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第19章:母親
14話:誰かが
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「あの!」
魂が抜けたように足を引き摺って歩く優菜に追いつき、真由美は声をかけた。優菜は無言で振り向き、額にしわを寄せる。
「……私は、裕也さんから聞いた話でしかあなたを知りませんが、あなたが否定しないということは、本当なんだろうと思っています」
「だから何よ? あんたも私を笑いに来たの!?」
「違います! 誰にも愛されないとか、そんなの……そんなの、きっと勘違いですって、伝えたかったんです!」
「はぁ? あんただって、恵まれてるんでしょ? みんなで仲良くしちゃって、自慢でもしてるわけ? 仲間がいて幸せそうで……私なんかと大違いで……」
やはり、悲しそうな顔をしている。怒りの顔とか、そういうのだったらまだ見過ごすことも出来たのだろうけれど、悲しい顔をしている者を、今の真由美は放っておけない。
「そりゃそうですよ! 確かに私は恵まれてる。ロクでもない親の元に生まれていたけれど、あなたの息子さん……裕也先輩に助けてもらって、それから彼を慕うようになって、裕也さんや……あそこに一緒にいた、明日香先輩と一緒に行動するうちに仲間になれた。友達になれたんです!
あなただって! 人助けをしたり、何かの集まりに飛び込んでみれば、仲のいい人が出来るかもしれないし、愛し合えたり心を許しあえる存在が出来るかもしれない……難しいとは思いますけれど、もう息子のことは諦めて、他のところに飛び込んでみてください。愛される権利は誰にだってあるんですから……」
「もういい!」
「うぅ……」
大声で制され、怒らせてしまったかと思った真由美は委縮する。
「……わかってるよ。私が誰からも愛されないのは自分のせいなんだって。でも、わかってても無理なんだ。どうやったら誰かと仲良くなれるかなんて全然わからないんだ」
「そこは、あれです。いっそ、カウンセリングでも受けてみるとか……なんか、なんらかの手段はあるはずです! でも、ほら、いつも笑顔でいて、ちゃんと挨拶をして、何かあったときは手伝いをしたりとか……そういうことしていれば、自然と仲のいい人も出来ると思いますし、その……」
今まで目をそらしていた優菜が真由美と目が合う。
「まだガキの癖に、私に説教みたいなことしちゃってさ。そんなに簡単に人間が変われたら苦労なんてしないでしょ」
「でも、私は変われましたから……なんか、きっかけでも作りましょう。きっと、出来ます」
優菜と目が合って一瞬動揺した真由美だが、今は笑顔でまっすぐと見つめ返して言い返す。
「くだらない……」
そんなに簡単に人が変われるのならば、自分はもっと簡単に幸せになっている。真由美に力強い言葉をかけられても、優菜は結論を変えなかった。
「帰る」
消え入りそうな声でそう言って、優菜は木村組の下っ端に声をかけ、木村組が管理する風俗嬢たちのシェアハウスへと帰っていく。静かに涙を流したまま、会話もなく。真由美はその車が見えなくなるまで立ち尽くして見送ったが、結局何も変わらなかったとため息をついて社務所へと戻ろうとする。
魂が抜けたように足を引き摺って歩く優菜に追いつき、真由美は声をかけた。優菜は無言で振り向き、額にしわを寄せる。
「……私は、裕也さんから聞いた話でしかあなたを知りませんが、あなたが否定しないということは、本当なんだろうと思っています」
「だから何よ? あんたも私を笑いに来たの!?」
「違います! 誰にも愛されないとか、そんなの……そんなの、きっと勘違いですって、伝えたかったんです!」
「はぁ? あんただって、恵まれてるんでしょ? みんなで仲良くしちゃって、自慢でもしてるわけ? 仲間がいて幸せそうで……私なんかと大違いで……」
やはり、悲しそうな顔をしている。怒りの顔とか、そういうのだったらまだ見過ごすことも出来たのだろうけれど、悲しい顔をしている者を、今の真由美は放っておけない。
「そりゃそうですよ! 確かに私は恵まれてる。ロクでもない親の元に生まれていたけれど、あなたの息子さん……裕也先輩に助けてもらって、それから彼を慕うようになって、裕也さんや……あそこに一緒にいた、明日香先輩と一緒に行動するうちに仲間になれた。友達になれたんです!
あなただって! 人助けをしたり、何かの集まりに飛び込んでみれば、仲のいい人が出来るかもしれないし、愛し合えたり心を許しあえる存在が出来るかもしれない……難しいとは思いますけれど、もう息子のことは諦めて、他のところに飛び込んでみてください。愛される権利は誰にだってあるんですから……」
「もういい!」
「うぅ……」
大声で制され、怒らせてしまったかと思った真由美は委縮する。
「……わかってるよ。私が誰からも愛されないのは自分のせいなんだって。でも、わかってても無理なんだ。どうやったら誰かと仲良くなれるかなんて全然わからないんだ」
「そこは、あれです。いっそ、カウンセリングでも受けてみるとか……なんか、なんらかの手段はあるはずです! でも、ほら、いつも笑顔でいて、ちゃんと挨拶をして、何かあったときは手伝いをしたりとか……そういうことしていれば、自然と仲のいい人も出来ると思いますし、その……」
今まで目をそらしていた優菜が真由美と目が合う。
「まだガキの癖に、私に説教みたいなことしちゃってさ。そんなに簡単に人間が変われたら苦労なんてしないでしょ」
「でも、私は変われましたから……なんか、きっかけでも作りましょう。きっと、出来ます」
優菜と目が合って一瞬動揺した真由美だが、今は笑顔でまっすぐと見つめ返して言い返す。
「くだらない……」
そんなに簡単に人が変われるのならば、自分はもっと簡単に幸せになっている。真由美に力強い言葉をかけられても、優菜は結論を変えなかった。
「帰る」
消え入りそうな声でそう言って、優菜は木村組の下っ端に声をかけ、木村組が管理する風俗嬢たちのシェアハウスへと帰っていく。静かに涙を流したまま、会話もなく。真由美はその車が見えなくなるまで立ち尽くして見送ったが、結局何も変わらなかったとため息をついて社務所へと戻ろうとする。
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