二度目の勇者は我が道を行く

眠たいカラス

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怒りの勇者は都市を滅ぼさんとす

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家に着いたユウキはラウラとの連絡手段を確立するために通信用魔道具を2つ用意して装備させた。これは指定した者との通信を可能とするアイテムだ。1回目のときに不便だと感じたため魔道具を作れる賢者と共に作ったアイテムだ。
ラウラは通信用魔道具を見てユウキの顔を見る。

「これは…?」

「…ウルも同じのを持っていたか?」

「はい」

「そうか…今それはどこに?」

「えっと…陛下が保管されているかと…」

「分かった。とりあえず今はそれで我慢してくれ…それがあれば私との連絡を取ることができる使い方は…」

使い方を教えたあとに実際に使ってみてきちんと機能するかを確かめる。
機能することを確認したユウキは常日頃装備することを約束させた。
エルフの国に行くことがあれば指輪も回収しておくことにしよう。
ユウキが寝ようとベッドにダイブしたときにそれは起こった。

ドカーンッ!

という爆発音とともにドンッという音を立てて家が揺れる。

「ご主人様!?ご無事ですか!?」

そう言ってラウラは部屋の中に勢いよく入ってきた。
ラウラに大丈夫だと伝えて何が起こったのか確認をすることにした。
千里眼を使い、市を上から見る。
すると、大きい火の玉で遊んでいる1人の女を発見した。
どうやら、昼間の勇者が暴れているようだった。
ユウキは都市の中で勇者が暴れているとだけラウラに教えて少し寝ることにした。
しばらく経つとラウラに起こされる。
ラウラによると近くまで火の手が迫っているようだ。
しかし、まだユウキは手を出さない…千里眼で映し出されるのは勇者を前に奮闘する冒険者と騎士。騎士は盾を上手く使い纏まることでダメージを極力抑えている。冒険者は一見バラバラのように見えるが、各パーティ事にリーダーが司令塔の役割を果たし、ちょびちょびとダメージを与えている。しかし、勇者は熱のオーラのようなものを纏っており、魔法の威力は激減し、弓は燃えて届かず、近距離に至っては近づくことすら出来ないようだ。仮にも勇者というものの力なのだろう。
既に、教会の近くに住んでいる一級国民の多くは教会へと避難を完了させた。
教会は結界を貼ることで勇者からの攻撃を免れている。しかし、民の住んでいる住宅への被害は甚大だ。既に、瓦礫の山となっているところは多くある。貴族と騎士が住む居住区は壁がなくなり、屋敷が燃えているのが見える。

コンコンッ

家をノックする音が聞こえた。
千里眼を家の前に飛ばすと魔術師らしき人物がユウキの家の前に5人立っていた。
ラウラに話を聞いてくるように言い、なにかあれば殺せと命じる。
ラウラはコクリと頷いて家の前にいる魔術師たちの話を聞きに行く。
その間に千里眼で状況を更に見ていく。
どうやら、勇者が暴れているのは貴族と騎士が住む居住区と一級国民が住む地域を中心として攻撃をしているようだ。
恐らく…ユウキを探しているのだろう。
奴隷を所有するのは貴族と騎士、一級国民だけだからだ。
こんなに離れた場所にいるとは想像できていないのかもしれない。

「ご主人様。この者たちがご主人様にお話があるとの事です」

「仕事部屋に通していろ。すぐに行く」

「はっ!」

仕事部屋に魔術師たちが入ったことを確認してユウキも中に入る。
魔術師は1人以外は着席をせずに起立した状態で待機していた。
ユウキは着席するとすぐに話を切り出す。

「さて、君たちは誰で、何用かな?」

「我々はエルバレム様に使える魔術師です。後ろにいる者たちは結界術師という職業です。エルバレム様の命令でこちらに来た次第です」

「ふーん…それはなんだ?勇者に俺の家を燃やされるなとでも言われたのか?」

「はい、その通りです」

「爺さんも気苦労が絶えんな…」

「失礼ですが…エルバレム様とはどのような関係で?」

「言う必要は無いと思うのだが?」

「なんでも知りたい性分でして…作業が進まない可能性もあります」

「そうか、それならそれでいいんじゃないか?家に火の粉1つでも着いたら勇者を殺すだけだ…君は主との約束を守れず、主であるエルバレムは俺との約束を守らざるおえなくなる…それが面倒だからお前らをここにやった。違うか?仕事をしないなら勝手にしろ…だが、その責任を負うのはエルバレムなんだがな。話は以上だ。さて、守らなくていい…と俺が言ったらお前たちはどうなるんだろうな?」

偉そうにしている魔術師にニヤリと笑いかけると魔術師の態度が一変する。
背筋を伸ばし、両手を膝の上に置いている。

「立場がわかったようで何よりだ。君たちは言われたことをしていればいい…なら、やることはわかっているんだろう?早く行動しろ…ラウラ!そいつらがしっかり働いているのか監視しとけ!火の粉1つでも着いたら報告しろ!」

「かしこまりました」

ラウラと魔術師たちが部屋の外へと出ていったことで、ユウキが椅子に横たわり千里眼を再度使用する。
そこに映っているのは、宿が燃やされているところだった。
ユウキが泊まっていた『安らぎの都』という宿屋も燃やされている最中だったのだ。
ミーナがリエーナと逃げているのがわかるが、ミーナは燃えている宿に手を伸ばしながら泣いている。
ミーナはリエーナに引きずられているが、そのリエーナに一枚板の看板が燃えて倒れてくる。

「危ない!」

というユウキの声が届いたのかは分からないが、リエーナはその看板に気づくとミーナを投げ飛ばす…が、同時に断末魔のような悲鳴をあげて看板の下敷きになる。
そこに到着したのが、ブルドとテシアだった。
ブルドとテシアは母親を助けようと近づくミーナを止め、テシアに担がせてブルドは救出しようと看板を蹴り飛ばす。同時にリエーナの肌の皮が剥がれたのかリエーナは再び悲鳴をあげる。軽くポーションをかけたブルドはリエーナを担いで移動を開始する。目的地はどうやら冒険者ギルド本部のようだ。既に、ミーナはテシアに連れていかれて冒険者ギルド本部に到着しており、両手を顔の前に持ってきて強く握り、母親の無事を祈っている。
ブルドがリエーナを担いで冒険者ギルド本部の前まで到着するとミーナの顔に涙が溢れる。
しかし、ミーナの涙で歪んでいる世界に起きたのは悲劇だった。
ブルドの真上に現れたのは火の玉…それがブルドとリエーナをめがけて飛んできているのだ。ブルドは逃げきれないと悟り、リエーナを前に投げて両手斧を構えると火の玉に向かってハンマー投げのように両手斧を投げた。
両手斧に当たった火の玉は爆発し、ブルドとリエーナを冒険者ギルド本部の中にまで吹き飛ばす。飛んだ後に壁にぶつかれば助からないと誰もが思ったそのときに槍を持った一人の男性が魔法を唱える。

風の緩衝材エアクッション

…ヤムーだった。
2人はヤムーの使った風魔法により、命を救われたのだ。
しかし、ミーナたちはまだ助かった訳では無い。
冒険者ギルド本部の前には勇者が立っており、魔法を使おうとしている。
だが、冒険者ギルド本部に落とされそうだった魔法は教会の方で起こった大きな歓声の下から放たれた魔法にぶつけられて消滅した。
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