奈良町には食いしん坊な神様と狛犬が住んでいます!

なかじまあゆこ

文字の大きさ
28 / 97
狛犬と神様と祖父母と美味しいご飯の時間と笑いと涙

えっ? そんな……

しおりを挟む
「その通りだな。ホッホッ、奈夜ちゃんは面白い子だと有名になるかもな」

  神様は口元に手を当てて可笑しそうに笑う。

「ち、ちょっと神様ってばひどいですよ」

  わたしはぷりぷり怒る。ちょっと、待ってよ。わっ!  これも……。

「わたし一人で怒っているように見えるじゃない~」わたしはムッキーと怒る。

「わっ、もうダメだ……」

  わたしは道端にしゃがみこみ頭を抱えた。

「あはは、奈夜ちゃんどうしたんだい?  さあ、神社に行くぞ」

  わたしは、怒りをこめて神様を睨み無言で立ち上がる。そんなわたしを見て神様はなんだか楽しんでいるように見えるのだけどそれもまた、ムッキーとなる。

「あ、鹿さんだよ~」
「わっ、鹿さんがいるね~」

  狛子と狛助の能天気な声が聞こえてきた。その時、わたしはふと思う。

「狛子ちゃんと狛助君も人間には見えていないんですか?」

  わたしは、見えていると言う返事を期待して聞いた。

「狛子と狛助も見える人間と見えない人間がいるのじゃないかな。まあ、見えていない人間の方が多いと思うぞ」

  神様は期待外れな返事をした。

「……そ、そんな~」

  わたしはめちゃくちゃ恥ずかしい子になっているではないか。

「ねえ、神様に奈夜ちゃん見てみて鹿さん可愛らしいよ」

「鹿さん、可愛いよ」

  狛子と狛助がきゃっきゃっと嬉しそうな声を上げている。

  その声に振り返ると狛子と狛助が民家の軒先にいる鹿を触ろうとしているところだった。

「狛子ちゃんに狛助君、鹿さんは触ると嫌がるよ~」

  とわたしが言ったけれど、どうやら遅かったようだ。

「わっ、鹿さんに舐められちゃった~」
「ぎゃっ!  鹿さんが追いかけてくるよ~」

  狛子は鹿に服をペロペロ舐められ怯え、狛助は鹿に突進されそうになり逃げ、追いかけられている。

「ホッホ、狛子と狛助は鹿に遊んでもらっているんだな」

  神様は呑気に笑っている。

「二人とも(二匹)大丈夫~って言うか鹿さんは狛子と狛助が見えるんだね!」

「そうじゃな。鹿には見えるらしいな」

  神様は首を縦に振り頷いた。

「か、神様~奈夜ちゃん、助けて~」
「た、助けて~」

  狛子と狛助が大声で叫んだ。

  きっと、鹿は狛犬の狛子と狛助が物珍しいのだろう。なんだか嬉しそうにペロペロ舐め追いかけているようにも見えた。

 「鹿と戯れて何をやっているのじゃ~神社に行くぞ」

「か、神様~鹿になめなめされているんだよ~」狛子は鹿に舐められ仰け反りながら叫んだ。

「か、神様~僕は鹿に追いかけられているんだよ~」狛助は鹿からすたこらと逃げ回りお尻を噛まれそうになっている。

  なんだかその姿が可愛くてそして可笑しくてクスッと笑ってしまう。

「あはは、情けない奴らだな。奈夜ちゃん、あいつらは放っておいて神社に行くとしようか」

「あはは、放っておくんですか?」

「そうじゃな」

「か、神様~置いていかないで~」
「か、神様~待って~」

  狛子と狛助は情けない声を上げた。

「置いていかれたくないのだったら鹿と遊ぶのをやめるんじゃな」

「だから遊んでないってば!」
「遊ぼうと思ったら追いかけられたんだよ~」

  わーわーっ騒ぐ二人(二匹)に神様は溜め息をついた。

  神社に行くだけで騒がしくあるのだった。だけど、ちょっといつもより楽しいかな。

  わたしと神様とそれから狛子と狛助は鳥居の前に立った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

処理中です...