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番外編
トリプルデート ⑤
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「燈子さん、味つけ大丈夫そうかな?」
一段落したところでやってきた蓮に、燈子がとびっきりの笑顔で答える。
「蓮君、お疲れ様。今日もばっちり。ぜーんぶ美味しい」
「良かった。じゃあ、いっぱい食べてね」
どんな時も気遣いの言葉を忘れ無い蓮。
見つめる燈子の笑みが蕩けていくのを見て、一華は心のシャッターを切った。
うふふ、燈子の乙女顔ゲット!
味つけ担当、蓮の腕前は、燈子の言葉通り素晴らしかった。
アルミホイルを使っての蒸し料理。じゃがバターや丸ごとトロトロ玉ねぎ。魚介とシイタケはアヒージョ風に。
トウモロコシは甘しょっぱく香ばしく。焼きおにぎりと共に定番の焼きそばは、もちもちとした仕上がり。
もちろん、焼肉は柔らかく旨味たっぷりに焼きあげられていた。
ちょっとした一手間が、味をグンと引き立てている。
いつも通り、龍輝は丁寧な食レポを披露。
恐縮して照れ笑いの蓮の横で、燈子が自分の手柄のように自慢気だ。
スラリとしてカッコいい系女性の燈子を見て、龍輝は一華の親友と言うことに納得した。
燈子さんと一華、きっと一緒に色々なことにチャレンジしてきたんだろうな。
二人だからこそ、互いに高め合ってこれたに違いない。こんなライバルがいたら楽しそうだな。
その時、燈子の瞳が龍輝を真っ直ぐに見つめてきた。
「龍輝さん、一華のことよろしくお願いします」
姉御肌燈子の一華への思いが伝わってくる。
「はい。任せてください」
迷いなく頷く龍輝に、安心したように微笑んだ。
「燈子ったら……」
一華の瞳に涙が盛り上がる。
「これくらい当たり前でしょ。一華は一見できる女に見えるけど、本当は危なっかしくてしょうがないんだから。彼氏にしっかりしてもらわないと」
「あん、もう。折角感動していたのに」
泣き笑いの一華。
こんな風に言いたい放題言えるってこと自体が、本当に仲の良い証拠だなと龍輝は思ったのだった。
爽やかな風が吹き抜ける中、飲んで食べておしゃべりをして。
楽しい時間は瞬く間に過ぎていく。
最後は女性陣も一緒にマシュマロを焼いて、大いに盛り上がって終了。
みんなでワイワイ言いながら片付けて、温泉で汗を流した。
夜の帳が降りても、みんなでお酒を飲みながらの歓談タイム。
辺り一帯に設置されたテントの仄かな明かりが、まるで蛍の光のような幻想的な雰囲気を醸しだしている。
「綺麗……」
一華の呟きにみんなも静かに頷いた。
自然と寄り添い合う恋人たち。
淡い光の中で、互いの顔を見つめ合う。そろそろお開きの時間だった。
繭の中のように落ち着くテントの中。
龍輝の胸に顔を埋めながら、一華はふと三組三様の恋人たちを思う。
それぞれが、それぞれの幸せを掴んでいることが、たまらなく嬉しい。
理沙さんと五十嵐さん、燈子と蓮君。
みんな幸せそう。
龍輝が言っていた凸凹の話を思い出した。
みんな凸凹していて、だからこそピッタリの相手と出会えたら幸せ―――
みんな、出会えたんだね。
無邪気な龍輝の寝顔を心ゆくまで眺めてから、一華も幸せな眠りについた。
『S.S トリプルデート』 完
お忙しい中、ここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
これにて、完結です。
たくさんの温かい応援に励まされて、なんとか書き上げる事ができました。
感謝しております! m(_ _)m
一段落したところでやってきた蓮に、燈子がとびっきりの笑顔で答える。
「蓮君、お疲れ様。今日もばっちり。ぜーんぶ美味しい」
「良かった。じゃあ、いっぱい食べてね」
どんな時も気遣いの言葉を忘れ無い蓮。
見つめる燈子の笑みが蕩けていくのを見て、一華は心のシャッターを切った。
うふふ、燈子の乙女顔ゲット!
味つけ担当、蓮の腕前は、燈子の言葉通り素晴らしかった。
アルミホイルを使っての蒸し料理。じゃがバターや丸ごとトロトロ玉ねぎ。魚介とシイタケはアヒージョ風に。
トウモロコシは甘しょっぱく香ばしく。焼きおにぎりと共に定番の焼きそばは、もちもちとした仕上がり。
もちろん、焼肉は柔らかく旨味たっぷりに焼きあげられていた。
ちょっとした一手間が、味をグンと引き立てている。
いつも通り、龍輝は丁寧な食レポを披露。
恐縮して照れ笑いの蓮の横で、燈子が自分の手柄のように自慢気だ。
スラリとしてカッコいい系女性の燈子を見て、龍輝は一華の親友と言うことに納得した。
燈子さんと一華、きっと一緒に色々なことにチャレンジしてきたんだろうな。
二人だからこそ、互いに高め合ってこれたに違いない。こんなライバルがいたら楽しそうだな。
その時、燈子の瞳が龍輝を真っ直ぐに見つめてきた。
「龍輝さん、一華のことよろしくお願いします」
姉御肌燈子の一華への思いが伝わってくる。
「はい。任せてください」
迷いなく頷く龍輝に、安心したように微笑んだ。
「燈子ったら……」
一華の瞳に涙が盛り上がる。
「これくらい当たり前でしょ。一華は一見できる女に見えるけど、本当は危なっかしくてしょうがないんだから。彼氏にしっかりしてもらわないと」
「あん、もう。折角感動していたのに」
泣き笑いの一華。
こんな風に言いたい放題言えるってこと自体が、本当に仲の良い証拠だなと龍輝は思ったのだった。
爽やかな風が吹き抜ける中、飲んで食べておしゃべりをして。
楽しい時間は瞬く間に過ぎていく。
最後は女性陣も一緒にマシュマロを焼いて、大いに盛り上がって終了。
みんなでワイワイ言いながら片付けて、温泉で汗を流した。
夜の帳が降りても、みんなでお酒を飲みながらの歓談タイム。
辺り一帯に設置されたテントの仄かな明かりが、まるで蛍の光のような幻想的な雰囲気を醸しだしている。
「綺麗……」
一華の呟きにみんなも静かに頷いた。
自然と寄り添い合う恋人たち。
淡い光の中で、互いの顔を見つめ合う。そろそろお開きの時間だった。
繭の中のように落ち着くテントの中。
龍輝の胸に顔を埋めながら、一華はふと三組三様の恋人たちを思う。
それぞれが、それぞれの幸せを掴んでいることが、たまらなく嬉しい。
理沙さんと五十嵐さん、燈子と蓮君。
みんな幸せそう。
龍輝が言っていた凸凹の話を思い出した。
みんな凸凹していて、だからこそピッタリの相手と出会えたら幸せ―――
みんな、出会えたんだね。
無邪気な龍輝の寝顔を心ゆくまで眺めてから、一華も幸せな眠りについた。
『S.S トリプルデート』 完
お忙しい中、ここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
これにて、完結です。
たくさんの温かい応援に励まされて、なんとか書き上げる事ができました。
感謝しております! m(_ _)m
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クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
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