梅子ばあちゃんのゆったりカフェヘようこそ!(東京都下の高尾の片隅で)

なかじまあゆこ

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第四章 南橋家御一家様とわたしるり子は高尾山へ

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 今日は、南橋家一家の遠足の日だ。

 おばあちゃんは、朝早くから張りきっておにぎりを握りお弁当を作っている。

 南橋家の恒例行事であるらしい。わたしも子供の頃に何度かこの行事に参加している。

 今回の行き先は、近場の高尾山。

 わたしは、お留守番をしようかと迷ったけれど、絶対にるり子ちゃんも参加するのよとおばあちゃんから強制的に参加することを命じられた。

 二十三歳にもなるのに親戚のみんなと山登りですかとも思うけれど、実は楽しみだったりもする。



 高尾山への遠足の参加者は。

 おばあちゃん。

 里奈。

 佐美さん。

 道男叔父さん。

 さゆりさん。

 わたし、るり子の六人だ。

  久道叔父さんは、お仕事で今回は欠席。



 今日は朝から晴れていて、まさに登山日和だった。

 階下から、おばあちゃんの作るお弁当のにおいが漂ってくる。わあ、食べたいなんて食い意地の張ったわたしるり子。

 リュックにお菓子などを詰め込み出掛ける準備をする。いつもはスカートだけど久しぶりにジーンズを穿く。上着はパーカー。これで今流行りの山ガールファションかな。

 全身鏡で自分の姿を確認する。髪型はポニーテールにした。まあまあかな、にっこりと鏡に向かい笑う。

 よし、準備完了だよ。



「さあさあ、みんな行くわよ」とおばあちゃんの大きな声が階下から聞こえてきた。

 わたしは急いでドタバタと階段を下りる。

 階段を下りた先には里奈がいた。

「あ、るり子ちゃんおはよう!」

 わたしに気がついた里奈が元気よく挨拶をしてきた。

「おはようって、あれ、里奈、何その服装は?」

「何って?」

「だって今日は登山だよ。なんでミニスカートなのよ」

「別にいいでしょう。わたしの勝手だもんね」

「あ、そうかいそうかい、じゃあ好きにして」

 里奈の服装は、登山をするとは思えない、黒のひらひらしたスカートにぴったりしたブラウスを着ているのだからびっくりした。

 まあ、どうせ言っても着替えないだろうから、そっとしておこうと思う。



 そんなこんなで参加者の六人が揃い、いざ高尾山へと出発だ。

 高尾山とは東京を中心とする首都圏の代表的な観光地であって都心の新宿駅からも京王線で昼間の時間帯ならば電車で最寄駅の高尾山口駅までは一時間もかからない。都会の中のオアシスなんだよね。なので東京近郊の登山者も多いのだ。



 わたし達は、京王線の高尾駅から高尾山口駅への一区間を電車に乗った。そして、高尾山口駅に着いた。

「やったー着いた」

 里奈は高尾山の入口に着くなり大きな声を出して騒いだ。

「こら、里奈、子供みたいに騒がないの!」

 さゆりさんが呆れたように注意をする。



 本当に里奈は子供みたいだ。だけどなんとなく騒ぎたい気持ちも分かる。だって、わたしもワクワクしている。

 高尾山の登山コースは色々あり、一号路表参道コースが高尾山の定番コースになっていて登山者が一番利用することが多い。難易度は少ないコースなのだ。

 わたし達もこの『一号路表参道コース』から山頂を目指すことにした。

 道男叔父さんは、中級者向けの稲荷山コースがいいなんて言うけれどみんなから却下されて諦めた。


そして、ケーブルカーの麓にみんなでぞろぞろ歩くこと五分弱で清滝駅に着いた。ケーブルカーに乗らなくても一号路は道が整備してあるので気軽に登ることも可能だ。

 道男叔父さんは歩いて登りたいと言った。わたしもいい運動になるから歩いてもケーブルカーを使ってもどちらでも良かった。

「嫌だもんね。わたしはケーブカーに乗るんだから」

と里奈は言って道男叔父さんを睨み付けた。

「里奈、牛乳パワーで歩けよ」

「嫌だもんね。絶対に嫌だからね。道男叔父さん一人で歩けば」

「なんだって牛乳娘!」

 なんて言い合う二人。

「こら、道男、高校生相手に喧嘩をするんじゃありません!」

と、おばあちゃんに怒られる道男叔父さん。

 なんだか笑えてしまう。

「なんだよ~るり子ちゃん笑ってさ」

 道男叔父さんは、わたしの顔を見てギョロリと睨んだ。

「だって、子供みたいで面白かったんだもん」

「失礼な。分かった、分かった里奈の言う通り、ケーブルカーに乗るよ」

「やったねっ」里奈は元気よく飛び跳ねている。
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