30 / 64
失恋の理由③
しおりを挟む
なんて綺麗な人なんだろう。西野さんと付き合っていたぐらいだからきっと素敵な人だとは思っていたけど、想像以上だ。
そして、こうして見ると、改めて西野さんって格好いいんだなと思う。二人が並んでいる姿は自然で、あの二人が付き合っていたのだとしたら、すごくしっくり来る。会社の前まで会いに来るなんて、もしかしたら西野さんとやり直しに来たのかもしれない。
「すごい美人ですね」
「うん…」
「でも、なんか揉めてません?」
「え…?」
芽衣ちゃんにそう言われて、二人の様子を伺う。彼女の方はニコニコと微笑みながら西野さんに話しかけているけれど、西野さんはなんだか迷惑そうな表情をしている。
…なんでだろう? 彼女とヨリを戻せるのなら、すぐにでも戻したいだろうに。そう思った瞬間、自動ドアのガラス越しに西野さんと目が合ってしまった。
「─…っ!」
ただでさえ怒らせているのに、隠れて見ていたなんてどう弁解すれば…、そう思ったけれど、あたしたちに気づいた西野さんは、すぐに彼女の腕を引き、その場所からどこかへ移動してしまった。
◇
「彼女…、いや、あの感じだと元カノ…?」
駅の近くの個室居酒屋に入ると、席に着いた途端、芽衣ちゃんがそう呟いた。鋭い読みにドキッとする。
「ま、まぁ、いいじゃない。西野さんだって、彼女ぐらいいるよ…」
「良くないですよ。杏奈先輩とくっついて欲しいんですから」
「西野さんには、さっきの綺麗な人ぐらいじゃないと釣り合わないってば…」
芽衣ちゃんだって二人が並んでいるのを見ただろうに、どうしてこの考えを改めてくれないのか…
「ほ、ほら、ビール来たよ! 飲も…!」
そう言って、強引に芽衣ちゃんと乾杯をした。
◇
「じゃあ、本題ですけど、今朝のひどい顔は何だったんですか? また、あの彼氏ですか?」
芽衣ちゃんがお通しを箸でつつきながら、あたしを問い詰めるような瞳でジッと見る。この話は避けられないと思っていた。
「実は昨日、浮気現場を見てしまって…」
「はぁあ…!?」
あたしの言葉を聞いた瞬間、芽衣ちゃんの表情が一変する。
「あんの男…! だから言ったじゃないですか、ゲス男だって…!」
「も、もうちょっと声を抑えようか、芽衣ちゃん…!」
芽衣ちゃんのあまりの剣幕に怯む。あたしのことで、ここまで怒るとは思わなかった。
「どういうことですか?」
「昨日、悠真が他の女の子とラブホに入っていくのを見かけて…」
その言葉に芽衣ちゃんが絶句する。長い睫毛の瞳が、これ以上ないぐらいの嫌悪感を示している。
「…別れたんですよね?」
「いや…、遠くから見ただけで、本人とはまだ話せてない…」
「─…っ、もぉお! 今から一緒に殴り込みに行きましょう…!」
「だ、大丈夫だから…!」
真っ赤な顔で怒る芽衣ちゃんをなだめる。可愛い顔をしているくせに、芽衣ちゃんは意外と血の気が多いみたいだ。
「ちゃんと話をして、別れようと思っているから、大丈夫」
昨夜はあんなに泣いたくせに、意外にもその言葉はすんなり口から出た。
一晩経って少し気持ちも落ち着いた。いつまでも芽衣ちゃんや西野さんに心配を掛けている訳にはいかない。ちゃんとしよう、今度こそ。
そして、こうして見ると、改めて西野さんって格好いいんだなと思う。二人が並んでいる姿は自然で、あの二人が付き合っていたのだとしたら、すごくしっくり来る。会社の前まで会いに来るなんて、もしかしたら西野さんとやり直しに来たのかもしれない。
「すごい美人ですね」
「うん…」
「でも、なんか揉めてません?」
「え…?」
芽衣ちゃんにそう言われて、二人の様子を伺う。彼女の方はニコニコと微笑みながら西野さんに話しかけているけれど、西野さんはなんだか迷惑そうな表情をしている。
…なんでだろう? 彼女とヨリを戻せるのなら、すぐにでも戻したいだろうに。そう思った瞬間、自動ドアのガラス越しに西野さんと目が合ってしまった。
「─…っ!」
ただでさえ怒らせているのに、隠れて見ていたなんてどう弁解すれば…、そう思ったけれど、あたしたちに気づいた西野さんは、すぐに彼女の腕を引き、その場所からどこかへ移動してしまった。
◇
「彼女…、いや、あの感じだと元カノ…?」
駅の近くの個室居酒屋に入ると、席に着いた途端、芽衣ちゃんがそう呟いた。鋭い読みにドキッとする。
「ま、まぁ、いいじゃない。西野さんだって、彼女ぐらいいるよ…」
「良くないですよ。杏奈先輩とくっついて欲しいんですから」
「西野さんには、さっきの綺麗な人ぐらいじゃないと釣り合わないってば…」
芽衣ちゃんだって二人が並んでいるのを見ただろうに、どうしてこの考えを改めてくれないのか…
「ほ、ほら、ビール来たよ! 飲も…!」
そう言って、強引に芽衣ちゃんと乾杯をした。
◇
「じゃあ、本題ですけど、今朝のひどい顔は何だったんですか? また、あの彼氏ですか?」
芽衣ちゃんがお通しを箸でつつきながら、あたしを問い詰めるような瞳でジッと見る。この話は避けられないと思っていた。
「実は昨日、浮気現場を見てしまって…」
「はぁあ…!?」
あたしの言葉を聞いた瞬間、芽衣ちゃんの表情が一変する。
「あんの男…! だから言ったじゃないですか、ゲス男だって…!」
「も、もうちょっと声を抑えようか、芽衣ちゃん…!」
芽衣ちゃんのあまりの剣幕に怯む。あたしのことで、ここまで怒るとは思わなかった。
「どういうことですか?」
「昨日、悠真が他の女の子とラブホに入っていくのを見かけて…」
その言葉に芽衣ちゃんが絶句する。長い睫毛の瞳が、これ以上ないぐらいの嫌悪感を示している。
「…別れたんですよね?」
「いや…、遠くから見ただけで、本人とはまだ話せてない…」
「─…っ、もぉお! 今から一緒に殴り込みに行きましょう…!」
「だ、大丈夫だから…!」
真っ赤な顔で怒る芽衣ちゃんをなだめる。可愛い顔をしているくせに、芽衣ちゃんは意外と血の気が多いみたいだ。
「ちゃんと話をして、別れようと思っているから、大丈夫」
昨夜はあんなに泣いたくせに、意外にもその言葉はすんなり口から出た。
一晩経って少し気持ちも落ち着いた。いつまでも芽衣ちゃんや西野さんに心配を掛けている訳にはいかない。ちゃんとしよう、今度こそ。
1
あなたにおすすめの小説
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
距離感ゼロ〜副社長と私の恋の攻防戦〜
葉月 まい
恋愛
「どうするつもりだ?」
そう言ってグッと肩を抱いてくる
「人肌が心地良くてよく眠れた」
いやいや、私は抱き枕ですか!?
近い、とにかく近いんですって!
グイグイ迫ってくる副社長と
仕事一筋の秘書の
恋の攻防戦、スタート!
✼••┈•• ♡ 登場人物 ♡••┈••✼
里見 芹奈(27歳) …神蔵不動産 社長秘書
神蔵 翔(32歳) …神蔵不動産 副社長
社長秘書の芹奈は、パーティーで社長をかばい
ドレスにワインをかけられる。
それに気づいた副社長の翔は
芹奈の肩を抱き寄せてホテルの部屋へ。
海外から帰国したばかりの翔は
何をするにもとにかく近い!
仕事一筋の芹奈は
そんな翔に戸惑うばかりで……
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!
楓乃めーぷる
恋愛
見た目はどこにでもいそうな地味系女子の小鳥風音(おどりかざね)が、ようやく就職した会社で何故か社長秘書に大抜擢されてしまう。
秘書検定も持っていない自分がどうしてそんなことに……。
呼び出された社長室では、明るいイケメンチャラ男な御曹司の社長と、ニコリともしない銀縁眼鏡の副社長が風音を待ち構えていた――
地味系女子が色々巻き込まれながら、イケメンと美形とぶつかって仲良くなっていく王道ラブコメなお話になっていく予定です。
ちょっとだけ三角関係もあるかも?
・表紙はかんたん表紙メーカーで作成しています。
・毎日11時に投稿予定です。
・勢いで書いてます。誤字脱字等チェックしてますが、不備があるかもしれません。
・公開済のお話も加筆訂正する場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる