いません。では時間が惜しいので、さっそく本日から作業開始致します。明日の船で織田軍の鉄砲隊頭 簗田政綱様が参られます。また紹介致します」
「うむ。城の料理番に伝えておく。その時はお主も同席し、ささやかながら饗宴といこうか」
「はい!」
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