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墓地で肝試しと悪魔の囁き
声の主
しおりを挟む『史砂、史砂、見つけたぞ! 逃がさないぞ』
この声は頭の中で『逃がさないぞ』と恐ろしくてズトーンと低くてけれどよく通るそんな声がわたしを追いかけてきた。
この声はそうだ、悪魔の囁き声。
わたしを追いつめるこの声は、あの低くてよく通る声の主だ。
どうしよう、どうしよう、どうしたらいいの? わたしは、どうしたらいいのよ。
『史砂、お前の友達はすぐ側にいるな』
声の主は、ゆかりや真由が側にいると分かっているんだ。何処でわたし達を見ているのだろうか。
「いないよ、わたし一人です」
とわたしは答えた。
「ちょっと、どうしたの? 史砂ちゃん、わたしは一人ですって何?」
気がつくと、わたしの肩に手を置き、ゆかりが心配そうにわたしの顔を見つめていた。
ゆかりには、もしかするとあの声が聞こえていないのかな。
『さあ、史砂、正直に答えろ』声の主は低くてよく通る声で言った。
「どうしたの、顔色が悪いよ」とゆかり。
「何か心配事でもあるの?」と真由。
声の主の声とゆかりや真由の声が、交互に聞こえてくる。頭がおかしくなりそうだ。
『史砂、その友達をわたしに寄越しなさい』
嫌だ、わたしには、やっぱり出来ない。小さな頃から、ずっとずっと一緒にいた二人を売ることなんて無理なのだから。
『どうした、史砂。悪魔になりますと宣言したじゃないか、あの言葉は嘘だったのかな?』
「ま、間違えました。間違えて、悪魔になるなんて言ってしまいました」
わたしの声はきっと震えているだろう。
と、その時……。
風が強く強く吹き荒れて、わたしは、猛烈な風の中にいた。
目を開けているのも辛いほどの強烈な風が吹く。びゅーと風が吹き砂ぼこりが舞う。
まるで、嵐の中にいるようだ。
ぎゅっと、強くまぶたを閉じる。すると、体がふわりと持ち上げられた、そしてわたしの体を風が運んだ。
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