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番外編

トリプルデート ④

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「なんか、壁に挟まれている気分。お前らもう少しかがもうか」
 五十嵐がいつもの憎まれ口を叩く。

 身長百七十五センチの五十嵐も、男性の中ではそこそこ高い方なのだが周りが高すぎた。
 左は百七十八センチの蓮、右は百八十二センチの龍輝となれば、両方から攻め込まれている気分になってしまう。

 火をつけて数分後、何はともあれ肉を食べたい五十嵐がクーラーボックスから牛肉パックを取り出した。

「こういうのは、豪快に焼かないと」
「あ、五十嵐さん、まだ早いですよ」
 料理慣れしている蓮が、思わずと言う感じで声をかける。

「そうか?」
「下準備をしてからがいいかと」
「どんな?」
「常温に戻して、筋キリしておくとか、味も塩コショウとか、たれに付けておくとか……」
「任せた!」

 適材適所とばかりに、五十嵐が蓮に一任する。

「肉を焼く温度は、二百二十度から二百八十度の間がいいそうです。温度計持ってくればよかったですね」
 実験気分になっているのは龍輝。
「んなもん、いちいち測らなくたってわかるだろう。手をかざしてアチッってなったら焼き始めればいいんじゃないか」

「後、三つのゾーンに分けておくといいらしいです。強火と、中火と弱火のエリア」
「野菜はじっくり焼かないと炭になっちゃいますしね」
 蓮の言葉に頷いた龍輝。網を外して炭の位置を調整し始めた。

 二人を見ながら、にんまりとする五十嵐。

 味つけ担当に火加減担当。俺は酒飲みながら、出来上がった食材を皿に盛る担当。
 うん、見事な連携プレー!

 盛り上がっている女性陣をチラリと見て、ほっと胸を撫でおろす。

 みんな楽しめているようで良かった。

 そこへ、絶妙なタイミングで振り向いた理沙と目が合った。その瞳が柔らかく五十嵐を包む。

 もう、いっつもみんなを盛り上げようと気遣っているのね。そんなたー君が好きよ。
 大丈夫。みんな楽しんでいるから、心配しないで!

 そんな言葉が聞こえたような気がして、ちょっと顔を赤らめる。と言っても、色黒だから対して肌の色には出ないけれど。
 慌ててビールをグイっと煽った。

「二人も飲みながら焼こうぜ」

 男性陣三人も、あれやこれや言いながら見事なコンビネーションを発揮して、美味しい料理の数々が生み出されたのだった。

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