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私を抱き締めてくれる慎は、とても優しく温かい。
木谷「…ッ」
ただ、こいつは私を切り捨て茅波を選んだんだ。
慎「さとちゃん、落ち着いた?」
私の涙を拭い、微笑む慎を憎たらしく思った。
慎「座ろっか」
慎に手引きされ、ベンチに座る。
慎「あははっ、ベンチ冷たいね」
涙なんて無闇に流すもんじゃなかった…
慎「えっとね…僕さとちゃんの事が心配で」
こいつは、弱った私に付け入ろうとしてくる。
慎「茅波ちゃんと、喧嘩したって聞いたんだ」
木谷「関係ない」
慎「…関係なくは無いよ、
さとちゃんと付き合ってたわけだし」
木谷「所詮、過去は過去」
慎「過去であっても、僕にとっては
さとちゃんと過ごした時間は大切で…」
木谷「…」
慎の手が私の手に絡みついてくる。
慎「さとちゃん、また僕と…」
木谷「無理」
すぐに手を払う。
慎「…うぅ、怒ってるのは僕のせいだから
理解してるけど、それでも僕はさとちゃんの事が
好きなんだ」
木谷「いや、今更何言ってんの?
あぁ、茅波を淳太に奪られたから
手持ち無沙汰で私って事か」
慎「そんな事思ってないよ。
さとちゃんと別れて、僕はさとちゃんの大切さに
気付いたんだ」
木谷「気付いて、それでより戻そうって?
道理が立たな過ぎて笑える」
なんで、私がこいつにまで
都合の良い女扱いされないといけないんだ。
木谷「とにかく、無理。
他の子探しな」
私はこのまま話してもストレスが溜まるだけだと、
ベンチから立ち上がり部屋に戻ろうとした。
慎「さとちゃん、僕達は茅波ちゃんの駒なんだから、
抗わなければ幸せになれるんだよ」
木谷「は?」
慎「流れに身を任せればいいのに、
さとちゃんは、反発するから駄目なんだよ」
こいつ、何言ってんの?
慎「茅波ちゃんが、最終的に皆形君と幸せになる為の
環境なんだからさ、残り物同士仲良くしてようよ」
そんな事を考えていたのは、
私だけだと思っていたがそれは違うようだ。
慎も立ち上がると、再び手を握られる。
慎「大丈夫、僕はちゃんと
さとちゃんの事が好きだから、幸せにするよ」
木谷「慎は、その流れに身を任せてるって事?」
慎「そうだよ」
木谷「その流れに乗って、私と付き合って別れて、
茅波と付き合って別れて、その結果
私とより戻そうとしてるって事?」
慎「そうだよ」
真っ直ぐな目で何の迷いもなく返答され、
怒りよりも恐怖を感じる。
今までの優しい慎は、演技だったんだ。
木谷「何の為に」
慎「そんなの決まってるじゃない、
幸せになる為だよ」
慎は今まで見せたことの無い笑みを見せた。
慎「さとちゃん、僕の手を取って
一緒に幸せになろう」
私は慎の手を…
木谷「…ッ」
ただ、こいつは私を切り捨て茅波を選んだんだ。
慎「さとちゃん、落ち着いた?」
私の涙を拭い、微笑む慎を憎たらしく思った。
慎「座ろっか」
慎に手引きされ、ベンチに座る。
慎「あははっ、ベンチ冷たいね」
涙なんて無闇に流すもんじゃなかった…
慎「えっとね…僕さとちゃんの事が心配で」
こいつは、弱った私に付け入ろうとしてくる。
慎「茅波ちゃんと、喧嘩したって聞いたんだ」
木谷「関係ない」
慎「…関係なくは無いよ、
さとちゃんと付き合ってたわけだし」
木谷「所詮、過去は過去」
慎「過去であっても、僕にとっては
さとちゃんと過ごした時間は大切で…」
木谷「…」
慎の手が私の手に絡みついてくる。
慎「さとちゃん、また僕と…」
木谷「無理」
すぐに手を払う。
慎「…うぅ、怒ってるのは僕のせいだから
理解してるけど、それでも僕はさとちゃんの事が
好きなんだ」
木谷「いや、今更何言ってんの?
あぁ、茅波を淳太に奪られたから
手持ち無沙汰で私って事か」
慎「そんな事思ってないよ。
さとちゃんと別れて、僕はさとちゃんの大切さに
気付いたんだ」
木谷「気付いて、それでより戻そうって?
道理が立たな過ぎて笑える」
なんで、私がこいつにまで
都合の良い女扱いされないといけないんだ。
木谷「とにかく、無理。
他の子探しな」
私はこのまま話してもストレスが溜まるだけだと、
ベンチから立ち上がり部屋に戻ろうとした。
慎「さとちゃん、僕達は茅波ちゃんの駒なんだから、
抗わなければ幸せになれるんだよ」
木谷「は?」
慎「流れに身を任せればいいのに、
さとちゃんは、反発するから駄目なんだよ」
こいつ、何言ってんの?
慎「茅波ちゃんが、最終的に皆形君と幸せになる為の
環境なんだからさ、残り物同士仲良くしてようよ」
そんな事を考えていたのは、
私だけだと思っていたがそれは違うようだ。
慎も立ち上がると、再び手を握られる。
慎「大丈夫、僕はちゃんと
さとちゃんの事が好きだから、幸せにするよ」
木谷「慎は、その流れに身を任せてるって事?」
慎「そうだよ」
木谷「その流れに乗って、私と付き合って別れて、
茅波と付き合って別れて、その結果
私とより戻そうとしてるって事?」
慎「そうだよ」
真っ直ぐな目で何の迷いもなく返答され、
怒りよりも恐怖を感じる。
今までの優しい慎は、演技だったんだ。
木谷「何の為に」
慎「そんなの決まってるじゃない、
幸せになる為だよ」
慎は今まで見せたことの無い笑みを見せた。
慎「さとちゃん、僕の手を取って
一緒に幸せになろう」
私は慎の手を…
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