一心不乱

なゆか

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学習能力皆無

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思い返せば思い返すほど、
谷部の馬鹿エピソードが溢れんばかりに出てきて
そんな事が頭を過りながら、授業が終わり、
部活も終わり、また教室に忘れ物して取りに戻った。

ガラッ

谷部「あ」

ピシャッ

私は教室のドアを開けたが、
中の様子を見て、すぐに閉める。

谷部「海沢!」

ドアの向こうで谷部が私を呼んでいる。

ガラッ

再びドアを開けると、
また谷部の谷部がこんにちはしている。

海沢「谷部は、学習力無いの?」

谷部「いやッ…だって昨日
海沢が教室来たの5時過ぎだったじゃん」

確かに、昨日は部活が早く終わり5時解散。
でも、今日は普段通りの7時解散。

海沢「時間とか関係ないからね…
まぁ私も2日連続忘れ物したのは、
学習力無いけどさ…谷部は
また同じ事してんの?」

谷部「…だって」

海沢「だってじゃないでしょ。
2度もクラスメイトの下半身というか…
その行動目撃した私の身になってよ」

谷部「男の俺パターンだったら、
女子の裸見たらって事?」

海沢「え?」

谷部「海沢の身になるって事は、
つまり逆パターンって事だろ?
だから、俺が海沢のオナニーを
目撃したらって事か!」

海沢「…変な深読みすんな」

何でドヤ顔してんのか分からないが、
本当にチラつくモノが鬱陶しい。

谷部「女子のオナニー見たら、
ラッキーだな」

海沢「早くズボン履いてよ。
ブラブラさせんな」

谷部「海沢って、見慣れてる?」

悲鳴とか照れを求めてんのか、
谷部は腕を組み、首を傾げてニコニコしている。

海沢「見慣れてない」

谷部「うっそだー」

なんで、普通の雑談みたいなノリなんだよ。

海沢「うるせー、早くしまえ」

谷部「まさか!
俺のが立派じゃねぇから
見た内に入んないって事か⁈
さては、ヤリマンだな☆」

谷部は指パッチンをして、ウインクしてきて
クソうぜーなと思う。

海沢「変な推測すんな、
普通に不快だってリアクションは
取ってるからね」

谷部「いやいや、普通きゃーっとかさ」

谷部は『えっち!』と、胸を手で覆うが、
下半身覆えよと思う。

海沢「叫んだら人来るじゃん。
それにヤリマンじゃない」

谷部「えー本当かなー」

海沢「早くしまえ、見せたがりなの?」

昨日の慌て様はどうしたよと、視線を逸らす。

谷部「別に露出する性癖はねぇよ」

谷部はやっとズボンを手にする。

海沢「谷部さ、下半身丸出しで教室居るとか
間抜けに見えるからね」

そう言うと、谷部はズボンを床に叩きつけた。

谷部「間抜けとはなんだ!失礼じゃねぇか!」

海沢「あー、ごめんごめん。
ズボン履いてくださいお願いします」

谷部「誠意がない!」

海沢「面倒いな、やっぱ露出狂じゃん」

谷部はブラブラさせながら、近付いてきた。

海沢「流石にそれ以上近付いたら、
本当に叫ぶよ」

このまま、本当に誰か来て
こんな所見られでもしたら、
谷部はもちろん、私も今後の学校生活が…

谷部「冗談だよ」

海沢「何が冗談だか分からない」

やっと谷部はズボンを履いた。

海沢「あのさ、毎日こんな事してんのか
知らないけど、2日連続目撃されてるとか
馬鹿じゃん?
バレたくないなら家、もしくはトイレとか
人目のつかないところに行け」

谷部「あはは!うまいっ!
行くとイク掛けてんか」

海沢「今そんな洒落言ってないし、
とにかく今日はこれで帰るけど
明日、私は忘れ物して放課後の教室に
取りに戻ることはしないからね」

そう言って忘れ物を取り、廊下に出る。

谷部「あはは!
やっぱ、海沢はいい奴だな!
海沢の事好きになりゃ良かった」

意味分かんないなと、ドアを閉める。
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