一心不乱

なゆか

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二度あることは三度ある?

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次の日の昼休み

私は自販に飲み物を買いに行ったが
購買に押しかけた生徒達に圧倒され、
しばらく廊下で待っていると廊下にある
掃除用具入れから微かに声が聞こえる。

海沢「詰めが甘いんだよな」

掃除用具入れで起きてることは、
開ける前から予測はできる。

普段だったら耳にすら入ってなかったんだろうけど
2日連続で谷部の自慰を目撃したからか
変なセンサーが働いたんだと思う。

要らないセンサーだわ…

でも、購買前の生徒も気付くかもしれない。

海沢「はぁ…」

私は我ながらお人好しだ。

コンコン

海沢「あのさ、声漏れてる」

私は掃除用具入れにそっと、耳打ちならぬ
ロッカー打ちをする。

ガタンゴトンッ

その瞬間、掃除用具入れが大きく揺れる。

海沢「今、購買の前生徒多いから
耳すましてから出な」

そう言って私は自販に向かう。

ジュース片手に教室に戻ると、
谷部がパンを食べている。

いつの間に戻ってたんだ?
私はため息を吐いて席に着き、
ジュースにストローを刺す。

それから、友達とダラダラ昼休みを過ごし
5時限目の予鈴が鳴る。

今日は確か実験室だったよねと
教科書を持ち移動する。

移動の際、購買の前を通る為
さっきの反省してんのかなと谷部を見るが
友達と話していて
掃除用具入れに見向きもしていなかった。

ガタ

海沢「…⁈」

今、谷部は前を歩いているのに
掃除用具入れは揺れている。

「みっちゃん、早く行くよ」

海沢「あ、先に行ってて」

友達、クラスメイト、その他廊下にいた生徒が
周りにいない事を確認しドアに手を伸ばす。

ガタンッ

海沢「うわっ」

ドサッ

ドアを開けると中から人が転がり出て来た。

河江「…うわぁぁあッ」

倒れた後で叫んだその人は、 
同じクラスの河江だ。

海沢「河江さんンンンンッ」

叫び続ける河江の口を咄嗟に塞ぐ。

海沢「人来るから」

黙ったっぽい河江から手を離すが、
河江の口は開きっぱなしだった。

河江「コレはそういうプレイです!」

そう躊躇せずに言い放った河江。

河江「いや隠せよ」

辛うじて誰も居ない廊下。

私は下半身むき出しの河江に
持っていた膝掛けを投げ掛ける。

河江「海沢さんは、僕の裸を見ましたね!
その見られたという事実が僕のズリネタに」

海沢「何言ってんの河江」

河江は学年主席で、教師陣の評価が異様に高い
学校の期待を一身に受けた生徒の模範生。

海沢「ストレス?」

河江「正解! よく分かりましたね」

海沢「正解!じゃっねーよ
模範生が何してんの?
こんな事バレでもしたら、
人生棒に振るタイプの人間でしょ」

河江「そのスリルが更に快楽を
増すんですよね」

駄目だこいつ…
詰めが甘い馬鹿の次は、正真正銘の露出狂か。

海沢「私は一回注意したからね」

河江「いや、二回ですよ。
先程ノックしてくれたのは海沢さんですよね」

海沢「…」

河江「谷部君が仰ってた通りお優しい」

なんか馬鹿と露出狂に優しいって
言われても不快感しかない。

海沢「私もう行くから、河江は?」

河江「僕は引き続き、5時間目始まるギリギリまで
オナニーしますよ」

河江は真面目な顔をしてるが、
渡した膝掛けを手で持たずに
下半身隠せよと思う。

海沢「期待とかプレッシャー掛かりすぎると
頭おかしくなんだね。
怖いわ、さっさと教室戻れよ模範生。
その膝掛けあげるから」

男子の下半身に触れた膝掛けなんて汚くて
もう使えない。

河江「ありがとうございます!
コレ、使わせてもらいますね」

海沢「やっぱ、返せ!こっちで処分する」

使うとかまじで気持ち悪い。

河江から膝掛けを取ろうとしたが、
私は手を離す。

海沢「ズボンは?」

掃除用具入れを見るが、
それらしき物がない。

河江「教室です」

海沢「き…教室?
え、ならここまでどうやって」

河江「脱いで来ました」

海沢「…」

河江「走りました」

海沢「虐められてるとかじゃなくて?」

パンツごと脱がされ、
ここの掃除用具入れに閉じ込められたから、
こんな状態なんじゃ?

この誤魔化しも、虐められてる事を隠す為なんじゃと
聞いたが、凄い首を振られる。

河江「廊下をフルチンで走る開放感と、
僕がオナニーをしている事に気付かない
生徒や先生達が掃除用具入れの前を通る
背徳感を味わってます」

クソ変態だった。

海沢「そういうこと言わない方がいいよ。
ひたすら隠した方がいい…はぁ、
とにかく私の膝掛けは隠す為に使って
変な事だけには使わないでね」

何言っても無駄だなと、
少しでも同情した私が馬鹿みたいだ。

河江「決して変な事ではないですよ!
しっかり搾り切るまで使いますから」

海沢「気持ち悪!」

河江「安心してください、
スリルを糧にしていますが
メインは水越さんですから」

河江は胸ポケットから、
水越さんの写真を出した。

海沢「…へぇ」

水越さんはモテるんだな…

人に好意を抱かれる事は憧れるが、
馬鹿と露出狂相手じゃあなと同情する。

河江「膝掛けありがとうございます。
優しい海沢さんに好意を向けていたら
良かったです」

海沢「…え?」

昨日、谷部にも同じようなこと
言われたよなと訳分かんないなと頭をかき、
とにかく実験室へ向かった。
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