黒猫ふぅの徒然日記

MOKO

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さ…寒い…もう…歩けない…。

…眠いな…それに…もう、疲れちゃった…。

…このまま寝ちゃっても…いいよね…。



小さく吐いた息が、色の無い世界に溶け込んでいく、

自慢のヒゲも手足の先も冷く凍えて随分前から感覚がない。

足の裏にあった歩くたびに刺さる様な痛みも、今はない



低く立ち込めた黒い雲

舞い落ちる雪がまた、その勢いを増した。

怒塚山の奥深く迷い込んだ小さな黒猫。

しめ縄が張り巡らされた千年大樹の下で

冷たい雪の中小さな体を丸め、ゆっくり目を閉じた。


1週間前から降り始めた雪は降ったり止んだりを繰り返し

赤茶けた大地を徐々に白く染めて行き、辺り一面真っ白な世界に変えた。 

一切の汚れを覆い隠し降り続ける雪は

その小さなの身体にも容赦なく自然の猛威を叩きつける。

頼りない命の火も静かに消えようとしていた。



大きな風が吹いた。

千年大樹に降り積もった雪が、

どぉおおっと音を立て小さな黒猫の上に崩れ落ち










傾れ落ちる雪を縫う様に飛び立った影1つあった。
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