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第三章 里奈の気持ち
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しおりを挟む里奈の顔を見ると案の定、その顔を歪めている。道男叔父さんも里奈の表情に気がつき、
「おい、里奈。どうしたんだ? 別に俺はお前を責めているつもりはないぞ!」
そう言って道男叔父さんは慌てている。
一方里奈は何も答えない。
壁掛け時計に視線を向けると針は六時四十五分を指していた。開店まであと十五分だ。
「じゃあ、鈴子ちゃん、ロッカールームに案内するわね」
鈴子ちゃんは、おばあちゃんに連れられて奥の部屋に行った。果たしてうちにロッカールームなんてあったかな。小さな小部屋をロッカールームと呼んでいるのだろう。
そして、わたしと里奈と道男叔父さんの三人がこの場に残された。
道男叔父さんは、仕上げの仕事をするからとこの場から逃げた。まあ、仕事があるのは本当だろうけれど。このどよーんとした里奈と一秒も一緒に居たくないのだろう。
あれは逃げた!
原因を作ったのは明らかに道男叔父さんあなたなのに……。わたしは里奈と二人取り残された。勘弁してください。
「里奈なんだかよく分からないけど仕事が始まるから頑張ろう~話は後で聞くからね」
「嫌だ!」
里奈はぷくっと膨れた。
「どうしてよ。里奈困るよ」
「だって、なんであの子を雇ったの?」
「あの子って、鈴子ちゃんのこと?」
里奈は、コクりと頷いた。
「だって、仕方ないじゃない、里奈と鈴子ちゃんの間に何があったのか知らないけど、おばあちゃんも里奈と鈴子ちゃんのことは知らなかったんだから」
「分かってる。だけど……。あの子は嫌」
「なんで、鈴子ちゃんが里奈に何をしたの? まさかあんな人の良さそうな子が里奈のことをいじめていたとか?」
「違うよ。友達だった」
へっ。友達だった。それなら何故嫌がるの……。
里奈の返事を聞く前におばあちゃんと鈴子ちゃんが戻って来てしまった。
鈴子ちゃんは、『梅子ばあちゃんのゆったりカフェへようこそ!』とロゴ入りの赤色のエプロンをつけている。とても似合っていて可愛らしい。
鈴子ちゃんと里奈が友達だったなんて。だったと言うことは今は友達ではないということだよね。わたしは鈴子ちゃんをチラリと盗み見しながら考える。
里奈だけではなく、先程鈴子ちゃんもポカーンとしてたもんね。もう、この二人の間に何があるっていうのよ。
七時にお店がオープンしてから暫くするとまずは一人目のお客様がやって来た。それからあれよあれよというまに、集中的にお客様がやって来る。
モーニングタイムの時間帯は忙しい。
里奈と鈴子ちゃんの関係なんてもちろん聞いている時間もない。注文を取り、運び、レジをやってと、もう大変だった。
里奈は未だに接客をしないのだから、わたしの負担は大きい。
里奈はレタスの皮をむいたり、洗い物などをしている。
わたしは、鈴子ちゃんに、おばあちゃんのあの複雑なメニュー表を見せて、まずは覚えてねと言って渡した。
鈴子ちゃんは真剣な表情でメニュー表とにらめっこをしている。その様子がなんともいえない感じで可愛らしい。
そして、少し手が空いた時にメニューを覚えてくれたかなと確認をしに行くと、ちゃんとノートに取り覚えたらしくて、何も見ないでスラスラとあの複雑な長ったらしいメニューを言えるのだから素晴らしい!
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