色んなストーカー

なゆか

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何も分からない

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家に帰ると、朝閉めたはずの
部屋の鍵が開いていた。

まさか、閉め忘れたのか?と玄関を開けると
部屋の電気が点いていて、
中から何か料理の匂いがしている。

?「あーおかえり!
お仕事、お疲れ様~今日も遅かったね」

エプロンをして、菜箸を持った男が
キッチンから出て来た。

?「ほらほら、棒立ちしてないで
今日は君が大好きなハンバーグ作ったよ!
味付けも、君の舌好みに合わせてるから
ちゃっちゃと手洗いうがいして一緒に食べよう」

腕を引かれ、脱衣所に押される。

ガチャン

「…え」

あの人、誰?

何、普通に人の部屋で料理作ってんの?

つか、どうやって入った?

「やばすぎでしょ…」

警察呼ばないと…あ、でもスマホ鞄の中…

?「どったの?」

脱衣所のドアが開き、知らない男が顔を出す。

「…え…あ…」

これ、ど…どうすればいいの…

?「何々、疲れちゃって動けないの?
しっかたないな~、手伝ってあげるから」

私の横に立ち、当たり前のようにタオルが入った
引き出しを開け、それを濡らして
私の手を拭き出した。

?「全く~、はいっ手はコレで大丈夫!
うがいはちゃんとしないと
風邪引いちゃうからね」

そう言って、指でデコを突かれ
カップに水を入れ渡して来た。

何この距離感…
え…知らない人だよね?

あまりにも当たり前のように接して来る男に
私がおかしいのかと錯覚して来た。

?「冷めちゃうから、早く来てね」

脱衣所から出て行った男。

「…いやいやいや」

昔、仲良かった友達とか、親戚とかでもなく
本当に知らない男だ。

何で知らないのに、あの距離感?

「…け…警察」

鞄は…と脱衣所のドアを音を立てないように
開けるとドアの前に男は立っていた。

?「うがい終わった?」

「…ひっ…」

?「サボろうとしても無駄だよ。
うがいの音してなかったもん、ほらほら
この前みたいに風邪引いちゃうでしょ。
本当僕がいないとダメなんだから」

満遍な笑みをして、私の前でしゃがんだ男は
カップを口に近づけて来た。

?「はい、ガラガラしましょうね」



スマホは鞄…スマホは鞄…スマホは鞄…

?「美味しいでしょ?
ちゃんと、ひき肉にもこだわったんだよ」

私は男の目を盗み、鞄に手を伸ばす。

?「何、鞄取って欲しいなら言ってよ」

バレた…

私は身構えるが、普通に鞄を渡して来た。

?「ご飯おかわりいるよね」

茶碗を持って男は席を立ち、
私はすぐに警察に助けを求めた。

警察から落ち着いて、
相手を刺激しないようにと指示を受けた。

とにかく、
私は警察が来るまで刺激しないように…

?「警察呼んだの?」

「…え」

?「バレてないわけないでしょ?」

男は手を後ろで隠している。

?「全く、まぁでも警察来るまで時間あるもんね。
それまで恋人同士楽しもうね」

殺される…と、身構えたが
男の手にはケーキがあった。

?「今日、誕生日だよね」

「…け…警察」

?「分かってるよ、大丈夫大丈夫。
君に手出しはしないよ、ただ恋人として
今日だけは一緒に過ごしたかったんだ」

「…恋人じゃない」

?「恋人だよ。
だって、こんなに好きなんだもん。
この想いが一方通行なわけないよ」

男はテーブルにケーキを置くと、
ローソクに火を着けた。

?「誕生日おめでとう、
生まれて来てくれてありがとう。
はい、ローソク吹き消して」

「ふ…吹き消したら…」

?「そんなに怯えないでよ。
恋人に危害なんて加えるわけないよ」

男は呆れたようにため息を吐き、
頬杖を突いた。

警察の人には、刺激しないようにと指示された
このままローソクを消さなかったら
殺されるかもしれない…

私はローソクの火を消し、
楽しそうに笑う男を見ながら
警察を待ち続けた。



部屋のチャイムが鳴り、警察が来た。

?「潮時かな」

男は立ち上がり、ケーキを切る為に持っていた
包丁を私にではなく、自分の首筋に当てた。

?「大好き」

そう言うと、部屋に男の血が飛び散り
私に微笑んで倒れていった。

警察に事情聴取を受けたが、
あの男が何なのか分からない為
応える事は出来ない。

ただ、あの男は私にトラウマを植えつけ
最悪な誕生日になった。
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