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三毛猫の店員さんの目が……

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「あの、今、緑町のカフェで人間を見たと言いましたか?」

  三毛猫の店員さんがテーブルに料理を並べながら聞いてきた。

「はい、そうなんですよ。俺のじいちゃんが緑町のカフェで人間を見たと言ってたんですよ。あ、店員さん知らないですか?」

  猫助が運ばれてきた明太子オムライスをスプーンですくいながら返事をした。

「……知らないですよ」

  そう答えた三毛猫の店員さんの目が一瞬キラリと光ったような気がした。

「そうですか。でも、聞いてくるくらいだから興味はあるんですよね?」

「……いえ、別に」

「そうなんですか?  そう言えばじいちゃんが三毛猫の店員さんが居るカフェで人間を見たと話していたな」

  猫助は明太子ソースがとろりとかかっているオムライスの真ん中をスプーンですくい口に運びながら言った。

「あの、何か知っているんですか?」

  三毛猫の店員さんの可愛らしかった目が鋭く光った。

「あ、いえ詳しくは知らないですけど……」

「そう知らないならいいんですが……」

  そう言った三毛猫の店員さんは猫助をギロリと睨んだ。

「あ、店員さんってば何か隠しているでしょ?」

  猫助は三毛猫の店員さんに睨まれているのにもかかわらず口の周りにべったり明太子ソースをくっつけ笑いながら聞くのだから俺は焦ってしまう。

「お客様は知りたがりみたいですね。仕方ない……」

   三毛猫の店員さんのその目が真っ赤に光った。

   そう真っ赤に光ったのだ。俺はびっくりして、「あっ!」って声しか出なかった。

   そして……。

  肉球のある可愛らしいその手が……。
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