黒猫ふぅの徒然日記

MOKO

文字の大きさ
17 / 20

17

しおりを挟む
ふぅは、最初、大地が怖かった。

極力大地の側に寄り付かず距離を開けていた。

人という存在は信じてはいけない…。

宵闇がそう教えてくれたのに当の本人がお世話をしている。

「おかしい…。」

ふてくされて、大地を遠くから見る。

いつ襲われるか戦々恐々と毎日ビクついていたのだが

最近では、大地に怯えていた自分が馬鹿らしく思えるくらい

大地はふぅのご機嫌をとる。

その態度は、何故か逆にイライラした。

傷の癒えた大地に天河が剣術稽古

宵闇は読み書き算術、戦術をつけた。

ふぅが様子見がてら大地の側に寄ると

ふぅに気がついた大地は「おいで!ちびちゃん。」そう声をかけてくる。

ふぅはそれが気に入らなかった。

触ろうと手を出してきた日には

思いっきり尻尾を膨らまし威嚇し走って距離を開ける。


馴れ馴れしいんだよ!

イライラする!ふんっ!

あっかんべ~。あんたなんか嫌いよ!

ぶつぶつ文句を言いながら千年大樹の上に駆け上る。





ここには来れないだろう。

逃げていったふぅを見上げ肩を落とす大地の姿をみて

勝ち誇った気分で鼻を鳴らした。

その様子に玄太が

「やれやれ、ふぅ様ご機嫌斜めですね?」

「違うよ!私はいつもご機嫌だよ!ただあの人間が嫌いなだけだよ!」


「はははっ…まぁ、ぶっちゃけ我らだって人間が好きな訳じゃあ無いんですよ。

ここだけの話なんですが…。

この千年大樹には結界が張ってあって、鬼は長らく封印されているでしょう?

その封印を解けるのは、人しか出来無い事なんです。

もし上手く行けばあの人の子が封印を解いてくれるかも知れない。

封印が解けたら、天河様や宵闇様は自由に何処へでも飛んで行けるんです。

我々の望みを叶えるために

ここは あの人の子、大地を迎えいれ、

天河様と宵闇様、二人掛かりで封印が解けるくらい鍛えているんですよ。

あの人の子は、いわば我らの駒

本来なら封印解けれたら後の事は知ったことでは無いんですが…。

利害の一致ってやつです。

あの人の子人里でも身分があるらしく、ここは恩を売っておけば

我らがいつか人里へ降りた時

美味いものの一つでもご相伴に預かれるって寸法なんです。

ほらほら機嫌なおして下さい。

ふぅ様の弟弟子って思えばいいんですよ!」

「うーん弟弟子…。響きがいいかも…。

まぁ、仲良くしてやってもいいかも知れないね。」


ふぅのご機嫌は玄太にかかればちょんの間に直る。

天河と宵闇はその様子を見ながら肩で笑った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~

絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

処理中です...