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俺は猫人間になりました
地球の俺は疲れていた
しおりを挟むこの世界の空気はなぜだかわからないけれど心地よく感じる。
俺が座っているこのソファももふもふの尻尾は邪魔ではあるけれど、ソファの座面が広くて柔らかい質感で座り心地がよくてゆったり寛げる。
地球での俺はアポイントを取る営業電話の仕事に派遣社員として就いていた。俺は毎日朝から夜まで電話をかけまくった。
役職社員の奴らは派遣社員の俺達や新人社員の後ろをうろうろ歩き「早くアポイントを取れよ」、「電話代が勿体ないんだよ」、「クズ野郎」などと罵声を浴びせる。
俺はあんな会社は一秒でも早く辞めたかったけれど就職に失敗した俺は時給が高めのあの会社にしがみついていた。
そして、電話をかけてかけまくり俺はそれなりに仕事もできると自負していた。
それなのにある日社員の奴に仕事を横取りされた。俺はそれを上司に訴えたのだけど、「まあまあ良いじゃないか神本君」と言って上司は笑った。
派遣社員なんか頑張っても仕方がないということに俺は気がついた。悔しくてたまらなかったけれどどうすることもできなかった。
早くこんな会社を辞めてやると思いながらも毎日会社に向かっていた。満員電車ゆらゆら揺られ辛くて俺はクタクタになりあの貧神の居た神社に迷い込んだのだった。
沖縄でもどこでもいいからゆっくりと寛ぎたいと俺は強く祈った。
そして、俺は今このもふ楽園になぜかいるのだ。
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