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Step6 胡蝶蘭男子と約束しました
レンゲ①
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結局、私たちは繋いだ手を一度も離さなかったの。
家に帰ってくるまで。
部屋に入った途端。怜さんが私を強く抱きしめてくれる。
「花乃ちゃん、何もかも君のお陰だ。ありがとう」
「ううん。怜さんがずっと支えてくれたから、だから私怖くなかったの。落ち着いて自分の気持ちを社長に伝えられたわ」
そう言うと怜さんが、私の瞳を覗き込んできた。
「俺も、花乃ちゃんのお陰で暴れずに済んだ」
「暴れる?」
「そ、俺一人であんなカミングアウト聞いたら、きっと大暴れしていたよ。ふざけるなってね」
「怜さんが暴れる姿、想像できない」
「そうかな? これでも腕っぷしは強いほうだと思うけど」
「わわわ、喧嘩してたんですか!」
「違うよ。護身術とか武道とか。一通り習っていたってこと。一応お金持ちのボンボンだからね。誘拐とかされないようにね。だから、細くても筋肉あるだろ」
「そうだったんですね……本当に、大変でしたね」
私とはやっぱり違う世界の人だったんだ。
今更ながら驚く。
「これからは花乃ちゃんを守るためにもっと鍛えよう」
「ありがとうございます」
「ほっとしたらお腹が空いた。早く食べよう」
冷凍ピザを焼いて、今日はソファに並んで座って食べた。
ビールの泡を付けた怜さんが可愛い。
「俺、お袋に捨てられたわけでは無かったんだな」
ちょっと遠くを見つめるような目になる怜さん。でもその瞳は温かい光を帯びている。
「優しいお母さんでしたね。怜さんと同じくらい」
「そう? 似てる?」
「ええ。目元がそっくり」
「そうか……親父は今もお袋が好きみたいだな」
「お母さんも社長のこと、今も好きみたいでしたね」
「結局、一人の人をずっと好きって……俺はそんな両親の間に生まれたんだ……」
ずぶずぶっと姿勢を崩して、私の肩に頭を預けた怜さん。
「それでも一緒にいられないこともあるんだな。俺は絶対にそんなのは嫌だ。だから、絶対あきらめないって約束する。花乃ちゃんも何があってもあきらめないでくれ」
「はい。約束します」
真剣な表情で斜め下から見上げる怜さんを覗き込みながら、私はにっこり微笑んだ。
「大丈夫ですよ。私は雑草ですから。粘り強く、時にずうずうしく、怜さんの隣を確保しますよ」
「その言葉に何度励まされたことか……ありがとう」
怜さんが噛み締めるように目を瞑った。
家に帰ってくるまで。
部屋に入った途端。怜さんが私を強く抱きしめてくれる。
「花乃ちゃん、何もかも君のお陰だ。ありがとう」
「ううん。怜さんがずっと支えてくれたから、だから私怖くなかったの。落ち着いて自分の気持ちを社長に伝えられたわ」
そう言うと怜さんが、私の瞳を覗き込んできた。
「俺も、花乃ちゃんのお陰で暴れずに済んだ」
「暴れる?」
「そ、俺一人であんなカミングアウト聞いたら、きっと大暴れしていたよ。ふざけるなってね」
「怜さんが暴れる姿、想像できない」
「そうかな? これでも腕っぷしは強いほうだと思うけど」
「わわわ、喧嘩してたんですか!」
「違うよ。護身術とか武道とか。一通り習っていたってこと。一応お金持ちのボンボンだからね。誘拐とかされないようにね。だから、細くても筋肉あるだろ」
「そうだったんですね……本当に、大変でしたね」
私とはやっぱり違う世界の人だったんだ。
今更ながら驚く。
「これからは花乃ちゃんを守るためにもっと鍛えよう」
「ありがとうございます」
「ほっとしたらお腹が空いた。早く食べよう」
冷凍ピザを焼いて、今日はソファに並んで座って食べた。
ビールの泡を付けた怜さんが可愛い。
「俺、お袋に捨てられたわけでは無かったんだな」
ちょっと遠くを見つめるような目になる怜さん。でもその瞳は温かい光を帯びている。
「優しいお母さんでしたね。怜さんと同じくらい」
「そう? 似てる?」
「ええ。目元がそっくり」
「そうか……親父は今もお袋が好きみたいだな」
「お母さんも社長のこと、今も好きみたいでしたね」
「結局、一人の人をずっと好きって……俺はそんな両親の間に生まれたんだ……」
ずぶずぶっと姿勢を崩して、私の肩に頭を預けた怜さん。
「それでも一緒にいられないこともあるんだな。俺は絶対にそんなのは嫌だ。だから、絶対あきらめないって約束する。花乃ちゃんも何があってもあきらめないでくれ」
「はい。約束します」
真剣な表情で斜め下から見上げる怜さんを覗き込みながら、私はにっこり微笑んだ。
「大丈夫ですよ。私は雑草ですから。粘り強く、時にずうずうしく、怜さんの隣を確保しますよ」
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怜さんが噛み締めるように目を瞑った。
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