オレンジ色の世界に閉じ込められたわたしの笑顔と恐怖

なかじまあゆこ

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泊まりがけの同窓会とオレンジ色

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  翌朝、目を覚ますと寝汗をかいていた。昨夜はいつの間にか眠っていたようだ。

  木製のテーブルに恐る恐る視線を向けるとやはりそこにオレンジ色の提灯キーホルダーが置かれていた。

  わたしは、オレンジ色の提灯キーホルダーから目を逸らし服に着替える。

  リビングに行くとテーブルにポトフ、目玉焼き、ウインナー、サラダ、ヨーグルト、パンにホットサンドが並べられていた。

  美味しそうな朝食だ。

「亜沙美ちゃん、おはよう~」

  美奈がキッチンから出てきて朝の挨拶をした。美奈のヘアスタイルは今日もツインテールだった。

「美奈ちゃん、おはよう」

「ホットサンドだけわたしが作ったんだよ」

  美奈はニコニコと微笑みを浮かべた。

「美奈ちゃんが朝から一人で作ったの?」

「うん、わたしがこの同窓会を提案したからね」

  美奈は楽しそうにうふふと微笑みを浮かべた。



  わたしが椅子に腰を下ろしたのとほぼ同時に「おはよう~おっ、美味しそうだね」と言いながら松木がリビングに入ってきた。

「松木おはよう」、「松木君おはよう~」とわたしと美奈が挨拶をする。

「ホットサンドだけわたしが作ったんだよ」

「おっ、そうなんだ。美味しそうだね」

  なんて話していると、同窓会のメンバーが続々とやって来た。

  みんなが揃い昨夜と同じ席に着いた。

「いただきま~す」と美奈が手を合わせそれに続きわたし達も「いただきま~す」と手を合わせ朝食が始まった。

  具沢山なポトフはじゃがいもがホクホクしていて体がぽかぽか温まる。美奈が作ってくれたホットサンドも熱々でたっぷりのチーズがとろーりと溢れだしとても美味しかった。

  みんなで食べる朝食は楽しくて美味しくて幸せな気分になった。

  それにみんなの笑顔を見ていると元気になったのだけど、この中の誰かがわたしの部屋に勝手に入りあのオレンジ色の提灯キーホルダーをテーブルの上に置いたのかもしれないと考えると嫌な気持ちになった。

  笑顔の裏に隠された黒い心を想像してしまう。そんなはずはないと思いたいのに考えてしまう自分のことも嫌になる。

「おい、亜沙美怖い顔してどうしたんだ?」

「えっ?」

「えっ?  じゃないよ。スプーンからぽたぽたポトフの汁がこぼれているぞ!」

  松木が呆れたような顔つきでわたしを見ている。

「あっ!」

  手元に目を落とすとスプーンからぽたぽたと松木の言うようにポトフの汁がこぼれていた。わたしは、スプーンを持ったまま考え事をしていたのだ。

「あはは、ぼーっとしちゃっていたよ」

  わたしは、笑ってごまかしスプーンを口に運んだ。

「ふふっ、亜沙美ちゃんらしいね。高校生の頃もぼーっとしていたよね」

  美奈がこちらを見て笑った。

「そうだったかな?」

「亜沙美ちゃんはぼーっとした子だったよ。今も変わらないよ」

  右隣に座る真由香がわたしの顔に視線を向け笑った。

「へぇ~亜沙美ちゃんは今も変わらないんだ」

  真夜も口元に手を当ててクスクス笑う。

「近況報告の時もぼーっとしていたもんな」と言って久野君も笑った。

  すると、他のみんなもわたしを見てどっと笑った。

  またまたみんなに笑われて恥ずかしい。穴でも掘って隠れたいよ。

  わたしは、頭をぽりぽり掻きながら「えへへ」と作り笑いを浮かべてみせる。

  それとみんなのことを疑った自分が恥ずかしい。そうは思うもののみんなのこの笑顔の裏にやはり何かが隠されているのかなとも考えてしまう。
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