幼馴染探偵

なゆか

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そもそも… END前半

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※「大三ショウの謎」後の別 END

そもそも… END

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マキハ、ミズ、ショウの女装の謎も、
女子に植え付けてる印象の謎も解けないまま、
月日は着々と流れていく。

酉野「全然分かんない!
私が女子から嫌がられてる理由諸々!」

井森「女子から嫌がられるんじゃなくてね、
恐がられてんの」

酉野「私、何もやましい事してないのに!」

蛙谷「前世で大罪犯したんだろ」

酉野「なんて事だ!」

そりゃどうしようとないと、
頭を机に打ち付けた。

井森「別にいいんじゃない?
酉ちゃんには僕らが居るし」

酉野「違うでしょ!
3人とも男じゃん!」

蛙谷「そろそろ、気付いていい頃じゃね?」

酉野「何を?
やっぱ、本当は女だったとか?」

蛙谷「それはあり得ねーよ」

井森「まっずっとこのままじゃ、
先に進まないもんね」

大三「…はぁ」

何の話しだと、また謎解きかと頭を捻る。

蛙谷「正解発表してやんよ」

酉野「遂にか!」



マキハ、ミズ、ショウの女装理由は、
私の事が好きだからだそうだ。

酉野「ん?」

蛙谷「酉野、頭強打とかした?」

酉野「え、してないよ」

蛙谷「なら、なんで忘れてんだ?」

忘れてる?

井森「酉ちゃんは、
僕らの女装理由を推理してるけど
それよりも、自分が女子制服着てない理由を
考えなよ」

酉野「スカートは動き辛いから」

井森「違うでしょ?
そもそも、酉ちゃんはスカートじゃないよね?」

酉野「…」

大三「酉野」

酉野「何」

大三「酉野の性別は男」

ショウに言われ、あっそうだった…
そう自分の姿を鏡で見ると、
小汚くて、貧相な男の私と目が合った。

酉野「あちゃー」

蛙谷「あちゃーじゃないだろ、ゲンタ」

私…いや、俺の名前は酉野ゲンタでした。




酉野ゲンタは、俺達の幼馴染であり
想いを寄せる相手である。

井森「ゲンちゃんが、またよく分からない事
言い出したんだけど!」

蛙谷「いつもの事じゃん」

小学6年の春前、
俺達はゲンタに大好きだと伝えた。

それは、決して愛の告白では無く
これからもずっと仲良くしようという
意思表明だった。

何故、そんな意思表明をしたかというと…
一昨日放送されたドラマのせいである。

内容は、小学まで仲良かった友達に
中学で虐められるというもの。

そんなものゴールデンタイムでやるなよと、
完全にそれを観た影響からか、
次の日から、ゲンタがソワソワし出した。

だからずっと友達だと言ったつもりが、
ゲンタは意味の分からない事を言い出した。

酉野「だからさ!
俺が女になればいいんじゃん!」

蛙谷・井森「え?」

大三「ゲンタは、
何を言ってるの?」

酉野「だってさ、日本じゃ男同士は
結婚出来ないじゃん、
だからさ、俺が女になれば
3人と結婚出来るからね!」

大三「け…結婚?」

蛙谷「ゲンタが女になるって、
意味わかんねーぞ」

井森「僕、ちんぷんかんぷんなんだけど」

蛙谷「あと、なんで結婚なんだよ!」

大三「ゲンタは、結婚の意味分かってる?」

酉野「楽しく4人で居る事でしょ」

井森「確かにさ~、楽しく4人でってのは
そうだけど、結婚っていうのは
いちゃいちゃとか
ちゅーとかする事だよ!」

大三「小6のくせに、ませてる」

井森「もう中学生だもん!」

酉野「あっ俺…じゃないか、
私とマキハ達がいちゃいちゃする為には
私が女にならないと駄目だよ」

井森「なんでそうなるの?」

酉野「同性婚は、
日本ではまだ良しとされてないから」

ゲンタは、いつも子供っぽい事しか言わないのに、
今回に限って同性婚は現在の日本では
法的に認められてない事を知っていたらしく、
腕を組み、唸っている。

大三「法律的な事言ってるなら、
ゲンタが女って公言しても
戸籍を替える為には、家庭裁判所とか」

蛙谷「あぁっややこしい事言うな!
ゲンタが本気で俺らの気持ちに応えて
くれたのは嬉しいが、法律とか
訳わかんねー」

本気で気持ちに応えると言ってるけど
何かおかしい流れになってる様な気がする。

井森「パートナーシップ制度があるじゃない」

大三「ミズ、それでも法律上では、
認められてないんだ」

井森「よく分かんないよ~」

蛙谷「そうだ、俺らまだ小学6年だぞ!」

井森「そうそう!」

大三「ゲンタは深く考えすぎ…
えと、そもそも…結婚の話じゃなくて」

なんで、結婚の話で進んでるんだと
話を戻そうとするが、ゲンタに遮られる。

酉野「俺が女になんないと!」

大三「俺の話聞いて」

井森「ゲンちゃんは、今のままでいいの!」

蛙谷「そうだぞ!
男のゲンタが好きなんじゃなくて、
俺らは、ゲンタが好きなんだぞ」

ゲンタの暴走に、マキハとミズは
誤解を招き続ける様なことしか言わない。

大三「…いや、だから」

俺達はゲンタが女にならなくていいと
説得したつもりだったが、ゲンタは
次の日から自分を女だと思い込み始めた。

井森「昨日の説得はなんだったの⁈」

大三「はぁ」

蛙谷「おい!
ゲンタが女子トイレ入って、
職員室に呼ばれてるぞ!」

井森「あぁっもう!」

俺達は、ゲンタの本気を甘く見ていた。

そして、マキハもミズもおかしくなっていった。



ゲンタは、小学6年の最後を滅茶苦茶に終え、
最初、ゲンタのお母さんは息子が
また馬鹿やってると思っていたらしいが、
卒業式直前まで、担任に呼び出されていたからか
病院に連れて行くと言い出した。

大三「ゲンタのお母さん」

俺達は、ゲンタのお母さんを呼び止め
ゲンタがこうなった経緯を説明し、
自分達のせいだと謝った。

「はぁ、ウチの子おかしいでしょう?」

蛙谷「全然おかしくじゃないぞ!
俺ら、ゲンタが男でも女でも大好きだもんな!」

井森「うん!」

「ゲンタを本気で好きだって
言ってくれる子は中々いないよ。
人を好きになる事に性別なんて関係ないものね…」

大三「…ん?」

「大丈夫よ、同性愛を否定しないわ」

大三「…え、違う」

「ありがとうね、3人とも」

大三「…誤解なのに」

マキハとミズが匂わせたせいで
ゲンタのお母さんは、
俺達が本気でゲンタを好き=同性愛
だと勘違いされ
そのまま、息子をよろしくと託されたが
託さないでほしい。

蛙谷「俺らのせいでゲンタが変わったなら
責任とって俺らもゲンタに付き合わないとな」

井森「えぇっ僕らも女の子になるって事⁈」

大三「…なんで?」

どういう思考?

蛙谷「中学で、ゲンタが
先輩とかに変な目に遭わされない為にも
俺らが守らないと」

大三「ゲンタが女だって思い込んでるのを
何とかしないといけないのは分かるけど、
俺達が女の格好する意味は?」

蛙谷「ゲンタを好きなのに
男も女も関係無いからな!
だから、ゲンタに釣り合う為に」

井森「それなら、僕も女の子になるよ!」

大三「…全然、分からない」

ゲンタの馬鹿が完全に感染し、
マキハもミズも、意味分からない考えを持ち出し
手に負えなくなってきた。

蛙谷「制服とか、
そらへんは俺の家で用意すんよ」

マキハの家は、裕福だから
任せろと言うが、全然任せたくない。

井森「男子制服着たの、
採寸の時だけになっちゃったな」

蛙谷「まぁ、ずっとでもないだろ。
ゲンタだって、俺らの気持ちに気付いて
男に戻ってくれるようになんだろ」

井森「ゲンちゃん、変わってるもんね」

蛙谷「な!」

大三「…2人も大概だろ」

何でこんな滅茶苦茶になったんだろう…


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