日常生活において大切な事

MOKO

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屋敷を後にする。

しばらく、のどかな道を進んで行くと
丘の上に こじんまりした鳥居がある。
その鳥居を潜ると
人が乗れるくらいの
大きな天秤があって
その前に立って
白髪のおじいさんが手を振ってくれた。

五官王さんだ。

ニコニコ笑いながら

「おぉ、よく来たね!
お疲れ様でした。
さぁさぁ、慌てなくて良いから
足元に気をつけて
こちらの天秤にゆっくり乗ってね。」

「お久しぶりです。また来ました。」

物腰が柔らかいおじいさんで
いつも穏やかだから
少しほっとする。

世間話程度に、最近は来られる方のほとんどが両極端で地獄に行く方が増えたんだとボヤいていた。

そんな事言われると自分の事が心配になってくる。
少し青ざめたが
五官王さんは笑いながら
普通にしてれば地獄に送られるなんて滅多にないですよ。

そんなに心配しなくていいからさぁ乗って乗って。

促されるまま、階段を登って天秤の片方の上に立ち
五官王さんに向かって一礼した。

この天秤は生前嘘つきをどのくらいしたかが計られる。
妄言も過ぎると重くなる。

生前どんな嘘をどれだけついたか 
そのためにどれだけの人が
どれだけ傷ついたか
計りに乗ると同時に
五官王さんの持っている鏡に
きっちり映る隅から隅まで
きっちり見られるので、

それはもう自分が忘れている記憶まで鮮明に、だからここでも結構心が痛い。



「よろしくお願いします。」



実はここの秤で次にどんな場所に
行くか大体の見当がつく
ほとんどがこの計りが示した通りに
行き場所決まるんだよなぁ。


前より少しでもマシになってくれるといいなぁ。

そう思って祈りつつ

そろりそろりと天秤の上に乗る。

ぐわんぐわんと音がして
天秤が揺れた。

天秤の片方には
重りが付いていて罪の重さを測られる。
罪の重さで次の行き先が決まる。
脇に抱えた
ファイルの重さが意外足を引っ張る。

行き先を示す決められた線

赤い線の第3界よりは下になるといいなぁ。

今回はどこに行くんだろ

地獄界
餓鬼界
畜生界

ここまでが赤い線の上
罪が重いとここまで線が振り切ってしまう。

修羅界
人界
天界


まぁ最終審判は次の閻魔王さんの
判断なるんだけど
ここで大きく分かれ道が決まるんだよなぁ。

そんな事を考えてる間に
天秤の、揺れが静かになった。
恐る恐る目を開ける。

針は静かに人界を指した。

あぁ、まだ天界まではほど遠いなぁ。

「まぁよかったじゃないですか
昨今では人界にも行けない方も、少なくありませんからね。

これからまた向上出来るんです。
後はしっかり
閻魔さんに審判を受けてください。」

天秤が止まった目の前に扉があり、
五官王さんに

ありがとうございます。
次も頑張ります。


そう一礼して目の前の扉を開け
奥へと進んだ。






ここから先の道は審判
閻魔堂へと続くんだ。











五官王ごかんおう
普賢菩薩の化身
生前五官
眼.耳.鼻.舌.身にまつわる悪行を
五官王が持っている秤で計られる。
死後28日に出会う。


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