猫屋敷先輩の怪奇奇譚

MOKO

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自転車でなら5分もかからないけど
歩いてだと20分位かかる。

その間に昨日何があったのか、僕は吉田に詳しく話した。

未だに信じられない顔をしている。

話終える頃に例の蛇神さんの神社に着いた。



見た目は確かにボロいけど、まだ何とかならないわけじゃないか?


鳥居の横に麦わら帽子にトレーナーを着た
優しそうなおじいさんと、ガタイのいい茶髪のお兄ちゃんが立っていて
2人してニコニコしながら手を振っている。

「要ちゃんおはよう!」

「よう、今日はよろしく!」

「おはようございます!こちらこそ
今日はよろしくお願いします。

それから、紹介します。
こちらが吉田くん。
そしてこちらが河野くんです。」




「おはようございます。吉田です。よろしくお願いします。」

「おはようございます。河野です。」




「そうですか!そうですか!
君たちが例の
吉田くんに河野くん!
それはそれは
大変ですね!ははは

私は寄島と言います。よろしくお願いします。」

吉田と顔を見合わせて

会釈をする。

優しそうなおじいさんだけれども、含みのある言い方だ。


例のってなんだ。

気になるけど聞かない方がいい気がするので
スルーしとこう。

「おう、俺 西山!
君ら要の弟分だろ
兄貴って呼んでもいい!
よろしく!」

茶髪のお兄ちゃんは
見た目やんちゃな雰囲気だけど

八重歯が可愛くて
人好きするような笑顔を見せてくれた。

でも兄貴とはさすがに言えない。


「じゃあ早速始めましょうか!(るか!)」

2人の言葉が被った。


猫屋敷先輩は頷き
みんな、社殿の中に進んだ。

何となく後ろからおっかなびっくり
着いくと
社殿の奥には既に
酒やら米やらのお供物か
白い布の上にあった。

おじいさんは麦わら帽子を脱いで
上着とズボン脱いだらあら不思議
早着替えで宮司姿に早変わりした。

なんか、昨日の事といい
先輩は霊能力者なんだろうなとは思ってたけど
将来きっと
神職か宗教的な
仕事に着くのかなぁなんてちょっと思った。

それにしても、
この暑いのに中に着込むなんて
おじいさんは只者じゃない。
人って見かけじゃ分からない。
僕はこの短期間で学んだ気がする。


社殿の中は、奥には
お供物、その前に座布団が3枚あった。

「吉田くんと河野くん、この前座ってね。西山くんは道具置いて
隣に座って。」

そこから西山さんが
テキパキと道具を運んで来た。

「じゃあ、僕はこれから周りを片付けてきます。」

そう言うと猫屋敷先輩は1人外に出て行ってしまった。

残された3人が座布団に座ると

「じゃあ、始めますね。
よろしくお願いします。」

丁寧に頭を下げられた。


寄島のおじいさんは祓詞を上げた。


すると
吉田の身体が光出した。
吉田の身体からまた鱗まみれになって
ゆっくり鱗の色が綺麗な色に変わり
奥にある祭壇の上に置いてあった
昨日の蛇の絵の中に吸い込まれて

昨日と同じだ。

おじいさんも、西山さんも
さも当たり前のように驚きもしなかった事に逆に驚いた。

一通り祓詞が終わった。

僕と吉田はあまりの事に言葉も出なかった。

今度こそ終わったのかな?

寄島のおじいさんが振り向くと


「あれ?おかしいなぁ。手応えないんだけど
なんか、要ちゃんわかる?」


僕のすぐ後ろに猫屋敷先輩がいた。

相変わらず気配がなかったから
驚いて思わず声を上げそうになったわ。


「ええ、おそらく…。」

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