オレンジ色の世界に閉じ込められたわたしの笑顔と恐怖

オレンジ色の世界と恐怖

真由香と美奈

「だって、美奈ちゃんは笑顔でいつも幸せそうだったから。なんかちょっとずるいなと思ったのよ。だから大好きだけど大嫌いだったんだよ」

  わたしはいつもと違う真由香にびっくりした。

「真由香ちゃんも幸せになる努力をすると良かったのにね。何もしないでわたしを恨むなんて信じられないよ」

「わたしだって努力をしたよ。なのになんでも少しだけ美奈ちゃんの方が優秀だったからわたし許せなかったのよ。学力も外見も親も何もかも全部……！」

  真由香はそう言って美奈を睨んだ。

「だからわたしを殺したのかな？　信じられないよ」

「わたし美奈ちゃんを殺していないよ。ちょっと悪戯しただけだよ」

「悪戯って崖の上からわたしを突き落とすことなのかな？」

  美奈の声はいつもより低い声になっている。

「うん、殺すつもりなんてなかった。美奈ちゃんとわたしは同じ日に同じ病院で生まれたよね。だから取り違えられたのかなと思ったんだよ。わたしの親が美奈ちゃんの両親だったらなと何回も思ったんだからね」

「そっか、だったら仕方がないねって思えるわけないよーーーーーーー！！」

  美奈が叫ぶとツインテールの髪が激しく左右に揺れた。

「わたし美奈ちゃんを軽く押しただけだよ。勝手に崖の上から落っこちたんじゃないかな？」

  真由香はそう言って可笑しそうに笑った。わたしの知っている真由香じゃない。ここにいるのは狂った化け物のように見える。

「信じられないことを言うわね！  許せない」

  美奈の可愛らしい表情がまるで鬼のような形相に変わった。