オレンジ色の世界に閉じ込められたわたしの笑顔と恐怖

なかじまあゆこ

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恐怖の同窓会の始まり

部屋

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「部屋は早いもの順でいいよね。ぴったり八部屋あるんだよ。他に来るのは久野くの君、沙和さわちゃん、真夜まよちゃんにそれから多香子たかこちゃんだよ」

  美奈がそう言ってわたし達の顔を順番に見た。

「うん、それでいいよ」とわたし達三人は答えた。

  わたしは返事をしながら同窓会参加者の顔をちらりと思い浮かべた。

  その中で真夜ちゃんとは仲良くしていた。切れ長の目が爽やかなクールビューティーな美少女だった。わたしと真由香、それから美奈とはちょっとタイプが違った。

  そんなことを考えながらわたしは、長い木目調の廊下を歩いた。

  リビングは日差しが差し込み明るかったけれど廊下は少し薄暗く感じ、何となく薄気味悪いなと思った。

  部屋はじゃんけんで選ぶことになった。

  わたしはじゃんけんで勝ち一番奥の角部屋を選んだ。

「じゃあ、他のみんなも来たら呼ぶね。ごゆっくり~」

  美奈はわたし達に部屋の鍵を渡しリビングに戻った。わたしは美奈の後ろ姿をぼんやりと眺めた。ツインテールの髪が左右に揺れた。


  
  鍵を開けて部屋に入る。部屋の中は木製のテーブル、ベッド、テレビ、小型の冷蔵庫が置かれているだけでシンプルだった。

  テレビの側にボストンバッグを置き窓の外を見た。

  窓からは綺麗な湖と小高い山々が見えとても綺麗な眺めだった。

「わぁ~綺麗」と思わず感嘆な声が出た。

  先程、嫌な胸騒ぎがしたけれど、気のせいだったのかもしれない。きっと、そうだと思いながら窓の外の景色に目をやる。

  太陽の光が湖の水面に反射してキラキラ輝く宝石のように見えて癒された。わたしはしばらくの間窓の外の景色を眺めた。

  そして、ゆっくりしようかなと思いながらテーブルに近づき座ろうとしたその時、テーブルの下に落ちている物に気がつき息が止まりそうになった。

  だって、テーブルの下にオレンジ色の提灯キーホルダーが落ちていたのだから。

「……どうしてこんな物が落ちているの?」

  わたしは、オレンジ色の提灯キーホルダーを手の平にのせじっと眺めた。

  オレンジ色の提灯キーホルダー自体は丸くて可愛らしいのだけど、あの血が滴り落ちる夢を思い出しゾクゾクした。


  なんだか気持ち悪いと思いわたしはオレンジ色の提灯キーホルダーを投げ捨てた。

  床の上にころんと転がり落ちているオレンジ色の提灯キーホルダーが視界に入り不気味で気持ち悪くてたまらない。

  わたし達が宿泊する前にこの部屋に泊まった人の忘れ物なのだろか?

  きっと、そうだと思うのだけど、でもどうしてよりによって偶然落ちている物がオレンジ色の提灯なのかなと考えると不気味だ。

  オレンジ色の提灯キーホルダーが落ちているだけなのにわたしの心臓はドキドキドキドキドキンドキンと早鐘を打つ。

  まさか、オレンジ色の提灯に追いかけられているなんてことはないよね。

  わたしは頭をぶんぶん横に振った。けれど、オレンジ色の提灯キーホルダーが視界に入りゾクッとした。


  見たくない、オレンジ色の提灯なんて見たくない。わたしはオレンジ色の提灯キーホルダーから目を逸らした。

  それなのに頭の中から離れないオレンジ色の提灯が……。

  コテージのこの部屋の中に落ちているオレンジ色の提灯キーホルダー、真由香が持っていた定食屋のチラシのオレンジ色の提灯とオレンジ色の暖簾……。

  それに……。

  わたしがオレンジ色の提灯の恐怖に震えていたその時、

「亜沙美ちゃん、真由香ちゃん、松木君~みんなが来たよ~」と美奈の声が聞こえてきた。

  リビングに行くと八人掛けのダイニングテーブルに久野君、真夜、沙和にそれから多香子が並んで座っていた。

  久しぶりに会ったみんなは少し大人になっていた。

  わたしは、みんなに挨拶をして真夜の前の席に腰を下ろした。

「亜沙美ちゃん久しぶりだね。元気だった?」と真夜が微笑みを浮かべわたしの顔を見る。

「うん、元気だよ~真夜ちゃんも元気だった?」

「うん、めちゃくちゃ元気だよ~会うのは成人式以来だね」

  と話していると、真由香と松木がリビングにやって来た。
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