色んなストーカー

なゆか

文字の大きさ
26 / 53

自称アイドル

しおりを挟む
私のクラスに、【飛倉星斗】っていう
自称アイドルがいる。

彼は、見た目も中身も
the王道アイドルです。みたいな感じで、
事務所に所属しているようだが、
メディア露出は一切無い。

まぁ自分でアイドルだと言い張っている為、
周りはアイドルと持て囃している。

私は痛い奴だなくらいにしか思っていなかった。

飛倉「和光さん、君の気持ちは痛い程分かる、
でもストーカーなんてしても、僕は振り向かないよ。
だって、僕はみんなのアイドルだからね」

和光「頭沸いてんの?」

この日の日直は、私と飛倉で
飛倉は学級日誌を自分が書くと言い張り
私はそれ以外の日直の仕事をやっていたのに
飛岡は学級日誌を提出せずに下校した。

担任は厳しい為、未提出なんて許されない。
仕方ないと、私は飛倉の引き出しから
学級日誌を取ってるところを見られ勘違いされた。

和光「はぁ、おま…えと、飛岡君が
学級日誌を提出せずに下校したから、
代わりで提出しようとしただけ」

飛倉「言い訳なんていいんだ。
分かってるから、僕の事が好きなんだろ?」

和光「いや、言い訳じゃないし
むしろ嫌いだから」

飛倉「僕はアイドルだから、
好かれるのは慣れてるけど
ストーカーは、やめてくれ」

全然話し聞かねーなこの自意識と言いたいが、
自称アイドルに何言っても無駄そうだなと、
学級日誌を取り、教室を後にした。



次の日

登校早々にクラスの女子達に囲まれた。

「星斗にストーカーしてたんだって?」

「いつも興味ないフリしてたのに、
やっぱり、好きだったんじゃん」

「ストーカーするのは良くないけど、
ファンなら、早く言ってくれれば良かったのに」

飛倉が漏らしたんだなと、面白がられ
凄く面倒な事になった。

コレ、言い訳するだけ仇になりそうだし、
クラスで孤立すんのもなと黙秘した。

でも、黙秘は黙秘で周りが勝手に盛り上がり、
私も仲間だと認識され、ストレスしか感じない
結果となった。



和光「あーしんどい、
私が、あんな自称アイドルの自意識野郎の
ファンな訳ないだろッ」

誰も居ない教室で日頃の鬱憤を口に出していたら、
また本人登場である。

飛倉「僕の事をそんな風に思ってたんだね」

和光「そうだよ、お前の自意識過剰のせいで
ストレス溜まってんだよね」

飛倉「和光さんはそれでも僕の事が
好きなんだよね?」

和光「は?どんな見解?」

飛倉「分かってるから、そう僕に当たるのも
僕はアイドルで、みんなのアイドルだから、
独り占め出来ないって怒ってるんだよね」

和光「まじで言ってんの?」

飛倉「僕には、分かるよ」

和光「エロトマニアって検索してみな。
お前って、もろそれだから」

私は飛倉の返答を待たずして、下校した。

本人にあんな事言って、
ファン共にどやされる事だろう。

和光「ストレス溜まり続けんなら、
孤立上等だわ」



その日の夜

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

和光「うるさッ」

寝入ろうとしていた時、
ドアノブを回される音で目を覚ました。

和光「何」

親がなんかしてんのか、
部屋のドアノブを回され続ける。

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

和光「うるさいな…
鍵無いじゃん、開けなよ」

ガチャ

飛倉「エロトマニアって、調べたよ」

和光「…は」

夢?

何で、飛倉が私の部屋に入ってくんの?

最初は夢かと思った…
いや夢であって欲しかった。

飛倉「酷いよね、僕が被害妄想してるなんてさ…
僕はみんなから愛される本物のアイドルなんだよ?
妄想なんかじゃないよ」

和光「キモいんだけど」

飛倉「キモい?僕が?
そんな訳ないよ、和光さんは寝ぼけてるんだよ」

和光「お前のせいで、目覚めてるわ。
まじ意味分かんないから」

飛倉「和光さんは、みんなのように僕のファンで
僕の事を愛してて…それで」

飛倉は、自分の指を噛み出した。

和光「何取り乱してんの?
こっちの方が取り乱すわ」

親が通したのか、夜に来んなよと
枕を投げつける。

和光「帰れ」

飛倉「僕の…」

和光「うっさい、喋んな
帰れって言ってんの」

飛倉「和光さんは、僕の事を好きなはずなのに」

和光「いや、嫌いだって言ってんだろ。
その被害妄想がキモいんだよ」

飛倉「どうしてそんな酷い事を言うんだ。
僕のファンなのに」

和光「何度言っても無駄な訳?」

飛倉「分かってるッ!
分かってるんだ、和光さんは照れてるだけなんだよ。
でも、僕はみんなのアイドルで」

何を言っても、何度言っても
やっぱり無駄なんだと分かる。

飛倉「僕はみんなから愛されるアイドルなんだ」

和光「それ、自己暗示?
実際アイドル活動してないじゃん、
学校も皆勤賞だし」

飛倉「…僕は本物のアイドルで」

和光「それしか言えないんじゃん。
言っとくけど、周りに愛されてるって言うけど
ただ面白がられてるだけで…」

飛倉「…違う!」

こんな奴を私の部屋に通した親も親だなと、
ベット脇に置いてある目覚まし時計を掴む。

和光「承認欲求満たしたいなら、
普通に考えて私のところじゃないでしょ。
お前の事、ちやほやしてる人のところ行けよ」

私の所来んなよと、
目覚まし時計を投げ付ける。

和光「帰れ」

飛倉「…」

和光「黙ってないで、帰れって言ってんの」

私は飛倉を部屋の外に押し出した。

飛倉「…」



次の日

「星斗が昨日自殺未遂したんだって」

「え、まじで?」

「らしいよ、さっき職員室で聞いちゃって」

多分、私のせいだ。

「和光さん、お見舞い行く?」

和光「行かない」

「えー1番のファンのくせに」

和光「違うから」

「照れちゃって~」

その日、ずっと頭に飛倉がちらつき
授業に集中が出来なかった。

和光「ふざけんなよ…」

そして、飛倉の病室まで来てしまった。

飛倉「僕の事で頭にいっぱいになった?」

和光「自殺未遂してまで…」

飛倉「ははっ、和光さんは僕のファンなんだから、
ここに来るのは当たり前だよ」

和光「おかしいんじゃないの」

飛倉「和光さんは、僕の事嫌いって言ったけど
嫌いの反対は、好きって事だよ」

和光「は?」

飛倉「僕は、和光さんの事なら
なんでも分かってるからね」

飛倉は、私に気持ち悪い笑みを向けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...