フレンド0人が戦国転移した結果

デンデンムシ

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城より先に畑がレベリングされた件

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 特性のおかげかどうかは分からないが、静樹の指示が素晴らしい。難しい作業は静樹が先に終わらせ、集められた人達は組み立てるだけの仕事だ。窓なんかもこの時代らしく、連子窓だ。夜は板を置くだけで窓を閉じられる造りになっている。
 そりゃ現代のような断熱はないが、今の季節は卯月、つまり四月だ。少し肌寒いが、これは夏の間にどうにかすればいい。木の継ぎ目を土壁にし、隙間風を通らないようにするだけで、かなり変わる。

 昼に一度、川之江で売っている全ての食べ物を購入し、皆に振る舞う。握りが中心だが、それでも人夫は喜んでいた。織田軍の皆は、信長が独自に米を用意してくれているとは思うが、オレからプラス二十俵渡す事にした。

 オレは何をしていたかというと、城方の人達にまずは織田軍の着陣を知らせ、軽く妻鳥様と簗田様を引き合わせた。その後、宝物箱に入っているただの刺し網を持ち、漁師に使い方を説明して渡す事にした。

 獲れた魚は全てオレが買い取る。フグは逃がす事、幼魚も生きていれば逃がすように徹底させ、悪天候時は漁に出るなとも厳命する。

 「な、なんですかこれは!? 貴方様が郡代ですか!?」

 「あぁ。昨日からな。とにかく約束事は守れ。そうすれば、漁を行う日が少なくても、今より稼げる漁師になれる。ゆくゆくは魚の稚魚を沖で育て、大人になれば店に出して売れる養殖も教えてやる」

 「構わないのですか!?」

 「あぁ。だから他の者にも教えておけ。独占は許さん」

 凄く手前も手前だ。落ちても足が着くくらいの場所で網入れを教え、時間が経てばこの網に魚が掛かると、簡単に伝えた。本当はもっと根掘り葉掘り教えたいが、何度も言うように時間が惜しい。

 次は、人夫出しで静かになった畑を持っている領民の所へ向かう。その領民の村とは、我等が殿である妻鳥友春の名字を冠した村――妻鳥村だ。

 「御婦人方! 私は山岡尊と申します!」

 「はいはぃ……また城方の方が……なんの……要件……あらやだ!? 良い男じゃない!」

 「ツヤ! 来なさい! 城の男前の方が来られたわよ!」

 「まぁ!? 本当だ!」

 どうやらオレがキャラクリで作った顔は、この時代ではウケが良いみたいだ。本当のオレを見れば、さぞガッカリするだろう。なんせ、彼女居ない歴=年齢だったんだからな。

 「(ゴホンッ)えぇ~、ここに紙がございます!」

 オレがしようとしているのは検地だ。この時代は上田、中田、下田、下々田とランクが分けられている。水の入りやすさ、土の色、日当たり、洪水――その全てで決まる。

 「なんですか? これは?」

 「これは皆々の田んぼに関しての決め事だ」

 ここで、オレの内政特性が点滅する。

 《豊穣安民》
 農政時の不満軽減、農民忠誠度上昇、収量の年次成長。

 「まずはこの、一定間隔で目印を付けた杭を、田んぼの四隅に下の目印まで埋めてほしい。あとは道具類だ。各々が交代で田んぼを耕す時、必ずこの道具で耕すように」

 オレが出した鍬は課金アイテムだ。これぞ内政チートアイテムの一つ。この鍬で耕すと、次に植えた作物の収穫補正がかなり付く。つまり収穫量が上がる訳だ。あとは米だけじゃない。この時代にも、もしかすればあるかもしれないが、これは課金アイテムの種や苗だ。

 《在来南瓜種(カボチャ)》
 ・痩せた畑でも安定して成長する
 ・保存が利き、食料不安を和らげる
 ・冬季の栄養不足を防ぎ、病に倒れにくくなる

 ⸻

 《種芋(ジャガイモ)》
 ・土質を選ばず育つ
 ・腹持ちが良く、空腹による不満を抑える
 ・飢饉時でも生存率が下がりにくい

 ⸻

 《根菜種(ニンジン)》
 ・栄養価が高く、民の体力が落ちにくくなる
 ・病後の回復が早まる
 ・長期的に病気の発生率が低下する

 ⸻

 《根菜種(ダイコン)》
 ・成長が早く、端境期の食料不足を防ぐ
 ・漬物など加工に向き、食の持ちが良くなる
 ・胃腸の調子が整い、労働効率が落ちにくい

 ⸻

 《苺苗(イチゴ)》
 ・早期に実り、民に季節の楽しみを与える
 ・甘味が心を和らげ、不満が溜まりにくくなる
 ・領内の空気が穏やかになる

 ⸻

 《梨苗(ナシ)》
 ・夏場の水分補給源となる
 ・市に出せば評判が立ち、往来が増える
 ・領地の活気と結束が静かに高まる

 まぁゲームでは何とも思わなかったし、最終的には農民より兵士が重要だったから、種子ガチャは然程回さなかったが、今思えばもっと回しておけば良かったと思う。あとは最後に――

 《改良稲苗(未来品種)》
 ・痩せた田でも根張りが良く、倒れにくい
 ・水量の増減に強く、作柄が乱れにくい
 ・粒が揃い、食味が安定する
 ・民の体力と満足度が静かに向上する

 ⸻

 《改良小麦種(未来品種)》
 ・痩せた畑でも安定して育つ
 ・寒さと雨に強く、作柄が乱れにくい
 ・粉質が良く、加工適性が高い

 この米と小麦が、今思えばチートだ。
 正直、赤米も食べられるなら贅沢は言わない。だが、白米が当たり前のオレは辛い。
 古代米は、オレからすれば神様に備えるための物のような認識だ。この時代ではスタンダードなのは仕方がないけど。
 あとは小麦の製粉なんかも、金生川の水流を使った水車を使用すれば、簡単になるはずだ。

 「見た事のない苗だねぇ~?」

 「あぁ。上方や南蛮のな? だが、全てにおいて成長が早い。驚くと思う。そして収穫できれば食べ方を教えるから、食べてほしい。特にこの種芋だ。食べてはダメだ。これを植えて、成長すれば株分けし、更に育てる」

「株分け?」

 「あぁ。それはまた追々教える。まずは慣れてもらわないといけないからな。何故? どうして? と疑問があるだろう。全て答えるから、分からない事があれば聞いてきてくれ。それをあなた達が次世代の川之江の住人に伝え、町が栄えていくのだ。十年後、ここはかなり栄えていると断言しよう。大穀倉地帯だとな」

 「何が何やら分からないけど、御領主様の言う通りにするよ」

 「あぁ。すまん。とにかく、各自に渡した絵のようにしてくれ」

 紙に書いているのは絵だけだ。文字なんて読めない人が多いだろう。斯くいうオレも同じだ。
 楷書文字なら読めるが、この時代の文字はミミズが張っているようで分からない。日本人で日本語の筈なのに、読めないのだ。

 ◆

 夜になった。城前の空き地には、まるで戦の前の点呼でも行われるかのように陣幕が張られていた。家はかなりの数が出来上がっていたが、まだまだ作業日数がかかりそうだ。

 登城はオレ、静樹、簗田、血走り藤田だ。織田軍の者には一人一本ずつ助六に言い、ビールを渡すように言付けておいた。助六も一本だけ飲んでいいとも。
 もう数も少ない。この調子なら五月…皐月には無くなるだろう。だが良い。課金アイテムで川之江が成長できるならば、未来は変わるはず。

 服装は正装だ。もちろん課金服だ。静樹も今日はどこかの姫ですか!?という、色鮮やかな着物だ。

 そして案内された部屋は小さな10人程が入れる青磁の壺に桜を挿し、戸には障子、香炉が炊かれてあり、明らかに高価に見える屏風もある。

 (静樹?こんな部屋あったっけ?)

 (いえ。初めて知りました。ですがこの調度品配置などは宮中を意識してあるように思います)

 言い方は失礼だが、妻鳥様が宮中を意識するのが少し引っかかる。

 わざわざ名前を書いた札がありそこに座る。だが聞かされていない名前の札があった。

 【平岡大和守房実】

 と。この名前を見てビックリする。河野家臣団の中でも一門衆並みに発言力のある人物で、河野家が辛うじて大名と名乗れる理由の人だ。間違いなく河野家の知将が何故川之江に来るんだ!?当たり前に席が1番妻鳥様に近い。

 「おい!山岡!貴様が正式に大殿に認められる日だ。喜ばしい日だのう」

 石川は相変わらずだ。言い方に棘はあるが少しオレを認めているような……

 そう考えていると四人が部屋に入ってくる。

 「待たせた。織田家の簗田殿。お待たせして申し訳ない。まずは河野家家臣の一人、伊予河野家 家老 来島通総、伊予新居郡 郡代石川通清でございます」

 「ワシは自分から。伊予河野家 家老 平岡大和守房実でございます」

 「尾張 織田家 沓掛城 城主 簗田政綱でございます。隣は副官の藤田兵庫介でございます」

 簗田もここは真面目な挨拶をしている。まぁ河野家も錚々たるメンバーだな。
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