一心不乱

なゆか

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いい奴

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移動教室終了後、
教室へ戻る廊下にて

「なんか、放課後にやましい事してる生徒が
いるみたいだよ」

海沢「ゴボッ」

「うわっ!
みっちゃん、どうしたの⁈」

バレてんじゃんと、私は咽せた。

海沢「ゴホッ…ゴホッ…その生徒って」

「大丈夫?
噂程度だから、誰かは分からないけど居るらしい」

噂流れてる時点で
誰かしらには勘付かれてるって事だ。

水越「それ誰なのか、私知ってるよぉ」

後ろから声を掛けられ振り向くと、
まさかの谷部と河江が想いを寄せる
水越さん。

「えっまじ?」

水越「知りたい?」

「知りたい知りたい!」

水越さんは、どっちの事言おうとしてんのか
そもそも、別の人かもしれないが
ドヤ顔が凄い。

水越「このクラスの男子でぇ、
2人いるんだよねぇ」

水越さんは知ってるようで
ドヤ顔がうざい。

水越「実は2人とも私の事好きで」

それも知ってるのか…

海沢「ストップストップ」

「えー何々」

海沢「そんな事より、次の授業の課題やった?」

「ぎゃー⁈やってない!」

海沢「水越さんは?」

水越「私はやったよぉ」

「みっちゃんは…やってるよね!
あーやばい!」

友達は廊下を走って行った。

水越「今流したよねぇ」

私は、正直水越さんの事が好きじゃない。

直接何かされた訳では無いが、
しょうもない事でマウント取ったり、
過去に同級生虐めてたとか、
彼氏が居るのにセフレが何人も居て、
パパ活もしてるとか、
倫理的にどうなんだという話を
隠す事なく自慢げにまぁまぁのボリュームで
TPO関係無く話していたりする。

水越「2人の事庇おうとしたのぉ?」

海沢「庇うってか、
広める話では無いでしょ」

水越「ウケるじゃん」

水越さんにとって笑い事なんだな。

水越「私の事好きなら、証明してよって
言ったんだぁ」

海沢「別に聞いてないんだけど」

水越「そしたら、校内でオナニーとか
証明の仕方ウケるでしょ!
そんな事して私と付き合えるとか思ってんの?
ってさぁ」

口が止まらない水越さんは
手を叩いて笑い、
私は更に彼女の事が嫌いになった。

海沢「…とにかく、この話は終わりで」



水越さんのせいなのか、あの2人のせいなのか
私はモヤモヤしながら放課後を迎え、
部活では集中してないと監督に怒られ
結局、忘れ物をして教室に戻った。

ガラッ



海沢「学べよ」

谷部「だってよー」

河江「怒らないでください海沢さん」

今、私は下半身むき出しの2人を
床に正座をさせ、その前に立っている。

谷部「河江も、水越の事好きだったんだな」

河江「谷部君もなんですね!」

海沢「意気投合すんな」

教室に入ると水越さんの机の前では谷部、
嫌な予感がして掃除用具入れを開けると
河江が転がり出てきた。

キャッキャと意気投合してる2人を見て、
この2人はあんな嫌な奴の水越さんが
好きでこんな事してるんだなと
嫌な気持ちになった。

海沢「弄ばれてるよ」

谷部「ん?」

海沢「ん?じゃない、水越さんに
弄ばれてるって言ってんの!」

もっと、驚くかと思っていたが
そんな事はなく2人とも笑い合っている。

河江「知ってますよ、移動教室後に
話してましたよね」

海沢「聞いてたの?」

河江「勿論」

谷部「弄ばれてんのは、
今に越した事じゃないよな」

河江「僕一回告白したことありますよ」

谷部「俺も俺も」

河江「谷部君も好きなら証明してって
言われました?」

谷部「一緒一緒!
だから、オナってんのか?」

河江「でも、オナニーが本人にバレてるとは
驚きですね」

谷部「確かにな!」

笑い合う2人が理解出来ない。

なんなの、このテンション…

海沢「弄ばれてるって分かってんのに、
こんな事して…何になる…」

谷部「どうした海沢」

河江「えっあ…涙が」

谷部「泣いてんのか⁈」

~~

2人は顔を伏せる私に困惑している。

谷部「海沢!海沢ー、本当泣かないでくれよ」

河江「こんな泣かせてしまうなんて…
すみません」

本来、水越さんに弄ばれてるって知った時の
リアクションがコレだろと
私は更に涙が出て来る。

海沢「うぅっ…泣いてない」

谷部「すげー泣いてんじゃん!」

河江「これ使ってください」

河江に布を渡されるが、確認すると
パンツで投げ捨てた。

海沢「ズボン履けよっ…うぅ」

フルチン2人に慰められたくない。

海沢「何であんなんが良いんだよッ
バレてるし、広める気満々だしッ
すごい嫌な奴だしッ!
好きな相手に弄ばれて、
笑いのネタ程度で学校生活終わりそうな
あんたらがムカつくんだよッ」

私は机を叩く。

海沢「せめてまともな人好きになれよッ」

そう怒鳴ると2人に頭を撫でられる。

谷部「だから言ったじゃん。
海沢の事好きになりゃ良かったって」

河江「そうですね。
海沢さんの事を好きだったら、
僕らの学校生活が危うくなる事
なかったですね」

海沢「シコった手で触んな!」

私は2人の手を振り払う。

河江「怒らないでくださいよ。
あっそうそう、谷部君は水越さんの
どこに惹かれました?」

谷部「凄い高飛車で傲慢なとこ?」

河江「分かります!
悪女だと知ってますが、
それが魅力なんですよね」

またキャッキャと意気投合し始める2人。

私の怒りを流しやがった…

何を言っても無駄だ。

海沢「もういい…あの性悪女のせいで
人生棒に振るわれろ!バーカッ!」

私は2人を押し退けて、下校した。

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