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同窓会参加者の近況報告
小説のタイトルと同窓会の幕開け
しおりを挟むわたしの小説のタイトルは『オレンジ色の夕日とわたしの青春』なのだ。
表紙はオレンジ色の夕日とツインテールの女の子の後ろ姿だった。とても美しい夕日がちょっと切なくてツインテールの女の子の後ろ姿が可愛らしいお気に入りの表紙だったのに……。
あのオレンジ色の提灯の夢を見るようになってから好きではなくなった。夕日とオレンジ色の提灯は全く別物なのにだ。
「ねえ、亜沙美ちゃん、どうしたの?」
「あ、真夜ちゃん……ううん、なんでもないよ」
わたしは無理に笑ってみせた。
それから、何気なく視線を美奈に向けるとツインテール姿の美奈がそこにいた。わたしの小説の表紙の女の子の後ろ姿と美奈のツインテールが重なって見えた。
オレンジ色の夕日とツインテールの女の子……。美奈とツインテールの女の子の後ろ姿が……。
オレンジ色の美しい夕日とツインテールの女の子の後ろ姿。そして、オレンジ色の提灯が頭の中に浮かんでくる。
オレンジ色の提灯がなんだか怖い。
「亜沙美ちゃん顔色が悪いよ。大丈夫?」
その声に顔を上げるといつの間にか美奈がわたしの目の前に立っていて心配そうにわたしの顔を覗き込んでいた。
その美奈の顔はとても可愛らしくて懐かしくて高校時代にタイムスリップした感覚に陥った。
「亜沙美ちゃん、ちょっと大丈夫?」
そう言った美奈は眉間に皺を寄せわたしの顔をじっと見る。
「あ、うん、大丈夫だよ……」
「亜沙美ちゃん本当に大丈夫? もし具合が悪いんだったら部屋で休んだほうがいいよ」
「うん、大丈夫だよ。ごめんね、ぼーっとしてただけだよ。近況報告の続きをしてね」
わたしは精一杯の笑顔を浮かべた。
「そう、だったらいいんだけど無理はしないでね」
美奈はそう言って席に戻った。
近況報告は再開され次は佐和の番だ。
「久島佐和です。みなさん、久しぶりです。高校時代はわたしにとって楽しい時代でした。なので今回同窓会に参加しました。今はアパレルの販売員をしています。よろしくお願いします」
佐和はにっこりと微笑み席に座る。
その微笑みは華やかであか抜けていてアパレルの販売員らしいなと思った。ふわりとしたワンピースもとても可愛らしくて佐和に似合っている。
次は、真由香の番だ。
「みなさ~ん、こんばんは、久しぶりです。桃川真由香です。同窓会で楽しいことがあったらいいなと思い参加しました。企画してくれた美奈ちゃんありがとう。
今はコールセンターでオペレーターとして働いています。亜沙美ちゃんと同じ職場です。みんな同窓会を楽しみましょう。よろしくお願いしま~す」
真由香は明るく元気よく挨拶をした。真由香らしいなと思い微笑ましい気持ちになった。
先ほどまでの不安な気持ちや恐怖もほんの少し和らいだ。
次は、多香子の番だ。
「こんばんは。久しぶりです。浜西多香子です。みなさんに久しぶりに会うことができて嬉しいです。今は都内で事務の仕事をしています。よろしくお願いします」
多香子はぺこりとお辞儀をして着席した。多香子の艶やかな黒髪のロングストレートヘアが印象的だ。確か高校時代もこのヘアスタイルで大人しい女の子だったはずだ。
夕食のお寿司も天ぷらも美味しかった。そして、みんなと久しぶりに話ができて楽しかった。
それから各々の部屋に戻った。わたしは部屋のドアを開けて中に入り電気をつける。
その時はオレンジ色の提灯キーホルダーのことなんてすっかり忘れていたのだけど。
部屋の中に明かりが灯ると木製のテーブルの上にオレンジ色の提灯キーホルダーが置かれていることに気がついた。
「どうしてテーブルの上にあるの!?」
だって、オレンジ色の提灯キーホルダーは床に投げ捨て放置した状態だったはずなのに。
どうしてテーブルの上にあるの? ねえ、どうして? わたしは、テーブルの上にあるオレンジ色の提灯キーホルダーに恐れ慄く。
ひとりでにオレンジ色の提灯キーホルダーが動いたのだろうか?
いや、そんなはずはないとわたしは冷静に考える。誰かがこの部屋に入ってきてオレンジ色の提灯キーホルダーをテーブルに置いた。
それはそれでなんだか恐ろしく感じた。
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