花言葉

なゆか

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アロエ

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鮎巳「好きです、僕と付き合ってください」

テンプレの告白台詞を言われ、
私は抜いてた雑草から手を離す。

七川「え、このタイミングで?」

現在、私は緑化委員の活動で中庭の雑草抜きを
一人でやっている。まぁ、一人なのは
他の委員が何かと理由を付けて
サボるからである。

こんな雑草抜きで汗だくかつ、
泥で汚れた今の私に告白って…
タイミングミスってるだろと
校舎の方を見ると、いけすかないクラスメイトの
男女4人組の姿が見えた。

七川「はぁ、いじめか…」

この私に告白して来た
苗字と名前の語呂が良い、鮎巳真弓。

彼は、あの4人にいじめられている。
根拠はパシられてるところをよく見るからである。

そして、この告白もきっといじめの類なんだろうなと
ため息が漏れた。

鮎巳は、テンプレ告白台詞以降
うんともすんとも言わず、
何故かアロエを指差している。

七川「アロエ?
何?分かんないよ」

鮎巳「…返事は今じゃなくていいです」

そう言って去って行ったが、
アロエを指差したのが気になって仕方ない。

七川「アロエ?
ロアエ、エロア、ロエア、アエロ…
エアロか!って、意味分かんないわ」

我ながら、ノリツッコミ痛いなと
雑草抜きを再開する。

アナグラムではないっぽい…
だとしたら、何でアロエを指差したんだろうと
私はモヤモヤしながら、雑草抜きを続けた。



日が暮れて来て、そろそろ切り上げるかと
抜いた雑草を堆肥にする為、麻袋に入れ終え
ジャージのまま下校しようとしていると、
まだ校舎にあの4人組と鮎巳の姿が見えた。

「七川、まだ校舎に残ってんだろ。
返事貰うまで、告白し続けろタコ」

嫌な会話が聞こえるなと、
このまま下校したら、鮎巳はあの4人に
ボコられる可能性あるよな…

仕方ないなと、その場に座り込み
周りの雑草抜きをする事にした。

鮎巳「七川さん」

七川「はいはい」

案の定、後ろから鮎巳に声を掛けられ
振り向くとまたどこかを指差している。

また、アロエだ。

鮎巳「さっきの返事、決まりましたか?」

なんて言ったら正解なのか分からない。
ただ、いじめられてるのを知った上で
彼を更に傷付けるのはなと…私も口籠る結果となる。

にしても、なんでアロエ?

鮎巳「好きです、付き合ってください」

七川「なんで、アロエ指差してんの?」

鮎巳「好きです、付き合ってください」

七川「いや、それより私の質問に…」

鮎巳「好きです、付き合ってください」

同じ台詞の一点張りをしてくる鮎巳の手は震え
まだアロエに指を差している。

七川「私からあの4人に文句言おうか?」

何で告白の相手を私にさせたのか謎だが、
とにかく、こんな事させたあの4人はいけすかない。

鮎巳「好きです、付き合ってください」

七川「ロボットかい…」

また同じ台詞の繰り返しかと、
私は立ち上がり、雑草を握ったまま
4人の方へ行こうとするがその手を掴まれた。

鮎巳「好きです」

七川「だから、文句言ってやるってば」

鮎巳「付き合ってください」

七川「いじめの一環で、
告白して来いって言われてんでしょ?」

鮎巳「…」

七川「それを分かった上で、
返事するのが嫌なんだよ。
だから、文句言ってくるから手放してよ」

鮎巳「好きです、付き合ってください」

駄目だこりゃ…

まぁいじめを受けてるのは鮎巳だし、
私が文句言ったら、更に虐められたりする
可能性もある。

七川「面倒くさいな…」

私は鮎巳の手を握る。

七川「分かった、付き合うって事にして」

そう言った途端、
手を思い切り振り払われる。

鮎巳「…アロエなのに」

七川「は?」

意味分かんないなと、鮎巳は4人の方に
行ってしまい、私は振り払われた手を見ながら
結局アロエってなんだよと、
モヤモヤしながら下校した。



アロエ

七川「…花言葉【苦痛】って」

家に帰ってもモヤモヤが晴れない為、
ネットで調べたら、花言葉が出て来た。

…虐めが苦痛って事?

まぁ、そりゃそうだけど…
鮎巳の態度から、私に告白する事が
苦痛だって言われているように思った。

七川「なんかムカつくな…」

アロエを調べた結果を知っても、
もやもやは晴れる事なく、私は眠りについた。
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