ヒロインのジレンマ

なゆか

文字の大きさ
6 / 11

6

しおりを挟む
何分経ったか分からないけど、
ようやく涙が収まった。

淳太は、私が泣いて驚いたのか、
私の上から退くと隣に座っていた。

木谷「いつまで、ここにいる気?
早く部屋に帰れよ」

淳太「…」

黙り続ける淳太。

木谷「みんな戻ってくるから」

女子部屋に男子が入ってるなんて知れたら
面倒くさい事になる。

淳太「…俺」

木谷「早く帰って」

淳太「…ごめん」

淳太は、そうポツリと言葉をこぼし
部屋から出て行った。

気に留める事を止めたはずなのに、
茅波がどうなったのか気になった。

淳太に追いかけられるはずだった茅波、でも
追いかけなかった淳太。

モヤモヤとするまま、私は眠りについた。



目を覚ますと、友達は部屋に
戻ってきていて寝ていた。

時間を確認すると午前4時で
かなり早起きをしてしまったようだ。

怠い体を起こし、洗面台に向かうと
昨日泣いたせいか目が少し腫れていた。

もう関わる事は無いだろうと思ったのに
なんで淳太は、よりにもよって私の事なんか…
今まで散々茅波茅波言ってたのに…

モヤモヤしたまま残りの修学旅行を過ごすのか…

私は気分転換にと部屋から出て、旅館の庭に出た。

少し肌寒いけど、頭がすっきりする。

木谷「…昨日の無かったら良かったのに」

慎「さとちゃん?」

後ろから声を掛けられ、振り返ると慎がいた。

木谷「…」

午前4時、旅館の庭で偶然鉢合わせる。

こんな事普通なら無いだろう…本格的にまた
茅波の恋愛劇に巻き込まれたんだなと思った。

慎「さとちゃんが、旅館から出て行くの見かけて」

木谷「…」

慎「どうしたのかなって」

相変わらず慎は、優しい。

慎「さとちゃん?」

木谷「…気分転換に来ただけ」

慎「何かあった?」

この優しさが、今の私には凄く必要なんだと思う。

でも、慎と今ここで仲直り?をしたとしても
結局は茅波が来たら、すぐに心移りをするのだろう。

木谷「慎には、関係無い」

そんなこと言ったら、絶対…

慎「関係無くてもいいから、話してよ」

心配する事は分かっていた。

今の私に優しくしないでほしい…

木谷「…」

慎「…さとちゃん」

そっと手を握られた。

慎「僕はもう一度さとちゃんと、友達から
やり直したいんだ」

微かに震える慎の手
真っ直ぐに私の目を捉える大きな瞳

嫌でも私の心は揺れ動いてしまう。

木谷「…無理」

言葉ではそう言ったが、手を放す事が出来ない。

慎「さとちゃん」

木谷「呼ばないでよ」

慎「さとちゃん、泣かないで」

慎にそう言われ、また自分が泣いてるのだと
気が付いた。

木谷「…もうッ…なんなの…
人の弱ってるところにつけ込んで…」

慎「…」

木谷「…ずるい」

慎「ずるくて、ごめんね」

慎は、優しく私の事を抱き締めた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

Husband's secret (夫の秘密)

設楽理沙
ライト文芸
果たして・・ 秘密などあったのだろうか! むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ  10秒~30秒?  何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。 ❦ イラストはAI生成画像 自作

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...