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救世主
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月曜日
【私は、貴方の事を愛しています。
しかし、直接言葉を交わす勇気はありません。
その為、この手紙に想いを綴りました。
愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる…】
毎日家のポストに投函されるストーカーからの手紙に、
うんざりしている。
幸田「やだ、お前すげー愛されてんじゃん」
自分が住むアパートの隣人かつ、
同僚の幸田は、それを面白がっている。
豊田「こんな異常者からの愛なんていらん。
コレだけだと実害出てねーからって、
警察動かねーんだよ」
俺が気付かないところで、何かしてんのかもしれないが
今のところ、毎日の手紙だけ。
幸田「あははっ
実害出てからだったら遅いな」
豊田「本当それな」
~
火曜日
幸田「ほれ、手紙」
今日は何故か幸田から手紙を渡された。
豊田「は?」
幸田「豊田のストーカーと遭遇したんだよね。
それで渡して欲しいってよ」
豊田「お前、何考えてんだよ」
幸田「しかも、居酒屋で話したよ」
豊田「お前なぁ」
幸田「で、酒飲ませまくって
ホテル直行的な?」
幸田は重度の女好きかつ、頭のネジが飛んでいる。
幸田「あははっホテルでさ、
豊田の名前叫びまくってたよ」
豊田「朝からする話しじゃねーよ。
とにかく、遅刻するから会社行くぞ」
幸田「うーい」
~
それから、2日後の木曜日
幸田「ほい、手紙」
豊田「まだ繋がってんのかよ」
幸田「まっ二つの意味で繋がってるな」
ヘラヘラ笑う幸田に差し出された手紙を
受け取る事なく、すぐに捨てた。
~
金曜日
幸田は残業から逃げ、
俺だけ夜中まで残業になった。
豊田「終わったー」
身体バキバキだなと、明日休みで良かったわ…
帰ったら速攻シャワー浴びて、
明日の昼まで寝てやろうと
帰宅すると部屋の前に女が居た。
「助けて」
厄介だなと、俺はスマホを出す。
豊田「俺じゃ力になれないので、
警察呼びましょうか?」
「警察は止めてください」
豊田「俺は一般人で、貴方の力になれないので
他所行ってください」
早く寝たいのに、どうすんだよと
ため息を吐くと幸田の部屋のドアが開いた。
ガチャ
幸田「おっかえり~」
豊田「あぁ」
幸田「ソレ、豊田のストーカー」
「…うぅ」
幸田に指差された女に、
何となくそうだろうなと思っていた。
幸田「豊田の事、好きなくせに
俺に股開いたストーカー!
ウケるよな、意志弱!」
「…違う…違う…違うッ!
私は…無理矢理」
幸田「違くないでしょー」
こんな声が通るとこでする話しじゃねーなと
俺はストーカーを避けて、部屋の鍵を開ける。
「助けて」
豊田「襲われたんなら、尚更警察だろ」
俺は中に入ろうとするが、
ストーカーはそれを阻止しようと立ちはだかる。
「助けてあげてください!」
豊田「はぁ、本当疲れてるから…
そもそも、助けを求める相手間違ってんだろ」
ストーカー加害者が、被害者に助けを求めるとか
お門違いにも程がある。
「私は…貴方の事を愛してます。
だから、助けてあげてください!」
豊田「無理」
俺はストーカーを避け、ドアを閉めた。
ドンドンドンドンッ
豊田「…はぁ」
夜中にこんなドア叩かれたら、多分寝れない。
そして、近所迷惑で俺が大家にどやされる。
豊田「最悪」
俺はドアを開けた。
豊田「はぁ、勘弁しろよ」
ストーカーの横に幸田が立っている。
幸田「ほら」
幸田がストーカーを小突くと
ストーカーは跪いた。
「私は…貴方の事を愛してます。
何でも貴方の言う事聞きます…だから」
豊田「何でも聞くなら、
俺の事諦めて帰れよ」
幸田「ぶふッ辛辣!」
幸田はストーカーの頭を
こねくり回しながら笑う。
「それだけは…出来ません」
豊田「じゃあ、警察呼ぶから」
コレは実害に入るだろと、
俺はスマホを出す。
「止めてくださいッ…貴方の為なら
死ぬ事だって出来ます!
だけど諦める事だけは出来ません」
なら、死ねばと言おうとしたが
多分俺のせいになる。
もし、ならなかったとしても
その事実が一生頭の隅に残る事になる。
このストーカーの存在が一生
頭にチラつくとか絶対に嫌である。
幸田「豊田もコレ、使えば?
諦める以外は何でも言う事聞くなら
何しても問題なし」
幸田は再びヘラヘラ笑い、
ストーカーの肩に手を乗せている。
幸田「な?」
俺はそんなゲス幸田の手を掴むと、
思い切り部屋に引き込みドアを閉めた。
幸田「うぉッ何々⁈」
豊田「お前、利用されてんの
気付いてないのかよ」
幸田「へ?」
何で俺がストーカーを抱く流れになってんだよと
そんな事して利益があるのはストーカーだけだ。
豊田「お前は、何も考えてないんだな」
間抜けな顔をしている幸田に、
本当愛想がつきそうだ。
豊田「とにかく、アイツの思い通りに
いかないように、
俺もお前を利用することにするから」
ドンドンドンドンッ
俺はドアチェーンを掛け、叩かれているドアを開く。
「私は貴方の事、愛してますから」
豊田「俺は幸田の事愛してるから、
お前が入る隙間は無い」
ストーカーの目の前で、俺は幸田を引き寄せ
キスして見せるとストーカーは奇声を上げた。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だッ
そんな薄汚く穢れたモノとキスなんて
豊田さんがまた穢された!」
豊田「これから
これ以上の事するから、帰れよ」
呆然とする幸田を抱えて、ドアを閉める。
幸田「何、俺の事好きなの?」
豊田「なわけないだろ、利用するって言ったろ」
幸田「だとしても、普通キスするか?」
豊田「あぁいうのは、
俺に勝手な幻想抱いてるんだよ。
それなら、幻滅させた方がいいだろ」
幸田「なるほど~、そんでさ
これ以上の事、本気でする?」
豊田「しねーよ」
幸田「なんだ、しねーのか」
幸田は何考えてんのか、
俺のベットに入った。
豊田「勝手に入んな、とにかく
アイツが居なくなってからでいいから
自分の部屋に戻れ」
とっとと、汗流したいんだよなと
俺は幸田を放置し、シャワー室に入る。
ガチャッ
~
豊田「…お前、どんな神経してんだよ」
シャワーから出ると、あろう事か
幸田はストーカーを部屋に入れていた。
目離した俺が悪いのか?
「私、貴方を」
豊田「不法侵入だからな」
俺はスマホを取り、警察に連絡した。
豊田「…はい、部屋に…住所は」
「愛してます…」
幸田「まじで、警察呼んでんじゃん笑
あっ酒貰うね~」
幸田はキッチンにいってしまった。
豊田「出てけよ」
「私は、貴方の事愛してます…だから」
豊田「だから?」
「助けてあげてください」
豊田「…」
さっきは疲れてて、ストーカーの言葉を
聞き流していたが冷静になると言い方がおかしい。
「私は貴方の事、愛してます。
だから、助けてあげてください」
豊田「助けてあげる?」
「はい、助けてあげてください」
豊田「意味が分かんねーよ、
幸田から自分を守れって事なんじゃ?」
「違う…私じゃなくて」
豊田「なら、誰を助けろって言ってるんだよ」
「貴方です」
豊田「尚更、意味分かんね」
自分自身を助けろって、ストーカーに言われ
まじで理解出来ない。
「…私には…もう守る事は出来ないけど、
絶対に助けてあげてください」
豊田「分かんねーって」
「私は…貴方に幸せになって欲しいんです、
だから、アイツから助けてあげてください」
ストーカーは俺の後ろを指差す。
豊田「幸田?」
振り返ると幸田は何かを隠した。
幸田「どったの?」
豊田「今何隠した」
幸田「…」
豊田「出せ」
幸田「ちぇー」
幸田の手には、包丁が握られていた。
豊田「は?」
幸田「はぁ、言うなよ」
ストーカー「…」
豊田「幸田、お前何考えてんだよ」
幸田「何って、豊田の事殺そうと思ってさ」
豊田「なんで」
幸田「ほら、俺らいい歳じゃん?
同級生とかは結婚して子供作って、幸せな家庭を
築いて、子供が成人したら親元から離れて、
嫁と余生を送る未来が待ってるじゃん」
豊田は包丁を摩り出した。
幸田「豊田が誰かのモノになるのが
どうしても許せないんだよなー、
俺は豊田の事が好きとか愛してるとか…
そう言うんじゃないんだけど、
とにかく嫌なんだよなー」
豊田「その包丁下ろせ」
幸田「そうだ!豊田って存在が誰かに
穢されるのが嫌なんだったわ!」
幸田はそう叫ぶと自分の口に包丁を突き刺した。
ボタボタとフローリングに血が落ち、
幸田はそれでもヘラヘラしている。
豊田「お前、何やってんだよッ⁈」
俺は包丁をどうにかしようと、幸田に手を伸ばすが
それをストーカーに阻止される。
ストーカー「豊田さん、
自分の事を助けてあげてください」
何するか予想がつかない幸田に対して、
自己防衛しろって事か?
いや、包丁取り上げた方が早いだろと
俺はストーカーを押し退け、幸田の腕を掴むが
幸田は奇声を上げて、俺が掴んだ手を振り払い
腕にも包丁を突き刺した。
豊田「何がしたいんだよ、おめーはッ!」
俺が止めようと触れる度、そこを幸田は自身を刺し、
血だるまになっていった。
豊田「お前、止めるの手伝えッ
それか救急車呼べよッ」
ただ傍観しているストーカーに怒鳴るが、
断られた。
ストーカー「豊田さんをここまで穢すなんて、
死んでも償いきれませんから」
豊田「意味分かんねーんだよ、とにかく救急車でも
なんでも呼べよ!」
俺は怒鳴り散らすと、
さっき呼んでいた警察が来た。
豊田「やっと、来たか!」
~
「状況を理解しがたいのだが…」
事情をよく分からない俺が説明した所で、
警察も理解出来ていない。
豊田「先程も言いましたが、
幸田は自分で自分を刺したんです」
「先に連絡を受けていた、ストーカーというのは?」
豊田「確かにストーカーは同じ部屋に居ましたけど、
幸田は私の部屋の包丁で自分を刺しました」
「…はぁ」
警察官はため息を吐いた。
豊田「何ですか」
「その豊田さんの部屋に隣人の幸田さん?が
ストーカーを上げた後、
自分で自分を刺したと?」
豊田「そうだって言ってるじゃ無いですか」
「…はぁ、こちらでは手に負えない為
移動していただきます」
話にならない警察の対応に苛立つが、
他の部署で解決するならと移動する。
~
豊田「精神科病棟?」
何でこんなところに?
あぁ、ストーカーは精神病だったからか、
それに幸田もおかしかったから…
「豊田さん、また着たんですね。
今度も言うようですが、幸田さんは4年前に
亡くなってもう居ないんですよ」
豊田「は?」
「先週も同じような通報したと
警察の方から聞きましたよ」
豊田「何言ってんだよ」
「豊田さん、貴方は昨年幸田さんが
貴方のストーカーに刺殺された所を目撃し、
精神のバランスが崩れて、ここに入院したんですよ」
豊田「…」
「幸田さんは、もう居ないんですよ」
豊田「そんな筈はない」
「貴方は、この1週間を1人で繰り返してるんです」
豊田「…」
「思い出したようですね」
豊田「…分かりました。
幸田は死んでるんですね、分かったので
帰ります」
俺は椅子から立ち上がる。
「豊田さん!」
豊田「分かったんで、帰ります。
ご迷惑をお掛けしました」
俺は病院から出て、マンションに戻ると
ポケットから手紙を出して、自分のポストに入れた。
~
月曜日
【私は、貴方の事を愛しています。
しかし、直接言葉を交わす勇気はありません。
その為、この手紙に想いを綴りました。
愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる…】
豊田「また、入ってる」
幸田「豊田」
豊田「しつこいストーカーだな」
幸田「とーよーたー」
豊田「あぁ…」
幸田「俺死んでんだから、受け入れないと」
豊田「分かってる」
幸田「全然、分かってねーじゃん」
豊田「…」
幸田「あとさ、俺の事メンヘラにしすぎ」
俺の前で笑う幸田は俺の妄想。
幸田が死んだなんて、認めたくない…
豊田「嫌だ」
絶対に認めたくない…
幸田「全く、俺の事好きすぎ」
【私は、貴方の事を愛しています。
しかし、直接言葉を交わす勇気はありません。
その為、この手紙に想いを綴りました。
愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる…】
毎日家のポストに投函されるストーカーからの手紙に、
うんざりしている。
幸田「やだ、お前すげー愛されてんじゃん」
自分が住むアパートの隣人かつ、
同僚の幸田は、それを面白がっている。
豊田「こんな異常者からの愛なんていらん。
コレだけだと実害出てねーからって、
警察動かねーんだよ」
俺が気付かないところで、何かしてんのかもしれないが
今のところ、毎日の手紙だけ。
幸田「あははっ
実害出てからだったら遅いな」
豊田「本当それな」
~
火曜日
幸田「ほれ、手紙」
今日は何故か幸田から手紙を渡された。
豊田「は?」
幸田「豊田のストーカーと遭遇したんだよね。
それで渡して欲しいってよ」
豊田「お前、何考えてんだよ」
幸田「しかも、居酒屋で話したよ」
豊田「お前なぁ」
幸田「で、酒飲ませまくって
ホテル直行的な?」
幸田は重度の女好きかつ、頭のネジが飛んでいる。
幸田「あははっホテルでさ、
豊田の名前叫びまくってたよ」
豊田「朝からする話しじゃねーよ。
とにかく、遅刻するから会社行くぞ」
幸田「うーい」
~
それから、2日後の木曜日
幸田「ほい、手紙」
豊田「まだ繋がってんのかよ」
幸田「まっ二つの意味で繋がってるな」
ヘラヘラ笑う幸田に差し出された手紙を
受け取る事なく、すぐに捨てた。
~
金曜日
幸田は残業から逃げ、
俺だけ夜中まで残業になった。
豊田「終わったー」
身体バキバキだなと、明日休みで良かったわ…
帰ったら速攻シャワー浴びて、
明日の昼まで寝てやろうと
帰宅すると部屋の前に女が居た。
「助けて」
厄介だなと、俺はスマホを出す。
豊田「俺じゃ力になれないので、
警察呼びましょうか?」
「警察は止めてください」
豊田「俺は一般人で、貴方の力になれないので
他所行ってください」
早く寝たいのに、どうすんだよと
ため息を吐くと幸田の部屋のドアが開いた。
ガチャ
幸田「おっかえり~」
豊田「あぁ」
幸田「ソレ、豊田のストーカー」
「…うぅ」
幸田に指差された女に、
何となくそうだろうなと思っていた。
幸田「豊田の事、好きなくせに
俺に股開いたストーカー!
ウケるよな、意志弱!」
「…違う…違う…違うッ!
私は…無理矢理」
幸田「違くないでしょー」
こんな声が通るとこでする話しじゃねーなと
俺はストーカーを避けて、部屋の鍵を開ける。
「助けて」
豊田「襲われたんなら、尚更警察だろ」
俺は中に入ろうとするが、
ストーカーはそれを阻止しようと立ちはだかる。
「助けてあげてください!」
豊田「はぁ、本当疲れてるから…
そもそも、助けを求める相手間違ってんだろ」
ストーカー加害者が、被害者に助けを求めるとか
お門違いにも程がある。
「私は…貴方の事を愛してます。
だから、助けてあげてください!」
豊田「無理」
俺はストーカーを避け、ドアを閉めた。
ドンドンドンドンッ
豊田「…はぁ」
夜中にこんなドア叩かれたら、多分寝れない。
そして、近所迷惑で俺が大家にどやされる。
豊田「最悪」
俺はドアを開けた。
豊田「はぁ、勘弁しろよ」
ストーカーの横に幸田が立っている。
幸田「ほら」
幸田がストーカーを小突くと
ストーカーは跪いた。
「私は…貴方の事を愛してます。
何でも貴方の言う事聞きます…だから」
豊田「何でも聞くなら、
俺の事諦めて帰れよ」
幸田「ぶふッ辛辣!」
幸田はストーカーの頭を
こねくり回しながら笑う。
「それだけは…出来ません」
豊田「じゃあ、警察呼ぶから」
コレは実害に入るだろと、
俺はスマホを出す。
「止めてくださいッ…貴方の為なら
死ぬ事だって出来ます!
だけど諦める事だけは出来ません」
なら、死ねばと言おうとしたが
多分俺のせいになる。
もし、ならなかったとしても
その事実が一生頭の隅に残る事になる。
このストーカーの存在が一生
頭にチラつくとか絶対に嫌である。
幸田「豊田もコレ、使えば?
諦める以外は何でも言う事聞くなら
何しても問題なし」
幸田は再びヘラヘラ笑い、
ストーカーの肩に手を乗せている。
幸田「な?」
俺はそんなゲス幸田の手を掴むと、
思い切り部屋に引き込みドアを閉めた。
幸田「うぉッ何々⁈」
豊田「お前、利用されてんの
気付いてないのかよ」
幸田「へ?」
何で俺がストーカーを抱く流れになってんだよと
そんな事して利益があるのはストーカーだけだ。
豊田「お前は、何も考えてないんだな」
間抜けな顔をしている幸田に、
本当愛想がつきそうだ。
豊田「とにかく、アイツの思い通りに
いかないように、
俺もお前を利用することにするから」
ドンドンドンドンッ
俺はドアチェーンを掛け、叩かれているドアを開く。
「私は貴方の事、愛してますから」
豊田「俺は幸田の事愛してるから、
お前が入る隙間は無い」
ストーカーの目の前で、俺は幸田を引き寄せ
キスして見せるとストーカーは奇声を上げた。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だッ
そんな薄汚く穢れたモノとキスなんて
豊田さんがまた穢された!」
豊田「これから
これ以上の事するから、帰れよ」
呆然とする幸田を抱えて、ドアを閉める。
幸田「何、俺の事好きなの?」
豊田「なわけないだろ、利用するって言ったろ」
幸田「だとしても、普通キスするか?」
豊田「あぁいうのは、
俺に勝手な幻想抱いてるんだよ。
それなら、幻滅させた方がいいだろ」
幸田「なるほど~、そんでさ
これ以上の事、本気でする?」
豊田「しねーよ」
幸田「なんだ、しねーのか」
幸田は何考えてんのか、
俺のベットに入った。
豊田「勝手に入んな、とにかく
アイツが居なくなってからでいいから
自分の部屋に戻れ」
とっとと、汗流したいんだよなと
俺は幸田を放置し、シャワー室に入る。
ガチャッ
~
豊田「…お前、どんな神経してんだよ」
シャワーから出ると、あろう事か
幸田はストーカーを部屋に入れていた。
目離した俺が悪いのか?
「私、貴方を」
豊田「不法侵入だからな」
俺はスマホを取り、警察に連絡した。
豊田「…はい、部屋に…住所は」
「愛してます…」
幸田「まじで、警察呼んでんじゃん笑
あっ酒貰うね~」
幸田はキッチンにいってしまった。
豊田「出てけよ」
「私は、貴方の事愛してます…だから」
豊田「だから?」
「助けてあげてください」
豊田「…」
さっきは疲れてて、ストーカーの言葉を
聞き流していたが冷静になると言い方がおかしい。
「私は貴方の事、愛してます。
だから、助けてあげてください」
豊田「助けてあげる?」
「はい、助けてあげてください」
豊田「意味が分かんねーよ、
幸田から自分を守れって事なんじゃ?」
「違う…私じゃなくて」
豊田「なら、誰を助けろって言ってるんだよ」
「貴方です」
豊田「尚更、意味分かんね」
自分自身を助けろって、ストーカーに言われ
まじで理解出来ない。
「…私には…もう守る事は出来ないけど、
絶対に助けてあげてください」
豊田「分かんねーって」
「私は…貴方に幸せになって欲しいんです、
だから、アイツから助けてあげてください」
ストーカーは俺の後ろを指差す。
豊田「幸田?」
振り返ると幸田は何かを隠した。
幸田「どったの?」
豊田「今何隠した」
幸田「…」
豊田「出せ」
幸田「ちぇー」
幸田の手には、包丁が握られていた。
豊田「は?」
幸田「はぁ、言うなよ」
ストーカー「…」
豊田「幸田、お前何考えてんだよ」
幸田「何って、豊田の事殺そうと思ってさ」
豊田「なんで」
幸田「ほら、俺らいい歳じゃん?
同級生とかは結婚して子供作って、幸せな家庭を
築いて、子供が成人したら親元から離れて、
嫁と余生を送る未来が待ってるじゃん」
豊田は包丁を摩り出した。
幸田「豊田が誰かのモノになるのが
どうしても許せないんだよなー、
俺は豊田の事が好きとか愛してるとか…
そう言うんじゃないんだけど、
とにかく嫌なんだよなー」
豊田「その包丁下ろせ」
幸田「そうだ!豊田って存在が誰かに
穢されるのが嫌なんだったわ!」
幸田はそう叫ぶと自分の口に包丁を突き刺した。
ボタボタとフローリングに血が落ち、
幸田はそれでもヘラヘラしている。
豊田「お前、何やってんだよッ⁈」
俺は包丁をどうにかしようと、幸田に手を伸ばすが
それをストーカーに阻止される。
ストーカー「豊田さん、
自分の事を助けてあげてください」
何するか予想がつかない幸田に対して、
自己防衛しろって事か?
いや、包丁取り上げた方が早いだろと
俺はストーカーを押し退け、幸田の腕を掴むが
幸田は奇声を上げて、俺が掴んだ手を振り払い
腕にも包丁を突き刺した。
豊田「何がしたいんだよ、おめーはッ!」
俺が止めようと触れる度、そこを幸田は自身を刺し、
血だるまになっていった。
豊田「お前、止めるの手伝えッ
それか救急車呼べよッ」
ただ傍観しているストーカーに怒鳴るが、
断られた。
ストーカー「豊田さんをここまで穢すなんて、
死んでも償いきれませんから」
豊田「意味分かんねーんだよ、とにかく救急車でも
なんでも呼べよ!」
俺は怒鳴り散らすと、
さっき呼んでいた警察が来た。
豊田「やっと、来たか!」
~
「状況を理解しがたいのだが…」
事情をよく分からない俺が説明した所で、
警察も理解出来ていない。
豊田「先程も言いましたが、
幸田は自分で自分を刺したんです」
「先に連絡を受けていた、ストーカーというのは?」
豊田「確かにストーカーは同じ部屋に居ましたけど、
幸田は私の部屋の包丁で自分を刺しました」
「…はぁ」
警察官はため息を吐いた。
豊田「何ですか」
「その豊田さんの部屋に隣人の幸田さん?が
ストーカーを上げた後、
自分で自分を刺したと?」
豊田「そうだって言ってるじゃ無いですか」
「…はぁ、こちらでは手に負えない為
移動していただきます」
話にならない警察の対応に苛立つが、
他の部署で解決するならと移動する。
~
豊田「精神科病棟?」
何でこんなところに?
あぁ、ストーカーは精神病だったからか、
それに幸田もおかしかったから…
「豊田さん、また着たんですね。
今度も言うようですが、幸田さんは4年前に
亡くなってもう居ないんですよ」
豊田「は?」
「先週も同じような通報したと
警察の方から聞きましたよ」
豊田「何言ってんだよ」
「豊田さん、貴方は昨年幸田さんが
貴方のストーカーに刺殺された所を目撃し、
精神のバランスが崩れて、ここに入院したんですよ」
豊田「…」
「幸田さんは、もう居ないんですよ」
豊田「そんな筈はない」
「貴方は、この1週間を1人で繰り返してるんです」
豊田「…」
「思い出したようですね」
豊田「…分かりました。
幸田は死んでるんですね、分かったので
帰ります」
俺は椅子から立ち上がる。
「豊田さん!」
豊田「分かったんで、帰ります。
ご迷惑をお掛けしました」
俺は病院から出て、マンションに戻ると
ポケットから手紙を出して、自分のポストに入れた。
~
月曜日
【私は、貴方の事を愛しています。
しかし、直接言葉を交わす勇気はありません。
その為、この手紙に想いを綴りました。
愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる…】
豊田「また、入ってる」
幸田「豊田」
豊田「しつこいストーカーだな」
幸田「とーよーたー」
豊田「あぁ…」
幸田「俺死んでんだから、受け入れないと」
豊田「分かってる」
幸田「全然、分かってねーじゃん」
豊田「…」
幸田「あとさ、俺の事メンヘラにしすぎ」
俺の前で笑う幸田は俺の妄想。
幸田が死んだなんて、認めたくない…
豊田「嫌だ」
絶対に認めたくない…
幸田「全く、俺の事好きすぎ」
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指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
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