黒猫ふぅの徒然日記

MOKO

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烏に導かれるように、城の外へと歩いて行く。

静寂に包まれた闇の中

不思議な事に寝所の近くに必ず側にいるはずの爺も侍女も

城の門番や警備の者達も、いるはずの場所に居ない。

移動する間、物音一つしないければ

誰1人として見当たらなかった。

これは誠に奇っ怪な事

鬼の為す妖術の類いか…。

罠かも知れぬが、もしあの事件がその鬼の仕業というなら

刺し違えても構いはしない。

そう思い警戒しつつ烏について行った。

城の外に出るといきなり烏が大きくなり

羽を広げ屈み込み恭しくお辞儀をすれば

くるりと背を向け、その背中に乗れと促してくる。

男は誘われるまま背に乗った。


烏は背中に彼が乗ったことを確認すると

そのまますごい勢いで飛翔した。


強い風を感じ飛ばされまいとその背に必死でしがみついた。

目を開けると天守閣が小さく見える。

その高さに一瞬と怯んだが

歯を食いしばりしがみつく手に力を入れた。

あたりは静かで羽ばたく羽の音だけが響いていた。

満点の星が輝いて吸い込まれるのでは無いかと思えるほど美しい。


しばらく惚けて見入っていたが

闇夜の中さらに深い闇

黒々とそびえる怒塚山が見えてくると急下降し始めた。

背を掴む腕に力を込める。

背筋に走る悪寒、ぶるりと震える。

余りの勢い振り落とされるのでは無いかと肝を冷やし

歯が鳴りそうになるのを堪え、目を瞑った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


真っ暗な山の中

千年大樹の側にひっそりと佇む小さな祠の前にいた。

男を背から下ろされた。

大地に降り立つと安堵したせいか、足がガクガクと震える。

気づかれない様に歩こうとするが、ヨタヨタとしか歩けない。

男をチラリと見て、烏は祠の扉を開き中へと入る。

祠から首をくいっと向け、男を誘った。

しかし、その祠の扉はあまりにも小さく

男が入る事など到底できそうにない代物。

無理なのでは無いか?

入れなければそれはそれで仕方ない。

もし入れても、待っているのは鬼だ。

しかしその鬼の元に大地はいる。

恐る恐るその中へ手を伸ばした。


祠の奥から銀色の光が放たれ男を包みこんだ。

男は消え、辺りは静かな闇に包まれた。









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