【完結】定期試験ゲーム 〜俺が勝ったら彼女になって〜

緑野 蜜柑

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冬休み

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予備校での昼休み、私は鈴木くんとお昼ご飯を食べていた。現在、冬期講習真っ只中だ。

「年明け早々、ここまで勉強漬けとは…。来年は大学共通テストの勉強とかしてんのかな」

「鈴木くんはまた本読んでるんじゃないかな。直前に足掻いたって結果は変わらないとか言って…。普段のテスト前でもそうだし…」

「そうかも…。でも共通テストは一回しかないから、どうかな…」

「てか、受験とか想像するだけで、胃が痛くなりそう…」

「俺より成績いい奴が何言ってんだよ…」

そう言うと、鈴木くんは呆れたような表情で私を見た。

「や…、来年はどうなってるかわからないし!私と鈴木くんじゃ、文系と理系っていう差もあるし…!」

慌ててそう言った私を見て、鈴木くんは可笑しそうに笑った。

「じゃあ、俺、午後物理だから。早野はこのままここで英文法だっけ?」

「あっ、うん」

「今日、何限まで?」

「えと、5限」

「ん…。帰り、出口で待ってるから。また後でな」

「う、うん、また」

お昼を食べ終わると鈴木くんはそう言って、教室から出ていった。

なんだか普通に鈴木くんと一緒にいるな、私…

「ここ、座ってもいい?」

鈴木くんがいなくなってから、そう声を掛けてきたのは、ショートカットの女の子だった。冬休みだから私服姿だけど、普段は確か隣駅の城北女子高校の制服を着ていたはず。

ほとんど話したことはないけど、半年ぐらい前からいくつかの授業でクラスが一緒になったことがある。

「早野さんと鈴木くんって、最近いい感じだね」

「え! そ、そう…かな」

「付き合ってるの?」

「う、ううん!」

「そうなんだ。ほのぼのして可愛い組み合わせだなと思ってたから、声かけてみたの。見た感じ、鈴木くんは早野さん一直線って感じだから、口説いてる最中ってとこなのかな」

鋭い…。
というか、あからさまにそういう風に見えているんだろうか…

「真面目だし、かっこいいし、かなりいいと思うけど、鈴木くん」

「う、うん…」

「てか、鈴木くん、女の子に興味ないのかと思ってたのに、早野さんを好きだったのね」

「あ、あの…?」

「あ、ごめん。あたし予備校入った頃、鈴木くんのことちょっといいなって思ってたの。全然脈なさそうだったからすぐやめたけど」

「そう…なんだ」

「あ、邪魔しようとかそういうつもりじゃないよ!?鈴木くんが好きになった子に興味があったっていうのはあるけど…、二人の雰囲気がなんか良かったから、応援したくなっちゃって。何かあったら協力するから、頑張ってね」

そう言うと、彼女はにっこりと笑った。


帰り道。
駅までの道のりを鈴木くんと歩く。

「来週から3学期だな。冬休みって短いよなー」

「そうだね…」

「そのわりにはギッチリ勉強したけどな」

「うん…」

鈴木くんの言葉に頷きながら、私はさっきのことを考えていた。

鈴木くんって、意外とモテるのかも…
及川くんみたいに派手なタイプじゃないけど、優等生の王道というか、真面目な好青年というか…

ほら、清潔感のある短めの黒い髪とか、落ち着いた口調とか。少し太めの眉は、鈴木くんの正義感と意志の強い性格を表しているかのようだ。

鈴木くんは人をからかったり騙したりなんてしない。この人が相手なら、女の子は安心して付き合っていける気がする。

「あのー…、早野…? もしかして俺の顔、なんかついてる…?」

気付いたら、鈴木くんが気まずそうにそう問いかけてきた。無意識のうちに、私は鈴木くんの横顔をじっと見つめてしまっていたようだった。

「え…?あ…、ううん!何でもないの!」

「そうか…?なんかすごい見られてたけど…」

「いや…、えっと…、あはは…」

「まぁ、いいけど…」

そう言いながら鈴木くんは少し恥ずかしそうに鼻の頭を掻いた。

「このまま及川に邪魔されずに口説ければいいのにな」

「え…?」

「学校始まったらまた及川と顔合わせるだろ」

「う、うん…。でも及川くん、あたしと話しちゃ駄目だから、今とそんなに変わらないと思うけど…」

現に、2学期の期末テストの成績が出て以来、及川くんとは全く話していない。

「なんていうか…、視界にもあいつを入れたくないっていうか…」

「え…?」

「俺、自分でも知らなかったけど、結構嫉妬深いんだな。まぁ、有利なのは変わらないし、頑張るよ3学期も」

そう言うと、鈴木くんは笑顔を見せた。

私は "うん" とも言えず、複雑な心境で自分の足元を見たのだった。
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