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Episode4 プロデュース第三弾
石垣島ダイビング旅行 ⑪
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またやってしまった!
龍輝は落ち込んでいた。
一華さんの横にずっといるって約束したのに、早速破ってしまった!
一華が流されそうになった時、龍輝は一瞬肝が冷えた。
ここは穏やかな海域だが、海底は思ったよりも流れが早い。
運動神経も体力も抜群の一華だとしても、初心者を放置してはいけなかった。
間一髪、一華の腕を取ることができたので事なきを得たが、これはやってはいけないミスだ。
インストラクターとしても、彼氏としても。
「どうしたの?」
沈んでいる龍輝に気づいて、一華が直ぐに声をかけてくれた。
そうだ。ちゃんと目を見て謝らないと。
「ごめん。一華さん。俺、約束を破った」
「え?」
きょとんとした一華に頭を下げた。
「ずっと横に居るって言ったのに、離れて危険な目に合わせてしまった。ごめん」
驚いた一華が慌てて龍輝の手を取った。
「ずっと横に居てくれたじゃない。それに、私が流されそうになった時直ぐに助けてくれたわ。約束守ってくれたよ」
「一華さん……ありがとう。でも、一華さんを海底に一人にしたことは、インストラクターとしても、彼氏としてもダメダメな行動だよ」
攻め続ける龍輝。一華は龍輝の手を両手で抱えながら頷いた。
「確かに。インストラクターとしては受講者の傍を離れちゃいけないわね。うん。でもね、彼氏としては別に問題無いわよ」
「え! 大切な彼女を置き去りにするなんて、彼氏失格だと思った」
「彼女の傍を離れたから失格だなんて、そんなことあるわけないでしょ」
「でも……」
龍輝は一瞬言葉を詰まらせる。
だが、意を決して、長年自分の中にある『気がかり』を吐露した。
「俺、何かに夢中になると直ぐ注意散漫になるし、興味に任せて後先考えずに動き出してしまうから、いつまた一華さんを危険な目に合わせてしまうかと思うと怖いんだ。本当に、ごめん」
好奇心に忠実な自分のことを卑下する気はない。
でも、そのせいで周りに奇異の目で見られたり、集団行動ができていないと眉を顰められたりしたことは一度や二度では無い。
だから、無意識のうちに誰かに迷惑をかけてしまうかもしれない。
そんな不安が、ずっと心の奥底に葛ぶっていたのだ。
その言葉に、一華の瞳がとびっきり優しくなった。
「龍輝さんは、何かに夢中になると一直線だけど、ちゃんと周りの人の事も見えているわよ。じゃ無かったら、あの時困っている人のこと放っておいたはず。気づいたから助けに行ったんでしょ。凄くカッコ良かった」
「……そんな風に言ってもらえるなんて」
ちょっとだけ力を抜いた龍輝に、一華は続けた。
「大丈夫。龍輝さんはちゃんと気遣いができる人よ。私が太鼓判押してあげる」
「一華さん……」
「私の傍に張り付いているだけの彼氏より、助けに行った龍輝さんの方が好き。その姿を見たから、私のピンチにも気づいてくれると思えるし、絶対助けてくれるって信じることができるんだよ」
龍輝の憂いが淡雪のように溶けていく。
「ありがとう!」
ああ、やっぱり! 一華さんは最高だ。
感極まった龍輝。いきなり一華を抱きしめた。
「うわっ。龍輝さん、みんなに見られちゃう」
「別にいいよって言いたいけれど、あはは、ごめん」
慌てて手を離す。
「すごく嬉しかったよ。ありがとう」
心の底からの感謝の言葉。繋いだ手にさり気なくキスをして微笑んだ。
真っ赤になった一華。周りは気になるけれど、内心はもっともっととおねだりモードが炸裂しそうになっていた。
今のキス! もう、王子様みたい!
そして私を守ってくれるのは馬鹿正直過ぎる騎士。
でも、だからこそ、信じることができるのよ。
一華の笑顔も花開いた。
龍輝は落ち込んでいた。
一華さんの横にずっといるって約束したのに、早速破ってしまった!
一華が流されそうになった時、龍輝は一瞬肝が冷えた。
ここは穏やかな海域だが、海底は思ったよりも流れが早い。
運動神経も体力も抜群の一華だとしても、初心者を放置してはいけなかった。
間一髪、一華の腕を取ることができたので事なきを得たが、これはやってはいけないミスだ。
インストラクターとしても、彼氏としても。
「どうしたの?」
沈んでいる龍輝に気づいて、一華が直ぐに声をかけてくれた。
そうだ。ちゃんと目を見て謝らないと。
「ごめん。一華さん。俺、約束を破った」
「え?」
きょとんとした一華に頭を下げた。
「ずっと横に居るって言ったのに、離れて危険な目に合わせてしまった。ごめん」
驚いた一華が慌てて龍輝の手を取った。
「ずっと横に居てくれたじゃない。それに、私が流されそうになった時直ぐに助けてくれたわ。約束守ってくれたよ」
「一華さん……ありがとう。でも、一華さんを海底に一人にしたことは、インストラクターとしても、彼氏としてもダメダメな行動だよ」
攻め続ける龍輝。一華は龍輝の手を両手で抱えながら頷いた。
「確かに。インストラクターとしては受講者の傍を離れちゃいけないわね。うん。でもね、彼氏としては別に問題無いわよ」
「え! 大切な彼女を置き去りにするなんて、彼氏失格だと思った」
「彼女の傍を離れたから失格だなんて、そんなことあるわけないでしょ」
「でも……」
龍輝は一瞬言葉を詰まらせる。
だが、意を決して、長年自分の中にある『気がかり』を吐露した。
「俺、何かに夢中になると直ぐ注意散漫になるし、興味に任せて後先考えずに動き出してしまうから、いつまた一華さんを危険な目に合わせてしまうかと思うと怖いんだ。本当に、ごめん」
好奇心に忠実な自分のことを卑下する気はない。
でも、そのせいで周りに奇異の目で見られたり、集団行動ができていないと眉を顰められたりしたことは一度や二度では無い。
だから、無意識のうちに誰かに迷惑をかけてしまうかもしれない。
そんな不安が、ずっと心の奥底に葛ぶっていたのだ。
その言葉に、一華の瞳がとびっきり優しくなった。
「龍輝さんは、何かに夢中になると一直線だけど、ちゃんと周りの人の事も見えているわよ。じゃ無かったら、あの時困っている人のこと放っておいたはず。気づいたから助けに行ったんでしょ。凄くカッコ良かった」
「……そんな風に言ってもらえるなんて」
ちょっとだけ力を抜いた龍輝に、一華は続けた。
「大丈夫。龍輝さんはちゃんと気遣いができる人よ。私が太鼓判押してあげる」
「一華さん……」
「私の傍に張り付いているだけの彼氏より、助けに行った龍輝さんの方が好き。その姿を見たから、私のピンチにも気づいてくれると思えるし、絶対助けてくれるって信じることができるんだよ」
龍輝の憂いが淡雪のように溶けていく。
「ありがとう!」
ああ、やっぱり! 一華さんは最高だ。
感極まった龍輝。いきなり一華を抱きしめた。
「うわっ。龍輝さん、みんなに見られちゃう」
「別にいいよって言いたいけれど、あはは、ごめん」
慌てて手を離す。
「すごく嬉しかったよ。ありがとう」
心の底からの感謝の言葉。繋いだ手にさり気なくキスをして微笑んだ。
真っ赤になった一華。周りは気になるけれど、内心はもっともっととおねだりモードが炸裂しそうになっていた。
今のキス! もう、王子様みたい!
そして私を守ってくれるのは馬鹿正直過ぎる騎士。
でも、だからこそ、信じることができるのよ。
一華の笑顔も花開いた。
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