【完結】公国第二王子の一途な鐘愛 〜白い結婚ではなかったのですか!?〜

緑野 蜜柑

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〜8. それぞれの思惑〜

真実の追及

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「お帰りなさいませ、殿下…」
「あぁ、ロザリア。今帰った」

一週間ぶりに王城へと戻ったサイラス殿下は、わたくしの顔を見るなり、表情を緩めてそう微笑んだ。

出発前と変わらない笑顔。何かを隠しているようには見えない。だけど、この表情の裏に、この人はどれだけのことを隠しているのだろう。

聞きたいことは山ほどあった。すぐにでも問い詰めたい思いを抑えて、わたくしは殿下と二人きりになれる時間を待った。



「失礼しますわ…」
「あぁ、待っていた、ロザリア」

閨の準備を整えて部屋を訪ねると、殿下はわたくしを迎え入れ、そのまま優しく肩を抱き締めた。

逞しい殿下の腕。一週間ぶりの殿下の匂い。条件反射のように高鳴る自分の鼓動が今は煩わしくて、掻き消すように瞼をギュッと瞑った。

「殿下、お話が…、きゃ…っ!?」

フワッと身体を抱き上げられ、驚いて声を上げる。咄嗟に殿下の首に手を回してしがみつくと、ちゅ…と不意打ちに口吻キスをされた。

「な…っ!?」
「元気だったか…?」
「げ、元気ですけれど…」
「たった一週間なのに、貴女に会いたくて堪らなくてな」

そう苦笑する殿下に、胸が締め付けられる。この言葉を素直に受け入れられるほど、今のわたくしは無知ではない。

殿下がわたくしの身体をそっとベッドに降ろす。そのまま両腕をシーツに優しく押さえ付けられる。

わたくしを見つめる瞳。この眼差しも、優しい表情も、全てはレリック公国の目的のため。わたくしはもう理由を知っている。

口吻くちづけの気配。殿下の顔が近づき、唇が重なりそうになった瞬間、わたくしは口を開いた。

「…父上は、息災でしたか?」

毅然とそう尋ね、わたくしは殿下を見つめた。

「何の用で、父上と密会を…?」

わたくしを見下ろす殿下の瞳が僅かに揺らぐ。腕を掴む殿下の手を解くと、わたくしはベッドから身体を起こした。

「ずっと不思議だったのです。なぜ、殿下がわたくしと婚姻を結んで下さったのか…」
「……」
「目的は、品種改良麦の輸出。父上が立ち上げたクレディア商会の流通網が必要だった」
「……」
「元々、王家や貴族の婚姻とはそういうもの。いわく付きであっても、わたくしはレリック公国にとっては、"利" があったのでしょう」

否定もせずわたくしを見つめたままの殿下に、小さく微笑む。

わたくしとの婚姻が決まるずっと前から、名を偽った父上と、手紙のやりとりをなさっていたのを知っています」
「……」
「殿下は父上と、結託していたのではありませんか?」

その言葉に、殿下の目の色が変わった。
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