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番外編
兄妹VS姉弟 ⑤
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待ち合わせのカフェは、『マルシェ』と言う店名通り、スープやサラダ、サンドイッチなど、ガラスケースの中にたくさんの食材が準備されていて、それぞれ好きなモノをチョイスして会計してから席につく方式。リーズナブルでフレキシブルだが、広い店内は落ち着いた雰囲気だった。
「改めて、自己紹介を。響君、水島龍輝です。海洋生物に関する研究所に勤めていて、一華さんとお付き合いさせていただいています。こっちが妹の鈴音。多分年齢が近いと思うから、仲良くしてやってもらえると助かります」
「なっ」
龍輝の言葉に、鈴音が顔を赤らめた。
「鈴音ちゃん、草間一華です。こっちが弟の響。よろしくお願いしますね」
一華がにこやかに自己紹介をすると、響の頭を手で下げようとして響に逃げられた。
「よろしくお願いします」
一華の手をかいくぐりながらも、丁寧に頭を下げた響。
「あの、私のほうこそ、よろしくお願いします」
恥じらいながら頭を下げた鈴音。
あれ? と言う表情で二人を見た一華。
龍輝が話し始めようと口を開きかけたところへ、目で『黙って』と合図を送る。
「?」
となった龍輝、一華の視線の先の二人を見て納得する。
なんだか二人の表情が……ギクシャクしている。
だがそれは、決して悪い意味では無くて、寧ろ初々しい雰囲気。
二人の視線に気づいた響が、慌てて表情を引き締めた。
龍輝の本性を探ってやろう。粗を暴露してやろうと意気込んできたのだが、目の前の龍輝は爽やかで裏表のない人間に見えた。
響の心にもすっと入り込んでくるほど、魅力的な男性。
そして……妹の鈴音が可愛かった。
「水島さん、初めまして。弟の響です。姉は見た目に反して結構繊細で脆い人なので、どうか大切にしてやってください」
真摯に頭を下げた。
「えっ。繊細で脆いって何」
慌てて呟いた一華を、龍輝が優しい眼差しで制す。
「響君、頭を上げてください。わかっていますよ。一華さんは、繊細で優しい女性です。その優しさに俺は何度も助けられています。だから、これからも絶対に大切にしますから」
頭を上げた響の目が、真っ直ぐに龍輝を捉える。真面目な人柄を感じて龍輝も好感を持った。
「あの……」
意を決したように鈴音が一華に声をかける。
「うちの兄は、ちょっと変人で、一緒にいると時々わけのわからないこと始めると思うんですけれど」
「あ、酷い」
龍輝が軽くショックを受けたような顔になる。
「龍輝さんは」
そんな二人を見て、一華が言葉を引き取った。
「龍輝さんは、いつも色々なことに一生懸命な人って知っています。彼のその姿勢が、私にも新しい楽しみを教えてくれるんです。だから、私いつもワクワクしていて……そんな龍輝さんが大好きなんです」
頬を染める一華の幸せな気持ちが伝わってくる。
心の底からの言葉は、鈴音の心配を淡雪のように溶かしてくれた。
良かった。お兄ちゃんのことわかってくれている!
女の勘をフル活用して、相手の腹を暴いてやると息巻いてきたのに、アッと言う間に一華の虜になった。
しかも、弟もイケメンだし。
兄を、姉を、思いやる優しさが引き寄せたのは―――
新しい恋の予感。
『S.S 兄妹VS姉弟』 完
「改めて、自己紹介を。響君、水島龍輝です。海洋生物に関する研究所に勤めていて、一華さんとお付き合いさせていただいています。こっちが妹の鈴音。多分年齢が近いと思うから、仲良くしてやってもらえると助かります」
「なっ」
龍輝の言葉に、鈴音が顔を赤らめた。
「鈴音ちゃん、草間一華です。こっちが弟の響。よろしくお願いしますね」
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一華の手をかいくぐりながらも、丁寧に頭を下げた響。
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恥じらいながら頭を下げた鈴音。
あれ? と言う表情で二人を見た一華。
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「?」
となった龍輝、一華の視線の先の二人を見て納得する。
なんだか二人の表情が……ギクシャクしている。
だがそれは、決して悪い意味では無くて、寧ろ初々しい雰囲気。
二人の視線に気づいた響が、慌てて表情を引き締めた。
龍輝の本性を探ってやろう。粗を暴露してやろうと意気込んできたのだが、目の前の龍輝は爽やかで裏表のない人間に見えた。
響の心にもすっと入り込んでくるほど、魅力的な男性。
そして……妹の鈴音が可愛かった。
「水島さん、初めまして。弟の響です。姉は見た目に反して結構繊細で脆い人なので、どうか大切にしてやってください」
真摯に頭を下げた。
「えっ。繊細で脆いって何」
慌てて呟いた一華を、龍輝が優しい眼差しで制す。
「響君、頭を上げてください。わかっていますよ。一華さんは、繊細で優しい女性です。その優しさに俺は何度も助けられています。だから、これからも絶対に大切にしますから」
頭を上げた響の目が、真っ直ぐに龍輝を捉える。真面目な人柄を感じて龍輝も好感を持った。
「あの……」
意を決したように鈴音が一華に声をかける。
「うちの兄は、ちょっと変人で、一緒にいると時々わけのわからないこと始めると思うんですけれど」
「あ、酷い」
龍輝が軽くショックを受けたような顔になる。
「龍輝さんは」
そんな二人を見て、一華が言葉を引き取った。
「龍輝さんは、いつも色々なことに一生懸命な人って知っています。彼のその姿勢が、私にも新しい楽しみを教えてくれるんです。だから、私いつもワクワクしていて……そんな龍輝さんが大好きなんです」
頬を染める一華の幸せな気持ちが伝わってくる。
心の底からの言葉は、鈴音の心配を淡雪のように溶かしてくれた。
良かった。お兄ちゃんのことわかってくれている!
女の勘をフル活用して、相手の腹を暴いてやると息巻いてきたのに、アッと言う間に一華の虜になった。
しかも、弟もイケメンだし。
兄を、姉を、思いやる優しさが引き寄せたのは―――
新しい恋の予感。
『S.S 兄妹VS姉弟』 完
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