花言葉

なゆか

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ゼラニウム

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保健室で、鮎巳の本心を沢山聞き
本当は私の事が好きだったと分かった。

鮎巳「今1番数乃ちゃんに贈りたい花は
ゼラニウムです」

この言い方だと、花言葉関係ありそうだなと
検索する為にスマホを出す。

鮎巳「花言葉は、尊敬です」

検索前に花言葉を言われ、
なんで尊敬なのかと首を傾げる。

私はベットのヘリに座り、布団で丸まっていた
鮎巳は顔を出した。

鮎巳「こんな僕なんかが振り回しても、
こうやって話を聞いてくれる
優しい数乃ちゃんの事が好きになったんです」

七川「…うーん」

鮎巳「好きです、数乃ちゃん」

嫌われてると思ってたのに、
こんな好き好き言われてもなと
この勘違いのせいで
私は鮎巳を嫌いになったもんな…

鮎巳「数乃ちゃん?」

小首を傾げる鮎巳は私に手を伸ばして来た。

本当は好きでしたって言う鮎巳と、
別れずにこのまま付き合い続けんの?

こんな面倒な奴と?

鮎巳が何で私が嫌いなのかって
探究心はあったけど…
この2週間のストレスが付き合ったとして
無かったことにならんでしょ。

七川「別れようか」

私は鮎巳の手を払いのける。

鮎巳「…は?」

私が鮎巳を受け入れるとでも思っていたのか
驚いて滑稽な顔をした鮎巳は布団から出た。

鮎巳「…ぇ…別れる?」

七川「うん」

鮎巳「…ぇ…分からないです」

七川「そもそも、私が鮎巳と
付き合ったフリをしたのは
あの4人からいじめられてるって思ったからで…」

鮎巳「ぇ…えっ…まっ待ってください…」

七川「それを肯定してたし、
だから利用されてたけど、そうじゃないなら
付き合い続ける理由無いよね」

鮎巳「ぼ…僕は…数乃ちゃんが好きで…」

七川「その名前呼びもいい加減やめてよ。
鮎巳が私の事好きだってのは分かったけど、
だからと言って、付き合い続けるわけないでしょ」

鮎巳「…なんで」

困惑して自分の髪をいじり出した鮎巳は、
分からない分からないとぼやき始めた。

七川「こっちの方が分かんないわ、
何でこの流れでいけると思ったんだよ。
恋愛漫画の読み過ぎ」

これで別れられると、清々しい気分になって
ベットから立ち上がる。

七川「これ以上は何も言わないから、
とにかく、これでおしまいって事で」

授業に行くかと、ベットから離れようとするが
腕を掴まれる。

鮎巳「別れません…ずっと続くって
言ったじゃ無いですか」

七川「それ言ったの鮎巳でしょ。
私は言ってない」

鮎巳「…絶対に別れません」

七川「絶対にって言われても」

鮎巳「クラスの皆は応援してくれました」

七川「面白がってるだけでしょ」

鮎巳「町崎だって…」

七川「町崎さんは違うかもだけど、
とにかく…」

鮎巳「とにかくって言うの止めて下さい。
本当におしまいみたいじゃ無いですか」

七川「いや、おしまいでしょ」

鮎巳「…終わらせません」

七川「鮎巳は報われませんでした。
めでたしめでたし」

再び手を振り払い、
私は保健室を後にした。




アロエ
苦痛

セキチク
あなたが嫌いです

オダマキ
愚か

ヒナギク
あなたと同じ気持ちです

ゼラニウム
詭計

ガチャンッガチャンッガチャンッ

鮎巳「クソッ…クソッ…クソッ…」

ガチャンッガチャンッガチャンッ

鮎巳「クソッ…クソッ…クソッ!」

騙せると思ったのに…

数乃ちゃんと結ばれる為に
花言葉調べて頑張ったのにッ…

ガチャンッガチャンッガチャンッ

鮎巳「クソッ…数乃ちゃんッ」

嘘をついたら、それがきっかけとなって
今まで意識すらしてない数乃ちゃんが
僕の事を見てくれて…それで…それで…

鮎巳「何で…どうして…うまくいかなかったッ」

こんなに好きなのに…同情して
付き合ってくれたのに…

本当の気持ちも伝えたのに…

鮎巳「何がいけなかった…何でダメだった…」

嘘ついたのが嫌だったの?
でも、興味を持ってくれたのに…

鮎巳「…数乃ちゃん…は…
どうして分かってくれないの」

沢山薔薇を贈るくらい…

鮎巳「…愛してるのにッ」

数乃ちゃんが1人で幸せにならないように、
ずっとそばに居ようとしてたのに…

ガチャンッガチャンッガチャンッ

鮎巳「クソッ…許さない…」

別れるなんて許さない、
ずっと一緒に居てやる…

何十本でも何百本でも…花を贈り続けよう。

鮎巳「明日は何の花を贈ろうかな」

 
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