「「中身が入れ替わったので人生つまらないと言った事、前言撤回致しますわ!」」

桜庵

文字の大きさ
52 / 170
~カノンの生活編~

~カノン誘拐事件(前編)~

しおりを挟む
アイリス達とのお茶会から数日後。
砂糖とチョコレートの販売に関する書類が完成し、父のオリヴァーに確認を取ったところ問題ないと言われたので、あとはアザレアの市長であるハンプスに確認を取り、ハンコをもらうだけだ。
そうして出かける準備が整ったカノンは必要なものを持ち護衛を付けてアザレアへと向かう。
今日は正式な話を持ち込むためいつもの軽装ではなくフリルがいくつもついた令嬢らしい淡いピンク色のドレスを身にまとっている。

アザレアに着いたカノンは護衛に一度帰ってもらいまた夕方来るように伝え、ハンプスのもとを訪ねた。

最近は侯爵家や王宮と北の農園地やアザレアの街の復興に関する報告等をしている為農園の視察や書類作成で忙しい様子のハンプス。
ちょうど書類に目を通していたハンプスにカノンは声を掛ける。
「ごきげんようハンプスさん、お忙しい中失礼しますわ。お砂糖とチョコレートの販売に関する書類が出来ましたので確認したのちにハンコを頂けないでしょうか。」
「こんにちは、カノン様。職がない時に比べたらこのような忙しさは大変嬉しい限りです。侯爵家の方々や街の皆のおかげで少しずつですが『街』として機能し始めております。お持ち頂いた書類の方もすぐに確認させて頂きます。」
カノンから書類を受け取ったハンプスはすぐに目を通し始めた。
「申し分ないです。このような価格で設定していただきありがとうございます。益々街の皆に活気が戻る事でしょう。」
「今はまだお砂糖とチョコレートの需要と供給が割に合っていないのでこの価格ですが、安定した頃また価格の見直しを考えています。」
「はい、十分でございます。何から何まで本当にありがとうございます。」
ハンプスが書類の確認を終わり街の控え用と侯爵家の控え用にハンコを押した。

これから本格的に貴族優先で砂糖とチョコレートの販売をしていく事をハンプスと打ち合わせをする。
この打ち合わせの後にアザレアの人達何人かを集めお菓子指導の予定をたてている。
アザレアの大通りであるマラカイト通りにお菓子のお店を開くためだ。
「今日の打ち合わせはここまでにしましょう。大方決まりましたので侯爵家の方から各貴族へ通達を出しておきますわ。貴族の方々からきた予約の対応はお任せいたします。何か困った事や相談事がありましたら遠慮なく仰ってくださいね。」
「お疲れ様でございました。通達の方、よろしくお願い致します。対応の方等もお任せくださいませ。お気遣い頂きありがとうございます。」

「それからハンプスさん、お仕事とは関係ないのですが、新居やここの役場はどうですか?不便はないですか?」
「家も職場も快適でございますよ。これ以上贅沢を言うのは罰が当たるくらいの快適さでございます。カノン様は当初から本当に我々を気遣ってくださる。ですから我々も頑張って前を向いていけるのです。」
「不便がなくて何よりです。わたくしも頑張りますわね。」
復興の一環でハンプスの家も建て替えが終わり建築家のウッドの提案で役場も作ったのだ。
カノンの父であるオリヴァーの伝手で街の人達に文字の読み書きや計算ができるように指導をしてこの役場ですでに雇用が始まっている。今はまだ数十人と少ないがこれからも雇用人数を増やしていくつもりだ。
今は学校の建設も始まっており大人から子どもまで通えるようにしていく予定をたてている。

ハンプスと世間話を交えながら笑い合っていると、お菓子の指導の時間が来たのでハンプスに挨拶し場所を移すカノン。

――マラカイト通り。
お菓子のお店として予定している店舗に雇用希望者が数人集まりカノンがお菓子の指導を始める。
売り物にする簡単なお菓子を6種類ほど教え、お菓子の飾りつけやラッピング方法も教えた。

少しずつ、だが確実に街全体が機能していくように皆が各々動き始めている。

そうして指導していたらいつの間にか日が落ち始めており護衛達との待ち合わせ時間を過ぎてしまっている。
指導をキリの良いところで終え皆に挨拶し別れたカノンは、急いで護衛と待ち合わせしている場所まで行く。
来ているはずの護衛が見当たらないので少し待ったがいっこうに来る気配がない。
護衛はまだ来ておらず侯爵家に向かう道を歩いていれば合流できるだろうと思い、待ち合わせ場所から離れ歩き出すカノン。

その判断が間違っていた。

護衛はすでに来ていたが、カノンの姿が見えないので街の人達に聞き込みをして役場やマラカイト通りに行っており、待ち合わせ場所まで戻ってきたが入れ違いになった。


合流を考え歩いていたカノンだが、いつのまにか今後のアザレアの事を考えながら歩いていた為、気づかぬうちにアザレアの街境界まで来ていた。
ここは人通りが少ない。影の者からしたら格好の場だ。

ずっとカノンが一人になるのを狙っていた何者かが物陰から飛び出し、背後から強めの薬を含ませた布を鼻と口に当てられ眠らされたのち闇の中へ連れ去られた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

処理中です...