【完結】公国第二王子の一途な鐘愛 〜白い結婚ではなかったのですか!?〜

緑野 蜜柑

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~3. 深瞳の恋慕~

王家の夕食会

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レイラが宣言した接触禁止令が明けた次の日、レリック公国陛下のお誘いで王家の家族を集めた小さな夕食会が開かれた。

豪華に装飾されたテーブルにサイラス殿下と並んで座る。中央に陛下と正后陛下。わたくし達の向かいには、クラウス王子とその婚約者──リディア嬢が座っていた。

「サイラス。先日は良い婚儀であったな」
「ええ。ありがとうございます」

そう答えたサイラス殿下がわたくしの方を見て小さく微笑み、二人でお辞儀をする。今日は、あの日以来、一週間ぶりにサイラス殿下と会った。

自室を出て顔を合わせた瞬間、猛烈に恥ずかしくて隠れてしまいたくなった。だけど、サイラス殿下は落ち着いた振る舞いで、わたくしにエスコートの手を差し出した。

陛下からのお誘いに遅れては不敬だ。わたくしも動揺する心を落ち着けて、サイラス殿下の手を取った。その手の平は、珍しく少し冷たかった。

「ロザリア。貴女が我が王家の一員となってくれたことを、心から歓迎する。サイラスを頼むな」
「は、はい…! ありがとうございます!」

陛下の言葉にそう答えて、わたくしはもう一度、先ほどよりも深くお辞儀をした。

優しく微笑む陛下の目元は、サイラス殿下とよく似ている。勿論、クラウス王子にも。この方が、サイラス殿下の父君なのだと改めて思う。

隣に座る正后陛下も、美しく、優しそうな人だ。実子であるクラウス王子は、彼女とも、よく似ている。

陛下の側妃であったサイラス殿下の母君は、殿下が幼い頃に亡くなったと聞いている。どんな人であったのだろう。一度お会いしてみたかった。

…と思ったけれど、もし殿下の母上が生きておられたなら、わたくしのような妻を押し付けられたことを嘆いていただろう。そういう意味では、会えなくて良かったのかもしれない。

「クラウスとリディア嬢も、息災か」
「ええ、父上」

陛下の問い掛けに、クラウス王子がそう答える。その爽やかで品の良い笑顔に、先ほどからわたくしは違和感を感じざるを得ない。

今日のクラウス王子は一週間前に悪態をついていた彼とは別人みたいだ。汚い言葉や不満を微塵も出すことはない。

どういうことなのだろう。いや、こちらの姿の方が "王子様" としては相応しい。今日の彼は、まさに理想的な王子様だ。だとしたら、あの日の彼の態度は一体なんだったのだろうか…
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