色んなストーカー

なゆか

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対処方法

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ストーカーに自分への好意を諦めさせる方法って
何なんだろう…

東間「君を愛する事に理由なんて無いよ」

私は自分のストーカーから
そう言われた。

東間「好意を抱いたきっかけ?
それも特に無いかな」

理由もきっかけも無いのに、
ストーカーする程、
愛してるなんて恐怖でしかない。

東間「だから、君がどんな事をしても
俺は幻滅なんてしないし、見放すことも無い
それが愛だからね」

こんな異常者を私から諦めさせる方法…



綿貫「ねぇ、白田さん」

白田「えと…綿貫さん?」

同じクラスのあまり話した事の無い白田さん。

話したことは無いけど、きっと
この子なら…何とかしてくれそうな気がする。

綿貫「ちょっと、いいかな」

白田「今?」

綿貫「お昼中、悪いんだけど
今が良いかな」

「行って来なよ、白ちゃん」

白田さんは不思議そうに、
私の後に着いて来た。

白田「話しって?」

綿貫「あのさ、東間君の事好き?」

なんの脈略も無いけど、白田さんの中に
アイツの存在を認識させるところから
始めよう。

白田「え、東間って…同じクラスの?」

綿貫「どう?」

白田「どうって言われても、
話した事ないしな」

綿貫「なら、好きになってくれない?」

白田「えっと、なんで?」

綿貫「私、占い得意でね。
白田さんの運命の相手が東間君だったんだ」

きっかけをこじつけてやる。

白田「運命の人…」

白田さんはまだ不思議な顔をしている。

お願い…意識してなかったアイツの事を
意識するようになってよ…



私のお願いはすぐに叶い、
白田さんはアイツに声を掛けるようになった。

そして、今日はアイツが学校を休んだ。

これはチャンスだ。

綿貫「白田さん」

白田「ん?」

綿貫「東間君とは、どんな調子?」

白田「仲良しとまでは行かないかなー」

綿貫「そっか、それなら今日
お見舞いに行ってあげてよ」

白田「…えと、連絡先も家も知らないし」

2人きりになる口実を易々逃すものか…

綿貫「先生に聞いて来るから」

背中を押し続ければ、この子ならきっと…



その日の夜、アイツから電話が掛かって来た。

東間「家に白田が来て、
俺に告白まがいなことをしたんだ。
今まで俺を認識すらしてなかったのに、
いきなりなんなんだよ。
俺は才加ちゃんしか愛さないって言ったのに…
あの人は変だ…」

綿貫「変なのは、そっちでしょ。
着信拒否してるのに、毎回電話掛けて来ないでよ。
本当に気持ち悪い」

東間「どんなに突き放されても、
俺は才加ちゃんが…」

私は電話を切り、
スマホを壁に投げ付ける。

綿貫「…白田さん、もっと頑張ってよ」

苛立ちを感じたまま、布団に入った。



次の日

綿貫「白田さん、ちょっといいかな」

相変わらずあっけらかんとしている白田さんは、
私の事を見上げる。

綿貫「昨日、お見舞いに行ったんだよね?」

白田「行ったけど」

綿貫「告白した?」

白田「したかも」

アイツの言っていた事は事実だったのに、
なんで進展無いのよ…

綿貫「なんて言われた?」

白田「東間は綿貫さんの事しか愛せないってさ」

そんな事は分かってる…

白田さんを差し向けても、
アイツの気持ちは揺るがないの?

なら、どうすれば…

綿貫「使えないな」

ぼそっと口に出した言葉に
白田さんはムッとした顔で反応した。

白田「その言い方…やっぱ、東間を諦めさせる為に
私を差し向けたって事だね」

白田さんは意外にも私の思惑に
気づいていた。

私が利用してる事を知った上で
アイツに関わろうとしてる…

なんて、優しくて良い子なんだろう
それなら、まだ使えそうだ…

綿貫「何度も何度も何度も何度もッ
断ってるのに、本当に気持ち悪いのよ!」

白田「気持ち悪いって言い過ぎ。
その様子じゃ、本人にも言ったでしょ」

綿貫「本当の事言って何が悪い」

白田「人の好みにとやかく言えないけど
自分の事好きだっていう人にそれは無いんじゃない?」

もっと怒れ、私が最低だって認識しろ…
アイツを私から早く引き剥がしてよ!

綿貫「は?」

白田「それで、諦めさせる為にコレって…
人の気持ちを何だと思ってんの?」

アイツの為に怒っている白田さんは、
本当に優しくて良い子なんだろう…

そんな子に、
私はアイツを押し付けようとしている。

綿貫「まぁ、白田さんには悪い事してるとは
思ってるけど」

白田「いや、私よりも東間だよ」

綿貫「何言ってるの?
アレは人じゃない」

白田さんは、怒ったまま
結局、予鈴が鳴り教室へ戻った。



私に対し、怒っている白田さんは
私の思った通りに行動してくれた。

上手くいった…やっぱり、白田さんは使える。 

優しくて良い子なんだから、
押し付けても許してくれるよね。

もう時期、アイツから解放される兆しが見えて来た。

白田「東間ー」

東間「…うるさいな」

白田「一緒に帰ろうじゃないか」

東間「忙しいから無理」

白田「何で忙しいのか分からないけど、
手伝いましょう!」

東間「…全く、白田は変だよ」

アイツの視線の方向が変わったのを感じた。

ありがとう、白田さん…

コレで私は解放されたよ。
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