ハーレム相撲部~女4人に男1人。おまけにかわいい守護霊も憑いてきて、一体何がどうしてこうなった?~

Ring_chatot

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第4章:人の痛み

29話:子供たちの避難

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「はい、すみません……お世話になります。はい、ありがとうございます、本宮先輩」
 妹を落ち着かせ、荷物の整理をさせている間に真由美は裕也のスマートフォンを借りて明日香へ連絡を入れる。結局、あなたの家にお世話になることになりそうだと告げると、明日香は何があったのかも聞く前に『大変だったのね』と真由美をねぎらった。
「ま、話はあとで聞くから、とりあえずは今日はうちに来てゆっくり休みなさい。疲れてるでしょ?」
「えぇ、まぁ……別に体は疲れてないんですが、その、何も考えたくないです」
 真由美は歯切れの悪い言葉で明日香の言葉を肯定する。
「荷物は俺も持つから、必要なもんは全部持って行って大丈夫だ。学生かばんもリュックサックも、総動員してかまわない」
「いいんですか?」
「相撲部舐めるなって。力仕事なら得意なんだから……とりあえず真由美さん、お疲れ……その、こんな状況特殊過ぎてなんて声を掛ければいいかわからないけれど……今じゃなくてもいいから、いつかは元気をだそうな」
「はい。いろいろありがとうございます」
 裕也に返事をした真由美は大きくため息をつくと荷物をまとめ始めた。やはりお礼を言われるのはいい気分なのだけれど、母親があの調子ではまだ安心できない。お礼を喜ぶ気分にはなれなかった。
 どこか上の空の表情で荷物をまとめる真由美をよそに、母親は救急車を呼んで父親を病院へと連れて行ったようだ。刺し傷をどう言い訳するのか見ものだが、この期に及んで離婚や別居を考えないという選択肢などありえないというのは、今日のやり取りで十分に理解できたはずだ。
 今まで後回しにして見ない振りをしてきた出来事を清算してもらわねばなるまい。

 その日のうちに、真由美は妹を連れて明日香の家へと転がり込むことになった。裕也は大量の荷物持ちを申し出て、真由美を明日香の家に送り届けると、役目は終えたとばかりに自宅へとかえっていった。結局、ナイフを扱うトレーニング自体は役に立つことはなかった。明日香が教えたナイフの扱い方は、手を狙うことだ。太ももを狙えなどとは指示していない。人とはいえ、を傷つけるためではなく、守るためにナイフを使えという明日香の教えに反しているわけではないので、叱る必要はなさそうだ。
 明日香としては下手すれば警察沙汰になりかねない傷を負わせたことに関しては複雑な気分であったが、毅然と立ち向かうだけの度胸がついたという知らせでもあるため、そこは素直にうれしく思う。
「いやいや男子、三日会わざれば刮目して見よなんて言葉はあるけれど……すごいね、真由美さん。貴方強くなったわ。妹さんも守れたのね」
 明日香は真由美の行動をそう称える。疲れた彼女に説教は出来ない、明日香は真由美にできるだけ優しく接した。
「はい。ありがとうございます……なんだか、信じられません。何時も殴ってきたあのクソ親父に、私も一矢報いることが出来たんだって思うと……ナイフというのはあんまり良くないとは思いますけれど、やればできるんだなって……色々心配事はありますけれど、今はとにかくいいことだけを考えていきたいです……じゃないと、由香利に心配させそうで」
「それがいいわ。子供に不安は毒だから」
 真由美は明日香に褒められそう返す。謙遜するでもなくおごるでもなく率直な感想を述べると、明日香は微笑みを返した。
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