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ガチャッ
智近「わー、また来てくれたんだね!
へへ、嬉しいな…上がって上がって」
二度と来る事はないと思っていたのに、
次の日に来る事になるなんてな…
不潔な部屋と不潔な智近君。
昨日あんな拒絶反応起こしたのに、
自身が汚いと思った途端に抵抗が無くなっている。
悪臭に包まれ、
私はゴミの中に寝転んだ。
間藤「…汚い…臭い…」
私も同じ…
だから、もう平気だ。
智近「へへ…嬉しいな、どうする?」
埃を舞わせながら、
私の前をうろうろしている智近君。
智近「どうしようかな…へへっ…
うーん…間藤さんの事、触ってもいい?」
智近君の手が、こっちに伸びてくる。
智近「昨日は近付くなって言われて、
驚いたけど、ここに来たって事は
いいって事だよね。
だって、僕の彼女だもんね」
手を洗わないとこんな垢まみれになるんだなと
爪の間に黒いモノが挟まっている不潔な手が
私の頬を撫でる。
智近「嬉しいな…へへ…間藤さん」
ドブ臭い口が近付いてくる…
間藤「智近君は、汚いね」
智近「…え?…うん、僕は汚いよ」
間藤「…私も…汚い」
智近「えへへ…一緒だね」
一回この部屋に入っただけで、
こんな価値観狂わされるなんてな…
間藤「…智近君は、何で私の事知ってたの」
智近「…え?」
智近君は私から手を離した。
間藤「名乗ってなかったのに」
智近「…え…だって…なり君が」
間藤「潔癖症の友成君と智近君が
会話なんてしないでしょ」
智近「…なり君が…お家で間藤さんの事
たくさんお話ししてて…あーそうだ、観る?」
間藤「え…私の事?」
智近君は私の手を引き、
部屋の奥にあるモニターの前に来た。
智近「コレね、リビングに置いてある
カメラの映像なんだ…なり君と共存は無理だからって
ままがこっそり取り付けてくれたんだ」
カチカチとモニターのデータをいじり出し、
動画の時間が戻されていく。
智近「僕も…家族だから…」
カチカチ
➖➖➖
映し出されたのはエプロン姿の友成君と
部活終わりの知孝君の会話。
知孝「友成、最近楽しそうじゃね?」
友成「分かる?彼女が出来たんだ」
知孝「は?妄想じゃなくて?」
友成「妄想なんかじゃないよ、間藤さんって
同じクラスの子なんだけどね。
告白されてOK出したんだ」
知孝「お前に彼女って…見る目どうなってんだよ」
友成「俺が潔癖症でも構わないって言ってくれて」
知孝「変わってんな、その間藤って奴」
友成「間藤さんはね、
俺みたいなのを好きになってくれる
優しくて特別な子なんだ」
知孝「ふーん、だったら繋ぎ止めとけよ」
友成「勿論、そんな子
二度と現れないからね」
遠目だが友成君が笑っている。
普段たまにしか見せない笑みをこんなに…
それに嬉しそうな声色をさせた会話の
内容が私の事だった。
~
時間が進み、私が友成君の家に行った日の
朝の会話。
知孝「招く?家に?」
友成「そう、料理を振る舞おうと思ってね」
知孝「料理って…あー胃袋掴む的な」
友成「うん」
知孝「ふーん、いいんじゃん」
友成「間藤さん、喜んでくれるかな」
知孝「まぁ、付き合ってから
彼氏っぽい事してねーなら、喜ぶんじゃね」
友成「そうだといいな。
それでさ、知孝は今日部活休みだよね」
知孝「そうだけど」
友成「今日、親居ないから
足りない材料を買っておいてよ」
知孝「はぁ…仕方ねーな」
友成「ここで間藤さんと一緒に
食事出来るなんて夢のようだよ」
さっき以上に嬉しそうにしている友成君の姿を観て
今朝の友成君の顔が頭を過ぎり、
悪い事したなと罪悪感に苛まれた。
~
それで私がこの家に来て、
この部屋に入って…汚れて…
ガシャンッ
友成「…何で」
あの盛り付けられた食事は、
友成君の手により床に叩き付けられていく。
ガシャンッ
知孝「あーこっちもかよ」
友成「…ッ」
知孝「間藤は?」
友成「怒って帰った」
知孝「そりゃ、智近の部屋に閉じ込めたんだから
怒るだろ」
友成「閉じ込めてない…だって、
俺は料理盛り付けてて」
知孝「…あードアの建て付けか…ったく、
間藤はお前に閉じ込められたって
勘違いしてる」
友成「勘違いされても仕方ない…
俺は間藤さんの事を押したから」
知孝「泣くなよ、みっともねーな」
友成「どうしよう…俺…間藤さんの事
怒らせた…」
知孝「はぁ、それ間藤の制服だろ?
クリーニングにでも出して、謝罪しとけよ」
友成「許してくれると思う?」
知孝「知らね…はぁ、ここ片しとくから
クリーニング出して来いよ」
友成「…ありがとう」
➖➖➖
カチ
智近「ここまでね」
間藤「え…まだ、あるでしょ」
智近「おしまい」
間藤「こんなの…観ちゃったら…」
友成君が…
智近「…どうするの?
まさか、なり君と恋人ごっこ
出来ると思ってるの?
はは、無理だよ、
だって間藤さんはもう汚いもんね」
智近君は私の腕に絡み付いてきた。
智近「汚い僕と汚い間藤さん。
汚いモノ同士、お似合いだから…へへ」
間藤「確かに…そうだけど…」
智近「駄目だよ!
一回汚れたら、二度と綺麗になんてならないし、
なれないんだから!」
間藤「…」
智近「潔癖症のなり君とは、
間藤さんも僕も共存出来ないよ。
そうだって理解したから来たんだよね?」
智近君の手が再び私の頬を擦る。
智近「へへ…間藤さんは、
もう僕の彼女だもんね」
ガチャ
その時、部屋のドアが開いた。
智近「わー、また来てくれたんだね!
へへ、嬉しいな…上がって上がって」
二度と来る事はないと思っていたのに、
次の日に来る事になるなんてな…
不潔な部屋と不潔な智近君。
昨日あんな拒絶反応起こしたのに、
自身が汚いと思った途端に抵抗が無くなっている。
悪臭に包まれ、
私はゴミの中に寝転んだ。
間藤「…汚い…臭い…」
私も同じ…
だから、もう平気だ。
智近「へへ…嬉しいな、どうする?」
埃を舞わせながら、
私の前をうろうろしている智近君。
智近「どうしようかな…へへっ…
うーん…間藤さんの事、触ってもいい?」
智近君の手が、こっちに伸びてくる。
智近「昨日は近付くなって言われて、
驚いたけど、ここに来たって事は
いいって事だよね。
だって、僕の彼女だもんね」
手を洗わないとこんな垢まみれになるんだなと
爪の間に黒いモノが挟まっている不潔な手が
私の頬を撫でる。
智近「嬉しいな…へへ…間藤さん」
ドブ臭い口が近付いてくる…
間藤「智近君は、汚いね」
智近「…え?…うん、僕は汚いよ」
間藤「…私も…汚い」
智近「えへへ…一緒だね」
一回この部屋に入っただけで、
こんな価値観狂わされるなんてな…
間藤「…智近君は、何で私の事知ってたの」
智近「…え?」
智近君は私から手を離した。
間藤「名乗ってなかったのに」
智近「…え…だって…なり君が」
間藤「潔癖症の友成君と智近君が
会話なんてしないでしょ」
智近「…なり君が…お家で間藤さんの事
たくさんお話ししてて…あーそうだ、観る?」
間藤「え…私の事?」
智近君は私の手を引き、
部屋の奥にあるモニターの前に来た。
智近「コレね、リビングに置いてある
カメラの映像なんだ…なり君と共存は無理だからって
ままがこっそり取り付けてくれたんだ」
カチカチとモニターのデータをいじり出し、
動画の時間が戻されていく。
智近「僕も…家族だから…」
カチカチ
➖➖➖
映し出されたのはエプロン姿の友成君と
部活終わりの知孝君の会話。
知孝「友成、最近楽しそうじゃね?」
友成「分かる?彼女が出来たんだ」
知孝「は?妄想じゃなくて?」
友成「妄想なんかじゃないよ、間藤さんって
同じクラスの子なんだけどね。
告白されてOK出したんだ」
知孝「お前に彼女って…見る目どうなってんだよ」
友成「俺が潔癖症でも構わないって言ってくれて」
知孝「変わってんな、その間藤って奴」
友成「間藤さんはね、
俺みたいなのを好きになってくれる
優しくて特別な子なんだ」
知孝「ふーん、だったら繋ぎ止めとけよ」
友成「勿論、そんな子
二度と現れないからね」
遠目だが友成君が笑っている。
普段たまにしか見せない笑みをこんなに…
それに嬉しそうな声色をさせた会話の
内容が私の事だった。
~
時間が進み、私が友成君の家に行った日の
朝の会話。
知孝「招く?家に?」
友成「そう、料理を振る舞おうと思ってね」
知孝「料理って…あー胃袋掴む的な」
友成「うん」
知孝「ふーん、いいんじゃん」
友成「間藤さん、喜んでくれるかな」
知孝「まぁ、付き合ってから
彼氏っぽい事してねーなら、喜ぶんじゃね」
友成「そうだといいな。
それでさ、知孝は今日部活休みだよね」
知孝「そうだけど」
友成「今日、親居ないから
足りない材料を買っておいてよ」
知孝「はぁ…仕方ねーな」
友成「ここで間藤さんと一緒に
食事出来るなんて夢のようだよ」
さっき以上に嬉しそうにしている友成君の姿を観て
今朝の友成君の顔が頭を過ぎり、
悪い事したなと罪悪感に苛まれた。
~
それで私がこの家に来て、
この部屋に入って…汚れて…
ガシャンッ
友成「…何で」
あの盛り付けられた食事は、
友成君の手により床に叩き付けられていく。
ガシャンッ
知孝「あーこっちもかよ」
友成「…ッ」
知孝「間藤は?」
友成「怒って帰った」
知孝「そりゃ、智近の部屋に閉じ込めたんだから
怒るだろ」
友成「閉じ込めてない…だって、
俺は料理盛り付けてて」
知孝「…あードアの建て付けか…ったく、
間藤はお前に閉じ込められたって
勘違いしてる」
友成「勘違いされても仕方ない…
俺は間藤さんの事を押したから」
知孝「泣くなよ、みっともねーな」
友成「どうしよう…俺…間藤さんの事
怒らせた…」
知孝「はぁ、それ間藤の制服だろ?
クリーニングにでも出して、謝罪しとけよ」
友成「許してくれると思う?」
知孝「知らね…はぁ、ここ片しとくから
クリーニング出して来いよ」
友成「…ありがとう」
➖➖➖
カチ
智近「ここまでね」
間藤「え…まだ、あるでしょ」
智近「おしまい」
間藤「こんなの…観ちゃったら…」
友成君が…
智近「…どうするの?
まさか、なり君と恋人ごっこ
出来ると思ってるの?
はは、無理だよ、
だって間藤さんはもう汚いもんね」
智近君は私の腕に絡み付いてきた。
智近「汚い僕と汚い間藤さん。
汚いモノ同士、お似合いだから…へへ」
間藤「確かに…そうだけど…」
智近「駄目だよ!
一回汚れたら、二度と綺麗になんてならないし、
なれないんだから!」
間藤「…」
智近「潔癖症のなり君とは、
間藤さんも僕も共存出来ないよ。
そうだって理解したから来たんだよね?」
智近君の手が再び私の頬を擦る。
智近「へへ…間藤さんは、
もう僕の彼女だもんね」
ガチャ
その時、部屋のドアが開いた。
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