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番外編
兄妹VS姉弟 ①
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金曜日はどうしても残業が長くなってしまう。
それもこれも、土日の休みを確保するため。そう思えばやる気もキープできると言うもの。
だが、流石に疲れは隠せない。のろのろと駅からの道のりを歩いていたのだが、部屋の明かりを見つけて龍輝の足は弾むように速足になった。
今日は一華さん、実家に行くって言っていたから来ないはずだけれど……予定変更でもしたのかな?
ウキウキと鍵を開けて中を覗き込むと、そこには見知った顔が。
「お兄ちゃん、お帰り」
「え! 鈴音。どうしたんだよ、急に」
七歳年下の妹、鈴音だった。
龍輝は神奈川出身なので、実家が遠いわけでは無かったが、仕事の忙しさにかまけてちゃんと連絡していなかった。
鈴音とも、互いに就職してからは年末に実家で会うくらい。
それでも今までは、時々連絡だけは取り合っていたのだが、ここのところ一華とばかりやり取りしていて……サボっていた。
だから怒っているのかな?
「会社帰りに友達とライブに行ったの。でも、帰りが遅くなっちゃったから、お兄ちゃんのところに泊めてもらおうと思って」
「だったら、連絡くらい入れておけよ」
「急に来たら困るようなことがあるんだ」
「別に、そんなことはないけれど」
「ふう~ん」
意味深にニマリとした鈴音。ちらりとベッドサイドの写真立てに目を向ける。
「ねぇ、これお兄ちゃんの彼女?」
「そうだよ」
「すっごい美人だね」
「だろ」
ニヘラと顔が緩んだ兄を一睨み。心配そうな顔になる。
「美人の彼女って、性格どうなの? お兄ちゃん優しいからさ。いいようにこき使われてないか心配だよ」
「そんなことないよ。性格も美人だから」
「……そう、なんだ」
七歳年上の兄は、幼い鈴音にとってヒーローだった。
なんでも知っているし、背も高くてカッコいいし、優しいし。
でも、いつ頃からだろうか。兄はいわゆる世に言う変人の部類らしいと気づいたのは。
何かに夢中になると、他のことはどうでも良くなってしまうらしく、身だしなみも適当になって昼夜も問わず追い求める。
その興味は順番に移り変わったり、増えていったりするので、別に一つだけに偏っているわけでは無いのだが、とことん追求する姿勢は、時に周りを置いてけぼりにしてしまう。
当然恋バナなんかに興味も無く……
でも逆に、お兄ちゃんが恋に興味を持ったら危ないかも知れない!
猪突猛進。あばたもえくぼ。自分が良いと思った人がいたら一直線に行きそうだわ。
それがもし、性格が悪い女性だったら……
私がしっかりしないと!
それもこれも、土日の休みを確保するため。そう思えばやる気もキープできると言うもの。
だが、流石に疲れは隠せない。のろのろと駅からの道のりを歩いていたのだが、部屋の明かりを見つけて龍輝の足は弾むように速足になった。
今日は一華さん、実家に行くって言っていたから来ないはずだけれど……予定変更でもしたのかな?
ウキウキと鍵を開けて中を覗き込むと、そこには見知った顔が。
「お兄ちゃん、お帰り」
「え! 鈴音。どうしたんだよ、急に」
七歳年下の妹、鈴音だった。
龍輝は神奈川出身なので、実家が遠いわけでは無かったが、仕事の忙しさにかまけてちゃんと連絡していなかった。
鈴音とも、互いに就職してからは年末に実家で会うくらい。
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だから怒っているのかな?
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「だったら、連絡くらい入れておけよ」
「急に来たら困るようなことがあるんだ」
「別に、そんなことはないけれど」
「ふう~ん」
意味深にニマリとした鈴音。ちらりとベッドサイドの写真立てに目を向ける。
「ねぇ、これお兄ちゃんの彼女?」
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「すっごい美人だね」
「だろ」
ニヘラと顔が緩んだ兄を一睨み。心配そうな顔になる。
「美人の彼女って、性格どうなの? お兄ちゃん優しいからさ。いいようにこき使われてないか心配だよ」
「そんなことないよ。性格も美人だから」
「……そう、なんだ」
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でも、いつ頃からだろうか。兄はいわゆる世に言う変人の部類らしいと気づいたのは。
何かに夢中になると、他のことはどうでも良くなってしまうらしく、身だしなみも適当になって昼夜も問わず追い求める。
その興味は順番に移り変わったり、増えていったりするので、別に一つだけに偏っているわけでは無いのだが、とことん追求する姿勢は、時に周りを置いてけぼりにしてしまう。
当然恋バナなんかに興味も無く……
でも逆に、お兄ちゃんが恋に興味を持ったら危ないかも知れない!
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それがもし、性格が悪い女性だったら……
私がしっかりしないと!
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