色んなストーカー

なゆか

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恋のおまじない

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恋のおまじない

定期的に校内で流行っていて、
自分の消しゴムなど消費する物に
想い人の名前を書き、使い切ると
相手に想いが届くという
よくあるようなおまじない。

特に好きな人が居ない私にとっては、
興味がない話で、自分には関係無い事だ。

「?」

授業中、消しゴムのカバーをそろそろ切らないとなと、
カバーを外すと、名前が書かれていた。

「…田沼清史」

それは同じクラスで
中学時代に同級生から虐められていたらしい
人と全く喋らない男子だった。

自分で書いた覚えのない田沼の名前に
誰かの悪戯かと書かれた面を擦り、名前を消した。

数日後、また消しゴムに田沼の名前が書かれていた。

それに加え、最近シャー芯の詰まりが気になり
ペンを解体すると、中から小さく
丸められた紙が出て来て
そこにも、田沼の名前が書かれていた。

「…はぁ」

消しゴムなら、少し目を離した隙にってレベルだが
ペンの中にこんな丸めた紙を入れるなんて
私が居ない時に筆箱から出して入れる方法しかない。

しかし、それだけでは無かった。

「これ、誰かの名前書いてあるわよ」

洗濯物を畳んでいた母に言われ、
確認してみると、ジャージやワイシャツにまで
名前が記されていた。

体育で着替えた時に書かれたのか…
他にも、バック、靴、教科書と
至る所に、田沼の名前が書かれていた。

流石に酷過ぎると、
私は田沼に当たってみる事にした。

「田沼君」

私は机に突っ伏している田沼に声を掛けると、
彼は嬉しそうに顔を上げた。

田沼「やっと、伝わったね」

「…え」

田沼「恋のおまじない」

「え…嫌がらせじゃなくて?」

田沼「何言ってるの?
僕と君が結ばれる為の恋のおまじないだよ」

ほらねと、田沼は自分の筆箱の中を机に広げ
その全てに私の名前が書かれていた。

田沼「僕だけだと効果は薄まると思ったんだ。
だから、君の物に僕の名前を書いたんだよ」

にこにこと私に笑い掛ける田沼に、
鳥肌が立つ。

田沼「でもね、最近ライバルが現れたんだ」

田沼は席から立ち上がると、
私の机に向かい、椅子をひっくり返した。

「…な…何これ」

椅子の裏には、
ビッシリ『死ね』と書かれていた。

田沼「同じ物に書いたら効果は、相殺されて
なくなっちゃうって思ったんじゃないかな」

「…そっそうじゃなくて…死ねって」

誰かが私に『死ね』という感情を
向けている事に、田沼の行動よりも恐怖を感じる。

田沼「ここにも」

田沼は平然と、机から私の教科書を取り、
机をひっくり返すとまたビッシリと
椅子同様に『死ね』と書かれている。

「…うそでしょ」

田沼「まだまだあるよ」

私は田沼に腕を引かれ、
私のロッカー、下駄箱、部室のロッカーなど
私が使っているモノを見て周り、
その全てにビッシリ『死ね』と書かれていた。

田沼「僕はこの人と違って、
量よりも質タイプなんだ」

「そっ…そうじゃない…」

私は気付かないまま、『死ね』と書かれた
ロッカーや机などを使っていたの?

田沼「どうしたの?そんな顔しないでよ、
君に涙なんて似合わないよ」

田沼は私の涙を手で拭う。

「おかしいよ…」

田沼「何が?」

「どうして、そんな平然としてるのか…
理解が出来ない」

田沼「死ねって書かれてるのが怖いの?」

「…あっ当たり前だよッ…だっ誰がこんな」

私に対し、殺意を向けてるのは誰なんだと
田沼に問いただすが答えてはくれなかった。

田沼「おまじないの効果が出ちゃうでしょ」

「…効果?」

田沼「恋のおまじないをしなかったら、
君は僕に見向きもしなかった。
だけど、おまじないがきっかけで
僕とこうして話してくれている、ほらね
恋のおまじないの効果は出てる」

田沼は私の手を握った。

田沼「これを書いた人を君に話したら、
君は僕に目を向けなくなっちゃうよね?」

「だからって…死ねってこんなに書かれて
私はッ…」

田沼「大丈夫だよ、君が誰かに死を願われてても
僕のおまじないの方が強いからね」

田沼は私の手に頬擦りをした。

田沼「ふふ」



死ね…死ね…死ね…死ね…

俺のおまじない、早く効いてくれねーかな。

田沼「駄目だよ、僕のおまじないの方が強い」

丸井「邪魔すんじゃねーよ、
俺が先に目を付けたんだ」

田沼は邪魔者だ。

田沼「僕は彼女に死んで欲しくない」

丸井「ふざけんな」

田沼「何で彼女にそんな事をするの?」

丸井「愛してるから」

田沼「その想いがあるなら、尚更
死を願うなんておかしい」

丸井「俺の愛の形に文句を言うんじゃねーよ」

田沼「なら、僕の想いの方が強い事を証明するね」

そう言って、田沼は俺の前から去って行った。

丸井「なんだよッ…アイツ」

死ね…死ね…死ね…死ね…

丸井「俺の想いが早く届いて、アイツが死ねば…
ずっと、俺の中で生き続けられるからッ…」

死ね…死ね…死ね…死ね…

丸井「だから…死ね」
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